2026年10月26日、鳥取県大山町の土木工事会社が、事業を続けることをあきらめ、後の処理を弁護士に任せたと報じられました。
1973年に創業し、県や町が発注する公共工事を元請として受けてきた会社です。
公共工事の減少や同業者との競争で規模が縮み、2026年5月期の売上は、2億円を超えていた時期のおよそ3分の1にまで減っていました。
公共工事を受けてきた地方の土木会社や建設会社にとって、ひとごとではないでしょう。
仕事が戻るのを待つのか、会社を小さくして続けるのか、それとも早めにやめるのか。
受注が減っていくとき、あなたは何を見て判断すればいいのでしょう。
公共工事の減少などで創業53年の土木会社が倒産
東京商工リサーチ米子支店の情報として、BSS山陰放送と日本海テレビが伝えた内容は次のとおりです。
鳥取県大山町の土木工事会社は、1973年1月に創業し、1994年に法人化した。鳥取県や大山町が発注する公共工事では元請、民間の工事では下請として仕事を受けてきた。
年商が2億円を超えた時期もあったが、公共工事の減少や同業者との競争で規模が縮小し、近年は利益を出しにくく、赤字の年もあった。
2026年5月期の完成工事高は約6,902万円で、赤字だった。受注が好転する見通しが立たず、資金繰りも限界に達したため、事業の継続を断念し、事後処理を弁護士に一任した。負債は2026年5月期時点で約4,595万円。
— 東京商工リサーチ米子支店の情報を伝えたBSS山陰放送・日本海テレビの報道(2026年10月26日)より要点を整理
完成工事高は、建設会社の売上にあたる数字です。
この会社が仕事の減少にどう向き合ってきたのかまでは、報じられていません。
ここからは、同じように公共工事を受けてきた土木会社や建設会社の社長に向けたお話です。
工事の量は選べないのに重機と人はすぐには減らせない
道路や河川の工事など、地域の暮らしを支える仕事を担っているのが、地元の土木会社です。
公共工事の量は、国や県、市町村の予算で決まります。
しかも、公共工事は入札で請け負う会社を決めることが多く、同業者と価格などで競うことになります。
自社がどれだけ努力しても、発注される工事の量そのものを増やすことはできません。
一方で、土木の仕事に欠かせないのが、重機やダンプなどの機械と、それを動かす従業員。
仕事が減ったからといって、すぐに機械を手放したり、人を減らしたりはしにくいものです。
「いま人を手放したら、仕事が戻ってきたときに現場が回らない」
「長年一緒にやってきた従業員を、会社の都合で辞めさせるわけにはいかない」
そう考えて、仕事が減っても、機械も人もそのまま抱え続ける社長は多いでしょう。
ですが、機械のリース代や借入の返済、人件費は、仕事の量にかかわらず毎月出ていきます。

建設会社を続けるか廃業するかを決める3つのポイント
たちばなはじめは、メルマガのなかで次のように書いています。
「ビジネスにおいて最も大事なのは『市場の趨勢を観る』と言う概念です」
自分の商売の市場は広がっているのか、縮んでいるのか。
同業のライバルは増えているのか、減っているのか。
この2つを前もって知っておくだけでも、事業への考え方は大きく変わるという意味です。
公共工事を受けてきた会社に当てはめると、続けるか廃業するかを決めるポイントは次の3つです。
- 公共工事の量はこの先増えるのか、減るのか
- 同じ地域の同業者は増えているのか、減っているのか
- 見込める仕事で、決まって出ていく支払いをまかなえるのか
1つ目の公共工事の量は、感覚ではなく数字で見ることができます。
県や市町村は、毎年度、その年に発注する予定の公共工事のうち、一定の金額を超えるものの見通しを公表しています。
地元の発注の見通しに目を通し、手持ちの工事と合わせて、この先1年で見込める仕事を書き出してみてください。
これまでに受けてきた工事の量と比べれば、仕事が増えているのか減っているのかが分かります。
見通しを見ても工事の量が増えそうにないなら、仕事が戻るのを待つという考え方は成り立ちにくくなります。
2つ目は、同業者の数。
県や市町村が公表している入札の結果を見れば、一定の金額を超える工事なら、何社が入札し、いくらで落札されたかが分かります。
工事の量が減っても入札に加わる会社の数が変わらなければ、競争は厳しくなり、1件で残る利益も小さくなりがちです。
反対に、廃業などで入札に加わる会社が工事の量以上に減っていれば、残った会社に仕事が回り、小さくして続ける道も見えてきます。
