2026年9月、福岡県筑後市で葬祭用の贈答品を販売していた会社が、破産開始決定を受けたと報じられました。
売上の低迷が続くなか、社内で横領が起き、資金繰りに行き詰まったといいます。
誰が、どのように横領したのかまでは報じられていません。
ただ、会社のお金の出入りを社長がどこまで自分でつかんでいるかは、どんな会社にも関わる話です。
あなたは、毎日のお金の残高を、自分の目で確かめていますか?
創業37年の贈答品販売会社が破産開始決定
報道の要点は、次のとおりです。
福岡県筑後市の贈答品販売会社は、1989年4月の設立。香典返しの品を中心に、葬祭用の贈答品を店頭で販売するほか、葬祭業者などへの卸販売も手がけていた。2002年10月期には約5,350万円の売上があったが、その後は同業他社との競合や贈答品の需要の低下などで、売上は少しずつ減少。新型コロナの影響で業績はさらに悪化し、近年の売上は約3,000万円まで落ち込んでいた。コロナ禍のあとも、葬儀の小規模化や単価の低下などから業況は改善しなかった。そこへ社内で横領が発生し、資金繰りに窮して事業の継続を断念。2026年9月15日、福岡地裁八女支部から破産開始決定を受けた。負債は約2,200万円。
— 2026年9月、東京商工リサーチ福岡支社の情報をもとにしたRKB毎日放送の報道と、JC-NETの報道をもとに要点を整理
売上が減って手元のお金に余裕がなくなっているときに、思わぬ損失が重なれば、資金繰りはたちまち苦しくなります。
ここからは、会社のお金の流れを社長がどうつかんでおくかの話です。

経理を「任せる」と「委ねる」は違う
経理の担当者を置いている会社や、身内に帳簿をつけてもらっている会社は多いでしょう。
「経理は家族に任せている」「お金のことは番頭に任せている」と話す社長も、珍しくありません。
たちばなはじめは、経理を「任せる」ことと「委ねる」ことは、まったく違うと言います。
任せるとは、社長が数字の中身をわかったうえで方針を決め、その実務を担当者にやってもらうことを指します。
委ねるとは、「自分はよくわからないから、やっておいて」と、中身をつかまないまま預けてしまうことです。
言いかえれば、丸投げ。
「任せている」と言いながら、実際には委ねている社長が多いのです。
資金繰りだけは社長にしかできない
営業や製造、事務の仕事は、社員に任せることができます。
ところが、資金繰りは違います。
「社長、今月はお金が足りなかったので、私が穴埋めしておきました」
そんなふうに言ってくれる社員はいません。
お金が足りないとき、どこからお金を工面し、何を先に払うのか。
それを決めるのは、社長です。
たちばなはじめの言葉を借りれば、社長が自分でやるべき仕事は「お金をつなぐこと」と「決めること」の2つです。
そして、決めるための材料は、数字しかありません。
数字を見ていなければ、お金が足りなくなる兆しにも、説明のつかないお金の減り方にも、気づくのが遅れてしまいます。
資金繰りを担当者に預けても、行き詰まったときのしわ寄せは、最後は社長に返ってくる。
社長が経理を丸投げしてはいけないのは、このためです。
たちばなはじめも会計は経理まかせだった
たちばなはじめは、かつて燃料油の卸・小売を中心に、複数の事業を営んでいた時期があります。
もともと会計は経理まかせで、自分で細かく数字を追ってはいませんでした。
売上と利益さえ見えていれば、事業は回る。
そう思い込んでいたのです。
ところが、資金繰りが少しずつ苦しくなってきたことをきっかけに、自分で会計を学び始めます。
伝票を書き、現金出納帳をつけ、銀行の残高と手元の現金を合わせてメモしていきました。
そうした作業を数か月続けるうちに、それまで気づかなかった会社の問題が、次々と浮かび上がってきました。
「こんな大切なことを、人任せにしていたのか」
「任せている」つもりで、実は委ねていただけでした。
ですが、その努力は実らず、結果的には多額の負債を抱えて、事業は破綻してしまいます。
数字をおろそかにしたことが、事業を窮地に追い込んだ入口だった。
自身の体験から、そう痛感したのです。
だからこそ、たちばなはじめは「事業の根幹は事業ではなく会計にあり」と説いています。

現金の残高を毎日確かめる3つのステップ
では、何から始めればいいのでしょうか。
いきなり、経理のすべてを社長がやる必要はありません。
やることは、次の3つです。
- 毎日、手元の現金と銀行の預金残高を足して、その日の合計を書き出す
- 1か月前の同じ日、1年前の同じ日と比べて、増えているか減っているかを見る
- 減っていたら、何にお金が出ていったのかを確かめる
1つ目の合計が、その日に会社が持っているお金です。
かかる時間は、1日10分ほどです。
2つ目は、始めたばかりで比べる合計がなくても、通帳などで1か月前や1年前の同じ日の預金残高をさかのぼれば比べられます。
お金が減り続けているとわかったら、このままのペースでいつ底をつくのかも出しておきましょう。
3つ目を続けていると、「この支払いは何のお金だろう」「この経費は、なぜ増えたのか」と、気になるところが出てきます。
わからないお金の動きがあれば、その場で担当者に確かめればいいのです。
4〜5か月も続ければ、会社の数字の中身が見えてきます。
中身がわかったうえで経理の実務を担当者にやってもらうなら、それはもう丸投げではなく「任せる」です。
その日の残高に目を通すことだけは、社長が続けてください。
数字から目をそらしてはならない
売上が減っているときほど、手元のお金に余裕はありません。
だからこそ、その日の残高を社長が自分でつかんでおく必要があります。
お金が減り続けているとわかれば、お金が残っているうちに手を打てます。
数字、とくに現金の流れから、目をそらしてはいけません。
会社のお金の流れを数字でつかむことについては、次の記事でもくわしく取り上げています。
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