倒産のニュースでは、「債務超過に陥っていた」という言葉がよく出てきます。
決算書を見て、自分の会社も債務超過になっていると知り、不安を感じている社長もいるでしょう。
「債務超過になったら、銀行はもう貸してくれないのか」
「このまま会社を続けて大丈夫なのか」
そう思いながらも、何から手をつければいいのか分からないかもしれません。
まずは、債務超過とはどんな状態なのかを知っておきましょう。
債務超過とは?赤字との違い
債務超過とは、会社の負債の合計が、資産の合計を上回っている状態のことです。
決算書でいえば、貸借対照表で負債の部の下にある「純資産の部」の合計が、マイナスになっている状態を指します。
よく混同されるのが赤字です。
赤字は損益計算書の話で、その期の収益より費用のほうが多かったということ。
債務超過は貸借対照表の話で、決算日の時点で、資産より負債のほうが多いということです。
赤字の年が続けば、そのぶん純資産が減り、やがて債務超過に陥ります。
逆に、今期は黒字でも、これまでの赤字が大きければ債務超過のまま、という会社もあります。
中小企業基盤整備機構の解説によると、債務超過の状態では、仮に会社を清算して全資産を売却しても、返済できない借入金が残ってしまいます。
社長が連帯保証をしていれば、その残りの返済は社長個人に求められます。
会社が止まるのは現金が尽きたとき
債務超過と聞くと、すぐにでも会社が立ち行かなくなるように感じるかもしれません。
ですが、会社の動きが止まるのは、支払いに回すお金が尽きたとき。
債務超過でも、給料や仕入れ代金、毎月の返済を払い続けられているうちは、事業は続いていきます。
反対に、決算書の上では黒字でも、現金が尽きれば支払いは止まってしまいます。
たちばなはじめは、資産より負債が多い債務超過は、中小零細の会社ではもはや当たり前だと言い切っています。
債務超過という言葉だけで、必要以上に慌てることはありません。
では、そのままにしておいてよいのか。
そうとは言えません。
債務超過になると、銀行の見る目が変わってくるからです。

債務超過になると銀行融資はどうなるか?
銀行は決算書をもとに、貸したお金がきちんと返ってくるかを確かめてから融資を決めます。
決算書が債務超過になっていれば、新しい融資は受けにくくなります。
中小企業基盤整備機構の同じ解説では、債務超過のデメリットとして、会社の倒産の原因になることに加え、次のようなことが挙げられています。
銀行からの新規の借入が難しくなります
銀行が、金利引き上げや借入金の早期回収を要求することがあります
仕入先や販売先からの信用が低下します
— 中小企業基盤整備機構「J-Net21」の解説より引用
しかも、決算書の数字が実態より良く見えていることもあります。
日本政策金融公庫の手引では、決算書の上では資産のほうが多くても、実質的には債務超過になるケースがあると説明しています。
回収が難しい売掛金があったり、減価償却をしていない固定資産があったり、決算書に載っていない借入金があったりする場合です。
決算書ですでに債務超過で、しかも回収の難しい売掛金などがあれば、中身を見直したときのマイナスは、さらに大きくなります。
たちばなはじめに言わせれば、いつ、いくら、どんな条件で貸すかは、すべて貸す側が決めること。
「これまで借りられたから、次も借りられる」とは限らないのです。
返済のために借りて、また返す。
そうやって資金繰りを回してきた会社ほど、新しい融資が下りなくなったとたんに、お金が回らなくなってしまいます。
借りても純資産は1円も増えない
知っておいてほしいのは、お金を借りても、債務超過は解消しないということ。
銀行から借りると、手元の現金という資産が増えます。
ですが、借入金という負債も同じ額だけ増えるので、純資産は変わりません。
借りたお金で赤字を埋めても、赤字のぶんだけ純資産は減っていきます。
債務超過を解消するには、利益を出して積み上げるなど、純資産そのものを増やすしかないのです。
中小企業基盤整備機構の解説でも、いくつかある解消の方法のなかで、利益について次のように書かれています。
とくに、毎期の経常利益がプラスになるように経営体質を改善することについては、債務超過解消の即効性は低いものの、債務超過の根本原因の解決になるほか、企業の継続的な成長にとって不可欠なため、積極的に取り組む必要があります。
— 中小企業基盤整備機構「J-Net21」の解説より引用
債務超過が深い会社の社長から、たちばなはじめのもとには「どうやったら事業を続けられるだろうか」という相談が寄せられます。
そのとき重く見ているのが、事業の採算が合っているか、つまり営業利益が出せているかどうかです。
採算が合わないまま続けても、問題を先送りするだけ、というのがたちばなはじめの考えです。

決算書と通帳で確かめる3つの数字
決算書で債務超過に気づいたら、確かめることは次の3つです。
- 貸借対照表の純資産の部の合計が、いくらのマイナスになっているか
- 損益計算書の営業利益が、プラスかマイナスか
- 新しく借りたお金を除いて、毎月の返済を払ったあとに通帳のお金が増えているか減っているか
1つ目は、債務超過がどのくらい深いかを知るための数字です。
2つ目の営業利益は、本業で稼いだ利益のことです。
ここがマイナスなら、本業の採算が合っていないということ。
営業利益がプラスでも、借入の利息などを払ったあとの経常利益がマイナスなら、安心はできません。
資産を売った利益のような一時的なものがなければ、純資産はその年も減ってしまいます。
こうした年が続けば、借りてしのいでも、債務超過は深くなっていきます。
そして3つ目は、手を打つための時間が減っていないかを教えてくれる数字です。
利益や純資産は、決算を締めてから分かる数字。
通帳のお金は、いま開けばすぐに分かります。
債務超過でも、現金が残っていれば、事業の続け方を考え直す時間があります。
返済のあとに通帳のお金が減り続ければ、その時間もなくなってしまいます。
決算書と通帳を人任せにせず、この3つの数字だけは社長自身の目で確かめてください。
たちばなはじめ自身、もともと会計は経理まかせで、自分で細かく数字を追ってはいませんでした。
資金繰りが少しずつ苦しくなってきたことをきっかけに、自分で会計を学び始めました。
ですが、その努力は実らず、多額の負債を抱えて事業は破綻してしまいました。
その経験から説いているのが、「事業の根幹は事業ではなく会計にあり」という教えです。
債務超過に気づいたときが見直しどき
債務超過は、借りて回す資金繰りを続けにくくなる合図です。
たちばなはじめは、傷が浅いうちに手を打てば立て直しも早いと、言い続けています。
債務超過が深い会社でも、気づいたいまが、いちばん早く手を打てるときです。
手元にお金が残っているうちに、採算の合わない仕事や、借りて返す回し方を見直してください。
会社と社長にお金を残す基本的な考え方は、たちばなはじめが書き下ろした無料の電子書籍『会社と社長にお金を残す資金繰り改善の教科書』にまとめています(公式LINEを友だち追加するだけで届きます)。
教科書の内容を概論としてお伝えするセミナーも、定期的に開催しています。
利益と現金のずれや、資金繰り表については、次の記事でもくわしく取り上げています。
純資産のマイナスが年々深くなり、返済のあと通帳のお金も減り続けている。
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