リフォーム会社の倒産が過去最多ペース…値引きする前に1件で残るお金を計算する

値引きする前に工事1件で残るお金を計算することを伝えるたちばなはじめ

2026年10月11日、東京商工リサーチから、リフォーム工事会社の倒産が1-9月で96件にのぼり、2002年以降で最も多くなったと発表されました。

住宅ローンの金利上昇や地価の高騰で、中古住宅に注目が集まるなかでの発表です。

調査は、リフォーム代金の値引きなどで経営環境が厳しさを増し、「利益なき工事」での息切れ倒産が浮かび上がっていると伝えています。

「仕事は途切れていないのに、手元にお金が残らない」

もしあなたがそう感じているなら、次に値引きを求められたとき、答える前に工事1件でいくら残るかを確かめてみてください。

1割の値引きでも、会社に残るお金は1割減では済まないからです。

目次

リフォーム会社の倒産は過去最多ペースで「赤字累積」が7割増

東京商工リサーチの調査の要点は、次のとおりです。

2026年のリフォーム工事会社の倒産は、1-9月で96件(前年同期比20.0%増)に達し、2002年以降の最多を更新した。このペースだと年間120件を超える。

1-9月に倒産した96件を分析すると、原因別では、最多は販売不振の67件(前年同期比19.6%増)で、「赤字累積」は17件(同70.0%増)だった。この2原因で約9割を占めた。

負債額は、1億円未満が78件(構成比81.2%)と小規模倒産が中心になっている。

— 東京商工リサーチ TSRデータインサイト「リフォーム工事業の倒産、過去最多ペース」(2026年10月11日)より引用

倒産した会社の8割は、負債1億円未満の小さな会社です。

原因で最も多いのは販売不振の67件です。

目を引くのは、件数は17件ながら、前の年の同じ時期より7割増えた「赤字累積」、つまり赤字が積み重なった末の倒産です。

1件ごとの赤字は小さくても、重なれば手元のお金は減っていきます。

では、利益の出ない工事は、なぜ断りにくいのでしょうか。

リフォーム会社が値引きを断りにくい理由

調査は、リフォーム会社が置かれている状況を次のように伝えています。

資材高騰、働き方改革による職人不足、人件費上昇などに加え、受注競争も年々厳しさが増している。値引きの行き着く先は、赤字受注だ。業界関係者は、「競合のなかでユーザー側が強くなる傾向もみられる」と耳打ちする。

