YouTubeチャンネル「社長の資金繰り相談室」の第15回のテーマは、飲食店の経営と資金繰りです。
飲食業の倒産が過去最多のペースで増えているというニュースを受けて、事務局の谷本がたちばなはじめに聞きました。
「うまいものを出していれば、お客さんは来てくれる」
あなたも、そう考えて採算を後回しにしていないでしょうか。
たちばなの結論は、「流行る店と儲かる店は違う」です。
お時間のないときは、このまま記事だけでもお読みいただけます。
飲食店の倒産が増え続ける理由とは?
東京商工リサーチの発表によると、状況は次のとおりです。
2026年1-8月の「飲食業」倒産は累計701件(前年同期比8.8%増)。このペースで推移すると、年間最多だった前年(1,002件)を抜き、2026年は過去最多を更新する可能性がある。
— 東京商工リサーチの調査(2026年9月発表)より
その後、10月には、居酒屋の倒産についての集計も発表されています。
2026年1-9月は167件(前年同期比32.5%増)となり、1989年以降で過去最多だった。
167件の原因別は、販売不振が150件(構成比89.8%)と約9割に迫り、他店との競争や値上げによる顧客離れが深刻化している。
従業員数は、5人未満が151件(構成比90.4%)で、小・零細規模に集中している。
— 東京商工リサーチの調査(2026年10月発表)より
行列ができる人気店も、例外ではありません。
2026年10月には、生ドーナツ店などを大阪や神戸、名古屋、東京で展開していた兵庫県の会社が、事業を停止して破産申請の準備に入ったと報じられました。
東京商工リサーチと帝国データバンクによると、店を増やすための借入の負担も重く、債務超過に陥っていました。
会社は公式SNSで、社内で会社の存続にも大きな影響を及ぼす重大な事案が判明したとも公表していたとのこと。
私たちのもとに寄せられる相談でも、いちばん多い業種は飲食です。
倒産が増えている原因をたずねると、たちばなの答えは「乱暴な言い方をするようだけど、供給過多、これにつきる」でした。
人口がどんどん減っているのに、飲食店の数はそれに見合うほど減っていません。
そこへ、原価や電気代・水道代、人件費の値上がりが重なります。
売り値も上がってはいますが、コストの上昇分を補うほどには追いついていないのが現状です。
そのうえ人口が減っていれば、売上を伸ばすためにお客さんの数を増やす要素も乏しい。
収益が下がり、倒産が増えるのは当然の帰結だというわけです。
加えて、飲食店は参入障壁の低い商売でもあります。
食品衛生責任者の資格は1日の講習で取れることもありますし、調理師免許がなければ店を開けないわけでもありません。
だからこそ多くの人が次々と参入しますが、市場の大きさは決まっていて、しかもどんどん縮んでいます。
淘汰される店が多いのは理屈として当たり前で、過去最多というのも驚く話ではないといいます。

流行る店と儲かる店は違う
ミシュランの星を持つような店からも、すでに何件か相談が来ています。
そこでたちばながあらためて実感したのが、「流行る店と儲かる店は違う」ということでした。
うまいものを作れば、店は流行るかもしれません。
ですが、それで儲かっている店はそう多くありません。
結局は、やせ我慢をしながら続けている店が多いのでしょう。
では、どんな飲食店が栄えているのか。
たちばなが雑誌などで見聞きした話として紹介しているのが、大手チェーンの運営の仕方です。
味はあえて60点や80点をめざし、満足度の足りない分は広告で補っているというのです。
それで満足度が保てればお客さんは減らない、というデータに基づいた運営のようです。
また大手の中には、フランチャイズの加盟店から受け取るお金のように、儲けの柱が料理とは別のところにある会社も少なくありません。
うまいものを作るのは飲食店の務めで、それは正論です。
でも、流行ることと儲かることは別の話。
そのことを頭に置いて、商売をしてほしいのです。
お客さんは味だけで店を選んでいない
たちばなは講演で各地を回るため、用事のない見知らぬ町にひとりで泊まることがあります。
そんなときの晩酌の店選びについて、動画の中で理想を語っています。
外から中の様子が見えて、カウンターがある店に入る。
カウンターで2、3品とお酒を頼むと、大将が「お客さん、出張ですか?」と声をかけてくれます。
店の人や隣の常連さんとも話がはずんで、「ああ、面白かった」と店を出られる時間を思い描いているそうです。
刺身のマグロがどこのものか、鶏肉が名古屋コーチンかブロイラーかは、あまり関係ないといいます。
