YouTubeチャンネル「社長の資金繰り相談室」の第18回のテーマは、老舗の倒産です。
帝国データバンクが2026年9月に発表した調査では、業歴100年以上の老舗企業の倒産が、過去最多を上回るペースで続いています。
事務局の谷本が聞き手となり、第二会社方式に頼らない「再創業」という選択肢について、たちばなはじめに聞きました。
あなたも「老舗だから」「地域で大事にされているから」と、苦しい事業を続けていませんか?
お時間のないときは、このまま記事だけでもお読みいただけます。
見切りをつけるなら資金があるうちに
たちばなはいま、創業110年になる会社の4代目の廃業をサポートしています。
事業を続けるのはもう難しいと判断し、110年の歴史に自ら幕を下ろすと決めた方です。
ある程度お金が残っているうちに手を打ったので、手元にお金を残したまま、いまは別のジャンルの事業で再創業し、一生懸命に仕事をされているそうです。
日本では「創業元禄何年」といった歴史がありがたがられ、老舗を続けたいという思いで相談に来る人もこれまでにいたといいます。
「継続は力なり」も、日本人が好む言葉。
ですが、たちばなはこう話しています。
「継続は力だけど、見切りも力」
続けることは考えても、見切りについては考えない人が多い、という指摘です。
聞き手の谷本が言うように、資金がすり減ってから相談に来る人も少なくありません。
最近も、営業利益が出ていない会社から相談がありました。
営業利益が出ていないということは、そもそも事業として採算が合っていないということ。
借入金の返済をどうしようと立ち行かないのだから、早くやめたほうがいい、とたちばなは伝えたといいます。
その相談者は「今売上が伸びてきたんです」と話していましたが、売上が伸びれば今度は税金も増える、と返したそうです。
聞き手の谷本も、売上が上がってくると、いけるんじゃないかとみんな思ってしまうのだろうと話します。
たちばなに言わせれば、そこが落とし穴。
また谷本は、創業110年の4代目がうまく立て直せたのは、お金が残っているうちに動いたからだとも話しています。
たちばなも「とにかく資金が残ってるか残ってないかなんですよ」と応じます。
残っていたほうが、立て直しは早い。
だから「資金繰り我慢しちゃダメだよ」と伝えているのに、多くの人は我慢してから相談に来るといいます。
3,000万円、5,000万円というお金を使い果たしてから訪ねてくる人もいて、本当にもったいない、と口にします。

事業を続けることと会社を続けることは違う
ネットニュースで老舗の倒産が報じられると、記事の終わりに「現在は別法人が運営している」と書かれていることがあります。
たちばなは、これこそ事業を続けることと会社を続けることは違う、という裏付けだと言います。
老舗の温泉宿をはじめ、パチンコ店や和菓子屋でも、運営する会社が変わったり、ブランドはそのまま、あるいは少し変えて再創業したりするところは少なくないそうです。
会社が変わっても、事業は続けられるということです。
ところが、この話をすると「それ、第二会社方式ですか?」と聞かれることもあります。
たちばなの答えは「違う、違う、違う」。
第二会社方式は時間もお金もかかる
そもそも、第二会社方式とは何か。
中小企業基盤整備機構のサイト「J-Net21」では、次のように説明されています。
「第二会社方式」とは、過剰債務を抱えて経営難に陥っている会社から採算性の良い事業だけを会社分割や事業譲渡によって別会社(第二会社)へ分離することで優良事業の存続を図り、不採算事業・過剰債務とともに残された旧会社を清算などしてしまう事業再生手法です。
— 中小企業基盤整備機構「J-Net21」の解説より引用
たちばなによれば、この方法は債権者である金融機関の同意と協調を得て進めるもの。
中堅企業や大企業なら、立て直してまた借りたり返したりしてくれればいいと、金融機関も協力することがあります。
ですが、中小零細の会社に、金融機関は基本的に協力しない、とたちばなは見ています。
協力を取り付けようとすれば、専門家に間に入ってもらい、交渉を重ねることになります。
当然、それなりの報酬が出ていきます。
