毎日お店を開けて、お客さまも来てくれています。
売上も、それなりに立っています。
それなのに、月末が近づくと支払いのお金が足りない、、、
私たちのもとにも、飲食店の社長から同じようなご相談が寄せられています。
もしあなたのお店で同じことが起きているなら、ぜひ知っておいていただきたい調査結果があります。
飲食店の倒産が上半期473件で過去最多
2026年7月、帝国データバンクから飲食店の倒産についての調査結果が公表されました。
2026年上半期の飲食店倒産は473件(前年同期458件・3.8%増)で4年連続の増加となり、上半期として過去最多を更新した。業態別では「酒場・ビヤホール」が125件で最も多く、「中華・東洋料理店」も91件と、いずれも過去最多。食材・光熱費の高騰や賃上げなどで利益が圧迫され、コスト上昇分を価格に反映できない中小の飲食店で倒産が増えている。
— 帝国データバンクの調査より(2026年7月22日公表)
居酒屋や中華料理店、日本料理店といった身近なお店が、この半年だけで473件も倒れたことになります。
背景にあるのは、食材やお酒の仕入れ価格の高騰、電気・ガス代の値上がり、賃上げによる人件費の負担増です。
それに加えて、人手不足で思うようにシフトが組めない。
大口の宴会や二次会の需要も戻りきらず、若い世代のアルコール離れも進んでいます。
とくに居酒屋のような夜のお酒が主体のお店ほど、この変化を強く受けているようです。
さらに深刻なのは、コロナ禍を資金支援で持ちこたえてきたお店に、借入金の返済と物価高が同時に重くのしかかっていることです。
コストは上がり続けるのに、売上の構造は元に戻らない。
飲食店を取り巻く環境は、それだけ厳しくなっているのです。
居酒屋の倒産は初めて100件を超えた
この傾向は、別の調査会社の集計でも裏づけられています。
AIで「飲食業 倒産 2026年上半期 東京商工リサーチ」について調べてみると、こんな解説が出てきます。
東京商工リサーチの集計では、2026年上半期の飲食業倒産は509件(前年同期比5.3%増)で、上半期として過去最多を更新した。業態別では居酒屋が118件(同31.1%増)と急増し、初めて100件を超えたほか、ラーメン店も36件(同44.0%増)と大幅に増えた。物価高が一因となった倒産は86件(同53.5%増)と前年の1.5倍に増加。原因別では販売不振が424件(構成比83.3%)を占める。資本金1千万円未満が9割を超えるなど小・零細規模が大半で、小さな飲食店ほどコストアップの負担が大きく、来店客数の減少を懸念して価格転嫁が難しいと分析されている。飲食業の倒産は、引き続き高水準で推移する可能性が高いとされる。
— 東京商工リサーチの調査より(2026年7月8日公表)
調査会社によって業態の区分や集計の基準が違うため、件数そのものには差があります。
ですが、「上半期として過去最多」という結論は、どちらの調査でも同じです。
目を引くのは、居酒屋の倒産が3割も増え、初めて100件を超えたこと。
ラーメン店のような身近なお店でも、倒産が4割以上増えました。
しかも、倒れているお店の9割以上は、資本金1千万円未満の小さなお店です。
体力のある大手チェーンではなく、家族や少人数で切り盛りしてきたようなお店から、先に力尽きています。
毎日売上が入るのになぜ現金が減っていくのか?