物件価格が上昇するなか、購入者の予算や住宅ローンの目安を超え、リフォーム分の値引きで帳尻合わせする構図だ。

— 東京商工リサーチ TSRデータインサイト「リフォーム工事業の倒産、過去最多ペース」(2026年10月11日)より引用

中古住宅の値段が上がれば、買う人の予算は物件の代金でいっぱいになります。

そのしわ寄せが、リフォーム代金の値引きとなって、リフォーム会社に回ってくるわけです。

調査のなかでは、首都圏の不動産会社の代表も、値下げの要求が厳しく、割を食ったリフォーム工事会社が倒産していると話しています。

リフォーム会社の側にも、値引きを断りにくい事情があるでしょう。

「ここで断ったら、職人さんに回す仕事がなくなる」

「うちが断っても、お客さんはほかの会社に頼むだけ」

そう考えて、少しくらい安くしても仕事を取りにいく気持ちは、痛いほどわかります。

ですが、値引きした分は、そのまま会社に残るお金から差し引かれていくのです。

見積書と材料のサンプルでリフォーム工事の採算を確認するイメージ

1割の値引きで残るお金は1割減では済まない

かつて小売業を営み、競合店との値下げの消耗戦に巻き込まれたこともあるたちばなはじめは、メルマガで次のような計算を紹介しています。

かかるお金が1本80円の水を、110円で売れば儲けは30円。

100円に値下げすれば、儲けは20円になります。

売値は9%しか下がっていないのに、儲けは33.3%も減ってしまいます。

かかるお金は、売値を下げても安くならないからです。

リフォームの工事にあてはめてみましょう。

たとえば、300万円の工事で、材料費や外注費、職人さんの手間に240万円かかり、60万円が残るとします。

ここで1割の30万円を値引きして工事代金が270万円になっても、かかるお金は240万円のままです。

残るのは30万円で、値引きは1割でも、工事1件で残るお金は半分になります。

2割の60万円を引けば、残るお金はゼロ。

そこへ資材の値上がりが重なれば、工事をするほど会社のお金が出ていきます。

調査が「値引きの行き着く先は、赤字受注だ」と書いているのも、この計算をたどればよくわかります。

値引きした分を工事の数で取り返すのは難しい

「値引きしても、そのぶん工事を多く受ければいい」

そう考える方もいるかもしれません。

ですが、先ほどの1割値引きの例で、もとの60万円と同じお金を残すには、工事を2倍受けなければなりません。

水の例でも、値下げ前と同じ儲けを出すには1.5倍を売る必要があり、たちばなはじめはそれをいまの日本ではほぼ不可能だと言い切っています。

会社には、工事がなくても毎月出ていくお金があります。

事務所の家賃や事務員の給料、車の費用、そして借入の返済などなど。

仮にそれが毎月120万円なら、1件60万円が残る工事は、月2件でまかなえます。

1件30万円しか残らなければ、月4件が必要です。

ところが、肝心の職人さんが足りない。

調査でも、働き方改革による職人不足や人件費の上昇が、資材高と並んで挙げられていました。

たちばなはじめは、働き手が減っていくなかで、採算の苦しい小さな会社が人を何人も雇って仕事の数を増やすのは現実的ではないと言います。

人口が減るなかでお客さんの数を増やそうとすれば、値段を下げる以外に手はない、とも説いています。

工事の数で取り返そうとするほど、安値の競争から抜け出せなくなるのです。

予定表と支払書類で必要な工事の数を確かめるイメージ

残るお金と必要な工事の数を出す3つのステップ

赤字の工事を受けても、通帳のお金がすぐに尽きるわけではありません。

工事代金が入るたびに残高は増え、材料や職人さんへの支払いで減っていきます。

お金が出入りしているあいだは、1件ごとの赤字が通帳には表れにくいのです。

気づいたときには、毎月の支払いに手元のお金が足りなくなっていることもあります。

だからこそ、値引きを求められたら、答える前に数字を出してみてください。

やることは次の3つです。

  1. 値引きした後の工事代金から、材料費・外注費・職人さんの手間を引き、1件にいくら残るかを出す
  2. この値段の工事ばかりになったとして、工事がなくても毎月出ていくお金(1で引いた分は除く)と借入の返済を合わせ、1で出した金額で割って、月に何件の工事が要るかを出す
  3. 月にそれだけの注文が入り、いまの職人さんの人数でこなせるかを確かめる

先ほどの例で、どの工事も1割引きになれば、120万円を30万円で割って月4件です。

3つ目で注文か人手のどちらかが足りないなら、その値引きに応じるほど、毎月の支払いと返済に回すお金が足りなくなっていきます。

値段でついてくるお客は値段で逃げていく

利益の残らない工事を断れば、売上は減るかもしれません。

「職人さんに回す仕事がなくなる」という心配もあるでしょう。

ですが、職人さんの手が限られているいまは、安い工事で手がふさがると、残るお金の多い工事が来たときに受けられません。

限られた手は、残るお金の多い工事に回したいところです。

値段だけで選ぶお客さんは、次はもっと安い会社へ移っていきます。

たちばなはじめの言葉を借りれば、「値段でついてくる客は値段で逃げていく」。

売上が減っても、残るお金が増えれば、会社は続けていける。

人口が減っていく日本で目指したいのは、売上が減っても利益が増える「減収増益」です。

すでに赤字の工事が重なり、支払いや返済に追われている方もいるでしょう。

その場合も、最近の工事を1件ずつ、いくら残ったかを出すところから始められます。

お金が残っているうちに動けば、選べる道はそれだけ多くなります。

建設の仕事を請け負う会社の資金繰りや、値上げできない会社の立て直し方については、次の記事でもくわしく取り上げています。

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教科書の内容を概論として、たちばなはじめが直接お伝えするセミナーも、定期的に開いています。

値引きにどう答えるか迷ったときは、無料の個別相談で、1件ごとの数字を一緒に出してみましょう。


値引きする前に工事1件で残るお金を計算することを伝えるたちばなはじめ

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