2026年10月、福岡市で創業95年のシート製造卸が事業を停止し、自己破産の申請準備に入ったと報じられました。
売上の落ち込みが続いていたところに、ナフサ不足による原材料の調達難が重なった末のことです。
材料が思うように入ってこない。
入ってきても、値段が上がり続けている。
そんな状況が続けば、「うちはあと何か月もつのか」と不安になるのは当然です。
では、ナフサ不足のように自社の力ではどうにもならない波が来たとき、会社のお金を守るために何を先に考えればいいのでしょうか。
ナフサ不足が引き金になった倒産
報道によると、この会社は防音シートや防炎シートなどの建設用シートのほか、断熱シートやトラックシートまで幅広く自社工場でつくり、九州を中心に全国へ販路を広げていました。
2016年9月期に約3億8,900万円あった年売上高は、海外製の安価な既製シートの流入による価格競争や、農業関連市場の需要低迷で減少。自社工場の維持費の負担に加え、人件費や資材価格の上昇が収益を圧迫し、近時はナフサ不足に伴う原材料調達難も重なった。2025年9月期の年売上高は約1億7,200万円まで落ち込み、4期連続の最終欠損で大幅な債務超過に陥っていた。10月2日までに事業を停止し、自己破産申請の準備に入った。負債は2025年9月期末時点で約2億5,000万円(変動の可能性あり)。
— 2026年10月、帝国データバンク福岡支店の調査をもとにした報道より(要点を整理)
9月には、食材や菓子の包装機械をつくる愛知県の会社も、破産手続きの開始決定を受けています。
こちらは、ゼロゼロ融資などの借入金の返済負担が重く、資材価格の高騰も販売価格に転嫁できずにいたところへ、ナフサ不足の影響で受注が見送りになるなど、先行きの見通しが立たなくなったと報じられました。
ナフサ不足の影響は、この2社にかぎった話ではありません。

ナフサ関連の材料を仕入れる製造業は約3割
ナフサは、原油からつくられ、プラスチックなど石油化学製品のもとになる原料です。
2026年2月末に中東情勢が緊迫してから、このナフサの調達に不安が広がっています。
ナフサ由来の基礎化学製品をつくる主要な石油化学製品メーカー52社から、直接または間接に(二次流通まで)仕入れる製造業は全国で4万6,741社。集計対象とした全製造業(約15万社)の約3割にあたり、資本金1億円未満の中小企業が4万1,417社と約9割を占める。業態別では「化学工業、石油・石炭製品製造」の67.2%、「ゴム製品製造」の51.5%、「パルプ・紙・紙加工品製造」の48.9%が該当した。
— 帝国データバンク「ナフサ関連製品」サプライチェーン動向分析調査(2026年4月)より(要点を整理)
同じ調査によると、影響が及ぶ製品は、電気製品や自動車部品、衣料品から、ハンバーガーの包装紙やコーヒーフィルターまで幅広いとされています。
東京商工リサーチは6月、自社で使う石油化学製品の調達に支障があるかを、企業へのアンケートで尋ねています。
回答した企業の85.0%が、「調達量と価格のいずれか、または両方に支障がある」と答えました。
材料が入らなくても支払いは待ってくれない
ここからは、材料が思うように手に入らない会社に共通する話です。
たちばなはじめは、ナフサ不足の報道に触れて、多くの中小の工務店が「受注はできるが仕事ができない」と悲鳴を上げていると伝えていました。
材料が入らなければ、注文があっても製品はつくれず、工事も進みません。
売上が立たなければ、代金も入ってきません。
一方で、給料や工場の家賃、リース料、借入金の返済は、毎月同じように出ていきます。
売上が止まっているあいだにも、手元のお金はじわじわと減っていく。
だからこそ、まず確かめてほしいのは、売上が止まった前提で、手元のお金があと何か月もつかです。
通帳の残高を、毎月かならず出ていくお金(給料、家賃、リース料、返済)で割れば、おおよその月数が出ます。
出てきた月数が、手を打つ時期を決める目安になります。
「資金繰りは我慢してはいけない。症状が軽いうちに手を打てば、早い段階で改善するし、痛手も小さくて済む」とは、たちばなはじめがいつも伝えている言葉です。

在庫を積み増す前に手元のお金と見比べる
先ほどの東京商工リサーチの調査では、中東情勢の緊迫化以降に在庫を積み増した企業が30.7%ありました。
製造業にかぎると40.4%、規模別では中小企業が31.2%と、大企業の24.0%を上回っています。
長年の取引先の注文には応えたい。
納期に遅れて迷惑はかけたくない。
材料が手に入るうちに確保しておきたい気持ちは、痛いほどわかります。
ただ、いま抱えている注文の分を超えて、先の分まで材料を押さえるとなると話は変わります。
仕入れた材料は、製品になって売れて、代金が入ってくるまでお金に戻りません。
多めに仕入れるほど、手元のお金は減り、在庫に変わったままになります。
借入金で仕入れを増やせば、在庫と一緒に返済も残ります。
材料をどれだけ持つかは、いま抱えている注文に必要な分と、手元に残るお金を見比べてから決めてください。
たたむと決める前に選べる道を確かめる
材料が入らない月が続いて、「もう続けられない」と考え始めている社長もいるかもしれません。
ただ、たちばなはじめは「破産は義務ではなく権利」「破産しなければいけない人は一人もいない」と話しています。
会社をたたむにしても、破産などの裁判所の手続きに頼らずに閉じる道もある。
私たちは、倒産や破産をせずに解決できる可能性を最後まで探ります。
たたむと決める前に、まず手元のお金と、選べる道を確かめてください。
資金が残っているうちに次の一手を準備する
ナフサ不足がいつ落ち着くのかは、誰にも分かりません。
ナフサ不足の影響を受ける中小の建設関連の事業主に向けて、たちばなはじめはメルマガで「資金の残っているうちに『次の一手』を準備しておくことが極めて肝要」と書いていました。
あと何か月もつかを数え、材料を持ちすぎない。
その一つひとつが、次の一手を選ぶための準備になります。
中東情勢や原材料高と資金繰りについては、次の記事でもくわしく取り上げています。
会社にお金を残す考え方は、無料の電子書籍『会社と社長にお金を残す資金繰り改善の教科書』にまとめています(公式LINEを友だち追加するだけで届きます)。
教科書の内容を、たちばなはじめが直接お伝えするセミナーも、定期的に開催しています。
材料がいつ入るかは自社では決められなくても、手元のお金をどう使うかは社長が決められます。
あと何か月もつかを数えたら、その数字を持って無料の個別相談をご利用ください。
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