そして3つ目は、見込める仕事で、決まって出ていく支払いをまかなえるかどうかです。
機械のリース代、人件費、事務所の家賃などなど、仕事がなくても出ていくお金を、まず1年分書き出します。
そのうえで、見込める仕事で入ってくるお金から、材料費や外注費、燃料代を引いた残りと比べてみてください。
このとき、借入の返済は分けて考えます。
返済を除けばまかなえるのなら、事業そのものは回っています。
苦しいのが返済のほうなら、人を減らしたり会社をたたんだりする前に、金融機関との交渉方法を見直す道があります。
家族や従業員、取引先への支払いを守るのが先で、銀行への返済は一番最後です。
返済を除いてもまかなえないなら、次に見直すのは会社の大きさです。

市場が縮むなら売上を追わず減収増益を目指す
公共工事が減ると、減った分の売上を、利益の薄い仕事や、価格を下げた入札で埋めたくなります。
ですが、市場が縮んでいるなかで売上を元に戻そうとすれば、少ない仕事を同業者と取り合うことになります。
価格を下げて取った工事でも、材料費や燃料代、作業員への支払いは、同じように出ていきます。
利益の薄い工事をいくら増やしても、忙しくなるばかりで、会社に残る利益はわずかです。
人口が減っていく今の日本の商売について、たちばなはじめはこう伝えています。
「人口減少社会、斜陽国家における会計のセオリーは『減収増益』を志向する事です」
減収増益とは、売上が減っても、利益が増える形のことです。
売上を伸ばすより、経費を減らすほうが、利益への効き目は確かです。
公共工事が減っていくなら、まず機械の持ち方から見直します。
使う日の少ない重機は、入れ替えの時期が来ても買い替えず、必要な日だけレンタルにする。
人についても、辞めてもらう前に、定年や退職で抜けた分を補わず、時間をかけて仕事の量に合わせていく方法があります。
こうして会社を身の丈に合った大きさにし、売上の数字は小さくなっても、利益が残る会社に変えていくという発想です。
ただし、会社を小さくするのにもお金がかかります。
リースで借りている機械は、原則として途中で解約できません。
リース会社と話し合って途中で返す場合も、残りの期間のリース料にあたるお金の支払いを求められます。
借入で買った重機は、売っても借入が残ることもある。
資金繰りが苦しくなってからでは、会社を小さくするためのお金も時間も足りなくなります。
減収増益に切り替えるのも、やめると決めるのも、早いほうが手元にお金を残せます。
仕事でまかなえないなら次の入札の前にやめ方を決める
会社を小さくしても、返済を除いた支払いさえ見込める仕事でまかなえないと分かったら、やめることを考えるときです。
たちばなはじめは、事業が回るなら応援し、「事業が廻りにくいのであれば早期の廃業を促します」と明言しています。
早めの廃業を勧めるのは、続けるほど、まかなえない分が毎月、手元のお金から出ていくからです。
会社をたたむとなれば、「地域の工事に穴をあけてしまう」「従業員の行き先はどうなる」と迷うのは当然でしょう。
ですが、閉じ方しだいで、その2つの心配は小さくできます。
たとえば、新しい入札には加わらず、手持ちの工事を最後まで仕上げてから閉じる。
これなら、地域の工事に穴をあけずに済みます。
人手が足りない同業者のなかには、経験のある従業員を迎え入れたい会社もあります。
リースの期間が終わった機械から順に返し、新しい借入やリースを組まないでおけば、やめるときに残る支払いを少しずつ減らせます。
お金が尽きてからでは、こうした順番を選ぶ余裕もなくなり、従業員への給料も、協力会社への支払いも、家族の暮らしも守れなくなってしまう。
私たちは、会社をたたむときも、倒産や破産をせずに解決できる可能性を最後まで探ります。
支払いのやりくりで手いっぱいになっている方にも、まだ選べる道は残っています。
建設業の資金繰りと、金融機関との交渉については、次の記事でも取り上げています。
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無料の個別相談では、見込める仕事と出ていくお金をうかがったうえで、続ける場合とやめる場合のそれぞれの進め方をお伝えします。
仕事が戻るのを待つか、小さくして続けるか、やめるか。
書き出した数字を前に、次の入札に加わるかどうか迷ったときが、私たちに声をかけていただくちょうどいい時期です。
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