2026年7月、中東情勢の混乱や原油・原材料価格の高騰を受けて、国が中小企業向けの支援に動き出しました。
特別相談窓口の設置や、資金繰りを支えるための保証制度など、幅広い業種が対象になっています。
名古屋商工会議所のように、政府へさらなる緩和策を求める声も上がっています。
言いかえれば、自分の努力とは関係のないところで仕入れのコストが上がり、資金繰りが苦しくなっている会社が、それだけ増えているということなんですね。
あなたの会社でも、気づいたら仕入れ値が上がっていて、月末の支払いがじわじわ重くなってきた。
そんな感覚はないでしょうか。
今回の動きについて公表されている内容を調べてみると、次のような解説が出てきます。
中東情勢や原油価格の上昇などにより、資金繰りやコスト上昇に直面する中小企業・小規模事業者に向けて、日本政策金融公庫や信用保証協会、商工会議所などに特別相談窓口が設けられている。あわせて2026年7月には、583業種が臨時の業況調査の対象に指定された。
— 2026年7月、経済産業省・中小企業庁の中小企業・小規模事業者向け支援策の発表より
国が支援に乗り出すということは、それだけ多くの会社で資金繰りが揺れている、という裏返しでもあります。
こういうときこそ、社長として何を確かめておくべきなのか。
順番に整理していきます。
外部要因で苦しくなったら非常時の入り口
まず、大事な前提をひとつお伝えします。
資金繰りには、平常時と非常時があります。
平常時というのは、お客さまが適正なサービスを受けて、取引先にもきちんと支払いができて、従業員に給料を払えて、家族の生活も成り立ち、銀行にも約束どおり返済できている状態です。
この中のどれか一つでも欠け始めたら、そこはもう非常時なんです。
「仕入先への支払いがだんだんキツくなってきた」というのは、まさにその非常時の入り口。
ところが、売上そのものが落ちたわけではないと、つい「うちはまだ大丈夫」と思ってしまう社長さんは少なくありません。
でも、ここが落とし穴です。
仕入れや燃料のコストが上がって支払いが重くなっているのに手を打たないと、利益は出ているのに手元の現金だけがどんどん細っていきます。
そのまま放っておけば、ある日、月末の支払いに現金が足りないという現実に突き当たってしまいます。
外から来たコスト高は、自分では止められない。
だからこそ、止められない外部要因が来たときほど、自社の内側を早めに立て直しておく必要があるんです。
国の支援でつくれるのは「時間」
では、国の相談窓口や保証制度は使わないほうがいいのか。
そんなことはありません。
使えるものは、遠慮なく使ってください。
ただ、その性質だけは正しく理解しておきたいところです。
特別相談窓口や保証制度でつくれるのは、あくまで「時間」です。
借りたお金は、いずれ返さなければなりません。
つまり、いま苦しい支払いを先送りにして、立て直すための猶予を手に入れる。
それが制度の役割。
時間稼ぎそのものは、けっして悪いことではありません。
気をつけていただきたいのは、その時間の使い方です。
借りて一息ついたことで安心してしまい、コスト高で現金が減っていく構造をそのままにしてしまいます。
これがいちばん危ない流れです。
構造が変わらないまま返済が始まれば、前より重い負担がのしかかってきます。
だからこそ、猶予を手に入れている間に、自社のお金の流れそのものを立て直しておきましょう。
制度は、あくまでそのための時間をつくる道具です。
苦しいときこそ守る順番を間違えない
お金が苦しくなったとき、たちばなはじめが大切にしているのが、守る順番の話です。
何を先に守り、何を後回しにするのか。
たちばなはじめが考えるお金の優先順位は、次の5つです。
- 家族
- 従業員
- お客
- 協力企業
- 銀行
家族・従業員・お客さま・協力企業を守るのが先で、銀行への返済は一番最後にします。
これが、たちばなはじめのコンセプトです。
ところが、いざ資金繰りが苦しくなると、多くの会社でこの順番が逆になってしまいます。
まず社長自身の給料を削り、家族に負担をかけます。
次に従業員の給料に手をつけ、取引先への支払いを遅らせる。
そして、無理をしてでも銀行への返済だけは続けてしまいます。
これでは、いちばん守りたかったはずの家族が最後になり、いちばん後回しでいいはずの銀行が最優先になっています。
外部要因でコストが上がっているときは、この判断がとくに揺らぎやすいんです。
焦って無理な返済を続けた結果、手元の現金が尽きてしまっては元も子もありません。
苦しいときこそ、守る順番を間違えない。
これは、平常時のうちから一度、自分の中で決めておいてほしいことです。
数字から目をそらしてはいけない
順番を守るにも、そもそも自社のお金がいまどうなっているかが見えていなければ、判断のしようがありません。
ここで欠かせないのが、現金の流れを社長自身が握っておくことです。
たちばなはじめは、かつて燃料油の卸・小売を中心に事業を営んでいた時期があります。
もともと会計は経理まかせで、自分で細かく数字を追ってはいませんでした。
売上と利益さえ見えていれば事業は回る。
そう思い込んでいたんですね。
ところが、自社の資金繰りが少しずつ苦しくなってきたことをきっかけに、自分で会計を学び始め、数字を直接つかむようになりました。
ですが、その努力は実らず、結果的には事業を破綻させてしまいました。
この経験から説いているのが、「事業の根幹は事業ではなく会計にあり」という教え。
自分が数字をおろそかにしてしまったことが、そもそも事業を窮地に追い込んだ入り口だった。
自身の体験から、そう痛感したからです。
利益は、結果として後から出てくる数字です。
現金は、いま手元にあるかどうかを示す、動かしがたい事実です。
経営判断のもとになるのも、銀行との対話で土台になるのも、結局は後者のほうです。
数字、とくに現金の流れから目をそらさない。
これは、たちばなはじめが日々の発信で伝えているメッセージです。
資金繰りは、営業や製造とちがって、他人に任せきりにできない仕事です。
むずかしい表づくりから始める必要はありません。
まずは、これから数か月、いつ・いくらのお金が入って、いつ・いくら出ていくのか。
その見通しを社長自身の目で確かめるところから始めてみてください。
資金繰りは我慢してはいけない
外部要因によるコスト高は、社長の力ではどうにも止められません。
ですが、そのなかで手元にお金を残す工夫は、いまからでも必ずできます。
国の制度で時間をつくり、その間に守る順番を決め、現金の流れを社長自身が握る。
この三つがそろえば、外の嵐が過ぎるまで会社を持ちこたえさせる力は、ぐっと強くなります。
資金繰りは、我慢してはいけません。
苦しさを抱え込んだまま先延ばしにするほど、選べる道は狭くなっていきます。
逆に、早く手を打つほど、立て直しの選択肢は広く残ります。
私たちのもとには、資金繰りだけではなく、金融機関との向き合い方や事業の立て直しについてのご相談も寄せられています。
仕入れのコスト高で先行きが気がかりになってきたら、ひとりで抱え込まず、まずは一度ご相談くださいね。
資金繰りの課題を抱える経営者の方へ3つのご案内
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