リスケで利息だけ払っても元金は残る…信用保証協会の代位弁済後と比べる

相談室を背景に立つたちばなはじめ

YouTubeチャンネル「社長の資金繰り相談室」の第16回のテーマは、信用保証協会です。

保証協会の保証を付けて融資を受けている社長は多いのに、その仕組みを分かって借りている人は「ゼロに等しい」と、たちばなはじめは言います。

返済が苦しくなり、銀行にリスケジュールを頼んで、利息だけを払い続けている社長も少なくないはず。

ところが、同じ金額を払うなら、代位弁済のあとに協会へ払うほうが元金は減っていく、というのが動画での答えです。

事務局の谷本が聞き手となり、国語と算数の両面から、保証協会付き融資の仕組みとリスケジュールの損得を聞きました。

お時間のないときは、このまま記事だけでもお読みいただけます。

目次

信用保証協会が保証しているのは銀行

まずは国語の話からです。

辞書に載っている「保証」には、2つの意味があります。

1つ目は、「この人なら大丈夫」と認めて責任を持つこと。

2つ目は、お金を借りた人が約束どおりに返せないときに、第三者が代わりに返すことです。

たとえば、ある社長が銀行から1,000万円を借り、200万円を返したところで、残りの800万円が返せなくなったとします。

そこへ親しい知人が「代わりに払っておくよ」と穴を埋めてくれたら、どうでしょう。

銀行は穴が埋まって助かり、社長も助かり、知人も仲間を助けられてよかったと思えます。

関わった全員が喜べるのが、辞書に載っている保証です。

では、この知人が信用保証協会だったら、どうなるのか。

動画の説明では、返済が3か月ほど止まると「期限の利益」を失い、銀行は信用保証協会に代位弁済を請求します。

保証人である協会が、残りを銀行に払う。

これが代位弁済です。

ところが協会は、そのあと払った分を社長に請求してきます。

差し押さえを受けることさえある、と動画では語られています。

しかも、信用保証料を払っているのは、借りた社長のほうなんです。

「銀行を信用して銀行を保証するのが信用保証協会で、我々にとっては一時建て替え払い協会なの」

保証されているのは銀行のほうで、借りた側は信用も保証もされていない、とたちばなは言い切っています。

さらに、融資は金融機関の投資で、回収の失敗責任は貸した側にあるのに、その穴を税金で支えられた協会が埋めている、とも指摘しています。

保証料を払ったのになぜリスケするのか

国語の話には、もう1つ続きがあります。

保証協会付きの融資は、返せなくなったら協会が代わりに銀行へ返すことを前提に借りたお金のはず。

それなのに、なぜわざわざリスケジュールを頼むのか、とたちばなは問いかけます。

契約の理屈で言えば、銀行への答えはこうだ、というのです。

「リスケしません。どうぞ信用保証協会に代位弁済してもらってください。どうぞご安心ください、信用保証料払ってありますから。これ契約通りなんだよね」

そもそもリスケジュールは契約書に書かれていない、とも指摘しています。

国語の面から見れば、契約どおりに代位弁済してもらい、そのあとの支払いを協会にするほうが合理的だ、と結論づけています。

白紙の契約書とペンが置かれた相談机

同じ50万円でも元金の減り方が違う

続いて、算数の話です。

1,000万円を金利5%で借りていると、利息は1年で50万円です。

元金を据え置き、この50万円の利息だけを銀行に払い続けるリスケで考えてみます。

50年払い続けると、払った額は2,500万円。

それでも、元金の1,000万円はそっくり残ります。

一方、代位弁済のあとに、同じ50万円を信用保証協会に払うとします。

たちばなの説明では、銀行への支払いは利息に、協会への支払いは元金に充てられます。

そのため、1,000万円の元金は20年でなくなる計算です。

その間に年14%ほどの遅延損害金がつき、元金がなくなった時点で約1,470万円。

21年目からは、毎年の50万円をこの遅延損害金に充てていきます。

1,470万円を50万円で割ると、29年ちょっと。

元金と遅延損害金を合わせても、49年ちょっとで払い終わる、というのが動画での試算です。

比べると、次のようになります。

  • リスケで銀行に払い続けた場合:50年で2,500万円を払っても、元金1,000万円が残る
  • 代位弁済のあと協会に払った場合:49年ちょっとで、元金も遅延損害金もなくなる

