中小企業の社長は、毎日とにかく忙しく働いています。
現場に出て、取引先を回り、見積もりや請求書の作成にも追われる。
人手が足りなければ、社長自身が現場の穴を埋めることも珍しくありません。
資金繰りが苦しくなれば、なおさらです。
では、そのなかで社長にしかできない仕事とは何でしょうか。
あなたは、すぐに答えられますか?
たちばなはじめの答えは、はっきりしています。
「お金をつなぐこと」と「決めること」の2つです。
現場も営業も事務も、任せられる人がいれば任せることができます。
ところが、この2つだけは、社長の代わりにやってくれる人がいないのです。
社長にしかできない仕事は2つだけ
たちばなはじめが挙げる2つの仕事は、次のとおりです。
- お金をつなぐこと(会社のお金を途切れさせない資金繰り)
- 決めること(事業をどう進めるかの最後の決断)
お金が途切れないように先回りして動けるのは、代表者である社長だけです。
事業を続けるのか、形を変えるのか、やめるのかという最後の判断を下せるのも、社長しかいません。
たちばなはじめは、社長の仕事は額に汗して働くことではない、とまで言います。
現場で誰よりも働いている社長ほど、耳の痛い言葉かもしれません。
資金繰りが苦しいときほど現場に時間を取られていないか?
資金繰りが苦しくなると、売上をつくろうと営業に回ったり、人の抜けた現場に自分が入ったりする社長は少なくありません。
朝から晩まで働いているのに、手元のお金は少しも増えていない。
そんな状態が続いているなら、一度立ち止まってください。
社長が現場にかかりきりの間、会社のお金の流れは誰が見ているでしょうか。
社長が自分で確かめ、決めなければいけないのは、たとえば次のようなことです。
- 次の支払いの日に、お金は足りるのか
- 足りないとき、どこから手を打つのか
- この先、何を続けて、何をやめるのか
どれも、現場で汗を流しているだけでは答えが出ません。
もちろん、人手の少ない会社では、社長が現場に立たざるを得ない日もあるでしょう。
ただ、そのせいでお金を見る時間と決める時間がなくなっているなら、順番が逆です。

お金をつなぐ第一歩は会社のお金の流れを自分でつかむこと
お金をつなぐとは、会社のお金を途切れさせないことです。
そのためには、いまいくらあるのかを知るだけでは足りません。
いつ、いくら入ってきて、いつ、いくら出ていくのかという流れを、社長が自分でつかんでおく必要があります。
決算書や試算表づくりは税理士や経理の担当者に任せていても、通帳の中身まで人任せにしてはいけません。
たちばなはじめ自身、かつて燃料油の卸・小売を中心に複数の事業を営んでいたころ、会計は経理まかせでした。
売上と利益さえ見えていれば、事業は回る。
そう思い込んでいたのです。
ところが、自社の資金繰りが少しずつ苦しくなってきたことをきっかけに、自分で会計を学び始め、数字を直接つかむようになりました。
ですが、その努力は実らず、多額の負債を抱えて事業は破綻してしまいます。
この経験から、たちばなはじめが繰り返し説いているのが「事業の根幹は事業ではなく会計にあり」という教えです。
数字をおろそかにしていたことが、事業を窮地に追い込んだ入口だったと痛感したからです。
数字、とくに現金の流れから目をそらさない。
お金をつなぐ仕事は、ここから始まります。

決めることは家族や顧問にゆだねない
もう1つの仕事が、決めることです。
ところが、大事な方針の話になると「家族に相談してみます」「顧問に相談してみます」と答える社長が少なくありません。
そんなとき、たちばなはじめは、反対されたらやらないということでいいのか、と聞き返します。
すると、多くの社長が不安そうな顔になるといいます。
家族や役員、顧問の税理士の意見は、判断の大事な材料になります。
ただ、その判断の結果を最後に引き受けるのは、社長自身。
とくに、会社の仕事に関わっていない家族に、会社の大事な判断をゆだねるとどうなるでしょうか。
反対されてやめた結果、もっと苦しくなったとき、その重さまで家族に背負わせることになります。
事業に関わっていない人に、そんな重い決断をさせるのは酷なことです。
たちばなはじめ自身、事業が破綻し、法的な手続きに頼らない道を選んだとき、家族に伝えたのは相談ではなく報告でした。
やることはもう決まっていて、反対されてもやめるつもりはない。
それでも、できれば背中を押してほしいとお願いしたそうです。
家族と話すこと自体は大切です。
ただ、そこで家族に求めるのは、判断ではなく協力です。
決めるときの進め方は、次の3つです。
- 家族や顧問には、自分が知った情報を先に伝えてから意見を聞く
- やると決めたら迷わない
- やらないと決めたなら、代わりの手を用意する
たちばなはじめは、決めることに時間がかかればかかるほど、お金は目減りしていくと話します。
資金繰りが苦しくなっても社長には決める仕事が残る
家族に報告をしたころ、たちばなはじめはもう、お金をつなぐことができない状態でした。
だからこそ、せめて決めることだけは自分でやろうと考えたといいます。
資金繰りがどれだけ苦しくなっても、どこにお金を残し、何を続け、何をやめるのかを決める仕事は、社長に残っています。
社長が自分で決めてはじめて、家族にも協力をお願いできます。
忙しい毎日のなかでも、お金を見る時間と決める時間だけは、先に取っておいてください。
決める前に社長が自分でつかんでおきたいお金の流れについては、次の記事でもくわしく取り上げています。
- 黒字なのに資金繰りが苦しい理由…社長が自らやるべき資金繰りの実務とは?
- 売上8億円でも会社は潰れる…倒産を防ぐカギは事業ではなく会計にある
- 創業37年の会社が売上減と横領で倒産…現金残高を毎日確かめる3つのステップ
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決めるのは、あなたです。
そのための材料を、まずは一緒にそろえてみませんか。
資金繰りの課題を抱える
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