しかも、時間がかかればかかるほど、会社のお金はどんどん流れ出ていく。
だからこそ、立て直しは時間をかけずに進めるべきだ、とたちばなは考えています。
大がかりな第二会社方式には、あまり手を出さないほうがいい、というのがたちばなの私見です。

再創業や事業の売却で老舗を残す
では、どうすればいいのか。
たちばなは、再創業という形でいいのではないかと話しています。
第二会社方式よりも、普通に事業を売ったり買ったりする形でいい、ということです。
たとえば、事業を第三者の会社に売り、社長や職人さんはその会社に残って仕事を続けるやり方。
中間管理職として社内に残る、という形があってもいい、と続けます。
その際は、事業売買の契約書にお金の流れまできちんと書き、契約どおりにお金のやり取りをします。
税理士や行政書士に文書を作ってもらい、それに沿って進めれば問題ない、という考え方です。
ただ、事業の進め方には一定のノウハウが要る、とも話しています。
こうした形で、老舗の事業は生き残っていくのだといいます。
不動産に執着しなければ交渉はしやすい
借入金が残っている場合は、どう話し合えばいいのか。
借入に信用保証協会の保証が付いているなら、金融機関には保証協会から代位弁済を受けてもらい、そのあとは協会にいくらかずつ返していくほうが合理的だ、とたちばなは考えています。
代位弁済とは、保証協会が借り手に代わって金融機関に返済することです。
元金を据え置いて利息だけを払う一般的なリスケジュールでは経済効果が少なく、代位弁済のあと協会に返していくほうがコストも抑えられるからだといいます。
金融機関は協会から返済を受けられ、借り手は保証料を払ったうえで協会にも返していくのだから、文句を言われる筋合いはない、とまで言い切ります。
ここでカギになるのが、不動産への向き合い方。
保証協会から「不動産差し押さえます」と言われても、執着がなければ「どうぞ差し押さえてください」と言える、とたちばなは話します。
そうなれば、決まった額を払っていく交渉もしやすくなるそうです。
実際、たちばな自身も、不動産を残そうとするのをやめたら、金融機関との交渉がすごくスムーズに進んだと振り返っています。
不動産を維持しようとすることは、金融機関に弱みを握られることでもある、と経験から語っています。
歴史や看板に左右されない
老舗の場合、先代、さらにその前の代から重ねてきた借入金を背負っている社長もいます。
時代も違うと前置きしたうえで、たちばなはこう語ります。
「親父やじいちゃんが残してくれたものを維持するために、その人の子供や孫や配偶者が不憫な思いをするっていうことはね、きっとご先祖様も望んでおられないんではないか」
「老舗なんだ」「地域で大事にされてるんだ」と事業を続けようとする相談者には、そのために奥さんやお子さんの暮らしが苦しくなっていないかを問いかけるそうです。
たちばな自身、先祖への申し訳が立たないという思いがなかったわけではありません。
それでも、今を生きているのは妻であり、子どもであり、自分自身。
そう考えを改めて、不動産を残そうとするのをやめたといいます。
長く続いてきたこと自体がプレッシャーになるくらいなら、運営する会社を変えてみればいい、とも話します。
「看板、看板言い過ぎよ」
あまり歴史に左右されないことが大事だ、とたちばなは言います。
聞き手の谷本も、倒産や破産だけが出口ではないことを知ってほしい、と話しています。
老舗の倒産や、信用保証協会の代位弁済については、次の記事でも取り上げています。
- 老舗倒産が過去最多ペース…先代からの借入金と根抵当権を確認する3つのステップ
- 和菓子屋の倒産が過去最多ペース…看板を守りたい老舗の社長が見る数字とは?
- リスケで利息だけ払っても元金は残る…信用保証協会の代位弁済後と比べる
その他、資金繰り改善や事業再生に関する情報はチャンネル「社長の資金繰り相談室」でご覧いただけます。
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お金が残っているうちに、まずは一度ご相談くださいね。
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