同じ金額を払うのに、どちらが得なのか。

金利が0.125%や0.25%動いただけで一喜一憂する人も多いなか、銀行の金利5%と遅延損害金の14%では9%もの開きがあります。

それでも、どうせリスケジュールをするくらいなら、代位弁済のあとに協会へ払うほうがまだ得で合理的だ、とたちばなは断言しています。

この試算で差を生んでいるのは、払ったお金が利息と元金のどちらに充てられるかです。

リスケで得をするのは誰か

この違いを知らない融資担当者は結構いても、知らない支店長はまずいない、とたちばなは言います。

支店長がこの理屈を分かったうえで、あなたのリスケジュールを決裁しているとしたら、どうでしょう。

その銀行が本当にあなたの戦略的なビジネスパートナーなのか、もう一度考えたほうがいい、とも話しています。

では、リスケジュールで得をするのは誰なのか。

たちばなの答えは、金融機関とそこで働く人たちです。

事業主にはメリットがないのに、更新の手数料や印紙代まで事業主が払っているとして、「まさにリスケジュールなんてトラップなんです」と言い切っています。

真の事業再生は、売上を伸ばすことでも経費を減らすことでもなく、金融問題に片をつけることだ、と続けています。

「とりあえずリスケ」は正解とは限らない

資金繰りが苦しくなったときによく出てくるのが、「とりあえずリスケ」という考え方です。

たちばな自身、個別面談の場で「リスケジュールが常識的だろう」と散々言われてきたそうです。

そのたびに、こう返してきました。

「常識というのは大多数の意見ではあるけれども、必ずしも正解ではない」

株の取引などでよく使われる格言に、「人の行く裏に道あり花の山」という言葉があります。

世の中の動きと反対の動きをするところに、もうけの源泉がある、という意味です。

物事の裏側を見る習慣をつけ、誰かがこう言っていたからではなく、どちらが正しいのかを自分で確かめる。

その道具は、インターネットや生成AIかもしれません。

ただし、生成AIの答えは聞き方で大きく変わります。

「借金が返せないからどうしたらいいですか」と聞けば、「破産して楽になりましょう」といった答えしか返ってこない、というのです。

生成AIの答えもうのみにせず、いろいろと調べて比べたうえで物事に当たる。

「とりあえずリスケ」も、本当に自分の得になるのかを確かめてから決めることが大切です。

白紙の表と電卓とペンが置かれた机

資金が残っているうちに計画と準備を

ここまで読むと、「それなら代位弁済してもらえばいいんでしょう」と考えたくなるかもしれません。

ですが、気軽に「代位弁済してください」と頼むのも違う、という谷本の言葉に、たちばなも「違うね」と応じています。

「基本的には、『はいはい分かりました、やってきますよ』ってならないんです」

金融機関にとっては、信用保証協会との関係もあり、代位弁済になれば自分たちの評価が下がることにもなるからだそうです。

そこでたちばなが挙げるのが、「言ってからやるんじゃなくて、やってから言う」という考え方と、そのための理論武装も含めた準備です。

海外旅行に行くとき、いきなり空港へ向かう人はいないはずです。

パスポートはどうなっているか、どこの国に何泊するか、どのホテルに泊まるか、座席はビジネスかエコノミーか。

出かける前に、いろいろと準備をします。

金融機関への対応も同じで、そうした準備をひとりでこなすのは簡単ではありません。

格言的に言えば、「計画は綿密に、行動は迅速に」。

同じことに取り組むなら、資金が残っていない状態より、資金が残っているうちのほうが効果は大きい、とたちばなは言います。

ただ、この理屈は追い込まれていない人にはよく分かるのに、追い込まれている人にはなかなか伝わりません。

たちばなは、2013年にアメリカのハーバード大学などが発表した研究にも触れています。

お金に追い込まれると、IQが13ほど下がったのと同じくらい頭の働きが落ちる、という内容です。

日々の相談の中でも、本当にそう感じる場面がしばしばあるそうです。

第三者の話を聞きながら、冷静に粛々と進める。

そのために要るのが、綿密な計画と準備です。

信用保証協会や代位弁済、リスケ後の返済については、次の記事でもくわしく取り上げています。

その他、資金繰り改善や事業再生に関する情報はチャンネル「社長の資金繰り相談室」でご覧いただけます。

信用保証協会付き融資の返済やリスケジュールのご相談も受け付けています。

リスケで利息だけを払い続ける前に、資金が残っているうちにまずは一度ご相談くださいね。


相談室を背景に立つたちばなはじめ

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