ここで、飲食店ならではの落とし穴をお伝えします。
飲食店は、毎日売上が入る商売です。
現金やキャッシュレス決済で日々お金が入ってくるため、通帳の残高だけを見ていると「なんとか回っている」ように感じてしまいます。
が、ここに落とし穴があるんです。
食材の仕入れ、家賃、人件費、水道光熱費、借入金の返済などなど。
支払いは毎月きっちりやってきます。
利益が出ていなければ、日銭が入っていても、手元の現金は少しずつ減っていきます。
たとえば仕入れ価格の上昇で原価率が3%悪化すると、月商300万円のお店なら毎月9万円の現金が余分に出ていく計算です。
半年続けば54万円。
一年続けば100万円を超える現金が消えていきます。
現金が毎日入ってくるからこそ、このじわじわ減っていく変化に気づきにくいのです。
そして気づいたときには、手元の資金が1〜2か月分の支払いにも満たなくなっていた、、、
そういうケースは実際によくあります。
値上げへのためらいが命取りになる
コストが上がった分は、価格に転嫁しなければなりません。
ですが、飲食店の値上げには独特の怖さがあります。
「値上げしたら、お客さんが離れてしまうかもしれない」
「長年通ってくれている常連さんに申し訳ない」
こう考えて、なかなか値上げに踏み切れない気持ちは痛いほどわかります。
ただ、値上げをためらっている間にも、仕入れのたびに現金は出ていきます。
メニューの単価を数十円上げるかどうか迷っている間に、赤字が積み重なり、手元の現金がどんどんすり減っていく。
この状態を放置すると、遅かれ早かれ、立ち行かなくなってしまいます。
実際、帝国データバンクの調査でも、倒産が増えているのはコスト上昇分を価格に反映できない中小の飲食店だと分析されています。
東京商工リサーチの集計でも、物価高が引き金になった倒産は前年の1.5倍に増えました。
価格を自由に決められないまま営業を続けると、売れば売るほど現金が減っていく状態になりかねません。
一気に大きく上げる必要はないので、原価率の高いメニューから順に、少しずつ見直していきましょう。
お客さまに料理を提供し続けるためにも、原価と価格のバランスは避けて通れない問題なんです。
現金の流れを毎日つかむ
では、どうすればいいのでしょうか。
まず取り組んでほしいのは、現金の流れを社長自身がつかむことです。
たちばなはじめが繰り返し説いているのは、「事業の根幹は事業ではなく会計にあり」という教えです。
料理の腕やお店の雰囲気がどれだけ良くても、儲かっているかどうかは数字でしか分かりません。
「昔から数字は苦手で」という社長も多いでしょう。
ですが、会計に必要なのは足し算と引き算だけ。
最初は、ノートに今日の売上と支払いを書き出すだけでかまいません。
今日いくら入って、いくら出ていって、月末にいくら残るのか。
これを毎日続けるだけでも、どのコストが重いのか、どの曜日に現金が減るのか、お店の実態が驚くほど見えてきます。
慣れてきたら、向こう3か月の入金と支払いの予定まで書き出してみるのがおすすめです。
どの月に資金が足りなくなりそうか、前もって見えるようになります。
銀行に相談するときの資料としても、そのまま役に立ちます。
調理や接客はスタッフに任せられても、資金繰りだけは他人任せにできません。
数字から目をそらさないこと。
それが、立て直しの第一歩です。
資金繰りは我慢してはならない
もう一つ、お伝えしたいことがあります。
現金の減りが止まらないとき、自分の役員報酬を削り、個人の貯金をつぎ込んで、我慢で乗り切ろうとする社長が本当に多いんです。
が、我慢で状況が好転することは、まずありません。
我慢している間にも現金は流出し、選べる道はどんどん狭まっていきます。
実は、飲食店は他の業種に比べて、立て直しの道筋を組み立てやすい業態です。
店舗の多くは賃借物件で、厨房機器はリースが中心、在庫も食品・食材が主。
だからこそ、手元に資金が残っているうちに動けば、選べる道は断然多く残ります。
私たちは、どんな状態からでも、倒産や破産をせずに解決できる可能性を最後まで探るというスタンスで、飲食店を含む多くの社長の相談に向き合ってきました。
「もう限界かもしれない」と感じていても、諦めるのはまだ早いです。
日銭が入ってくる商売だからこそ、早く動けば動くほど、立て直しの選択肢は広がります。
もし資金繰りに悩んでいるなら、まずは一度ご相談くださいね。
資金繰りの課題を抱える経営者の方へ3つのご案内
あなたの選択肢を、一緒に考えませんか?