飲食店を経営したことはないと前置きしつつ、たちばなは客の立場から「うまいものをめがけて店を決めている人ばかりではない」と言い切っています。
うまいものを作ろうとする努力は、お客さんにとってはありがたいことです。
ただ、本当に採算を考えているでしょうか。
それなりの食材を仕入れて、腕前でカバーする道もあるはずです。
「採算を考えないでうまいものを作って客を喜ばそうという概念では、必ず金に詰まる」
これが、たちばなの厳しい指摘です。
ミシュランやグルメサイトで高い評価を受ける店も、流行ってはいるのでしょう。
とはいえ、採算が合って儲かっているかどうかは、また別の問題です。
お客さんを喜ばせることが、店の収益につながっているのかを考えなければいけません。
中小の飲食店が生き残るにはとっぴな発想が要る
最近は、インバウンドやSNSで集客に力を入れる飲食店も多いようです。
動画では、テレビでも紹介された愛知県の町の寿司屋の話が出てきます。
大将がSNSで発信を続けて多くのフォロワーを集め、カウンターの予約から埋まっていく店です。
お客さんの9割は外国人だそうです。
ただ、町の寿司屋や町の飲食店が、この先も生き残っていけるのか。
SNS戦略がぴたりとはまるか、あえて入りにくい店や見つけにくい店にするくらいのことをしなければ難しいといいます。
中小の飲食店には、かなり厳しい先行きが待っているというのが、たちばなの見立てです。
「立地がすべて」と考える飲食店の事業主も少なくありません。
ところが、その考えどおりに好立地を選べば、今度は家賃が跳ね上がってしまいます。
腕前、立地、接客、ジャンル、SNS…どれで勝負するにしても、中小の店が儲けを出すには、よほどのとっぴな発想や手法が必要。
「これで飲食店はいける」という一つの答えは出せないと断ったうえで、飲食はかなりの斜陽産業だとも話しています。
「流行る店と儲かる店は違う」
動画の中で何度も繰り返されたこの言葉を、これからの事業の運営や事業転換、事業改善の鍵にしてください。

資金が残っているうちなら次の手がある
厳しい話が続きましたが、たちばなは、飲食店はやり方次第で救済が難しくない業種でもあると強調しています。
「私のエッセンスが入った飲食店であれば、ある程度資金が残ったうちに、次の手、次の手、さらに次の手というようなことで策が打てる」
これは経験上言えることだそうです。
たとえば、店をやめたいのに、退去のときに店をスケルトンに戻す工事の費用がネックになって、踏ん切りがつかない方もいます。
誤解を恐れずに言えば、そこも預けている保証金(敷金)で対応してもらえばいい、というのがたちばなの考えです。
「敷金を払っていない場合はどうするのか」
「敷金で足りないときはどうするのか」
そう考える方もいるでしょう。
ケースによって違うため、「こうすればいい」と一律には言えません。
それでも、もう少し頭を柔らかくして考えれば、対策や交渉の方法はいろいろあり、手立てはあるといいます。
もうひとつは、融資の返済。
飲食店が事業の融資を受けるときは、信用保証協会の保証がついていることが多いでしょう。
たちばなは、その場合は代位弁済という形で負担を大きく減らす方向で考えることもできると話しています。
負担が減って店を続けられるなら、続ければいい。
だめなら、また次の手を考える。
一度うまくいかなかったからといって、そこで終わりではありません。
「こうやったらどうですか」と試してみて、だめなら「じゃあ、こうしましょう」と次の策に進みます。
その先を2段も3段も乗り越えていくバイタリティがなければ、中小の飲食店が残る術はない、とまで言っています。
倒産や破産のほかにも、いろいろな出口があります。
まずは、そのことを知ってください。
飲食店の資金繰りや代位弁済については、次の記事でもくわしく取り上げています。
- 味の評価より残るお金で判断する考え方:弁当屋の倒産が2年連続で過去最多へ…味と人気があっても店が潰れる原因と対処法
- 有名店の倒産とリスケ後の返済:ミシュラン一つ星の店も倒産…リスケ後の返済で会社のお金を使い切ってはいけない
- 信用保証協会と代位弁済の仕組み:ゼロゼロ融資が返せないならリスケより代位弁済…契約どおりに進めるべき理由
その他、資金繰り改善や事業再生に関する情報はチャンネル「社長の資金繰り相談室」でご覧いただけます。
飲食店を続けるか閉めるかで迷っている方のご相談も受け付けています。
お客さんは来ているのにお金が残らないと感じているなら、資金が尽きる前に、まずは一度ご相談くださいね。
資金繰りの課題を抱える
あなたの選択肢を、

