2026年10月、栃木県益子町で益子焼の販売施設を運営してきた老舗の販売会社が、破産手続きの開始決定を受けたと報じられました。
1966年の設立から60年。
春と秋に開かれる益子陶器市では中心的な役割を担い、町を訪れる観光客が多く立ち寄る場所としても知られていた会社です。
同じように地域の顔になっている会社の社長なら、このニュースを他人事とは思えないかもしれません。
地元で長く続いてきた会社ほど、苦しくなっても「やめる」とは言い出しにくいものです。
取引先や従業員、地域の人たちの顔が浮かび、「周りにどう思われるか」が頭から離れない社長もいるでしょう。
では、廃業を迷うとき、その気持ちとどう向き合えばいいのでしょうか。
益子焼の販売を60年担った会社が破産
帝国データバンクの発表をもとにした報道によると、経緯は次のとおりです。
益子焼の販売施設を運営してきた栃木県益子町の陶器の小売会社(1966年3月設立)が、2026年10月14日、宇都宮地裁真岡支部から破産手続きの開始決定を受けた。負債額は約8億5,000万円。
同社は年2回の益子陶器市で中心的な役割を担っていたが、陶器の需要減少などの影響を受け、2025年3月期には約3億1,500万円の債務超過に陥り、2026年3月23日に事業を停止していた。
— 読売新聞オンライン(帝国データバンク宇都宮支店の発表)とJC-NETの報道(いずれも2026年10月24日)より要点を整理
報道で分かるのはここまでです。
ここからは、益子の会社の話から離れて、地域で長く続いてきた会社を営むあなたに向けた話です。
地域の顔になっている会社ならではの事情
地元で長く続いてきた会社は、商売の相手が地域そのものになっていることが少なくありません。
仕入れ先や地元の作り手、祭りや商店街の行事を一緒に支えてきた仲間、代々のお得意さん、地元から通ってくれる従業員…
会社をたたむとなれば、こうした人たちに迷惑がかかる。
先代から受け継いだ看板を、自分の代で下ろすわけにはいかない。
そう考えて、苦しいまま続けている社長もいます。
そしてもうひとつ、社長を悩ませるのが、周りの目です。
「会社をたたんだら、何と言われるか」
「親や親戚、妻にどう説明すればいいのか」
たちばなはじめはメルマガのなかで、地方の社長と面談すると、多くの方が口をそろえて世間体を気にすると書いています。
その傾向は、地方になるほど、また年を重ねるほど強くなるといいます。
その気持ちは、たちばなはじめ自身も抱えていたものです。
世間体が気になるのはお金が足りないとき
たちばなはじめは、家業を継いだ2代目です。
父は燃料油の商売を始め、たちばなはじめ自身が「地元の名士」と呼ぶほど、地域で知られた存在でした。
24歳で地元に戻り、29歳で父の後を継いで代表者に。
ですが、社長を務めた9年のあいだ、黒字の決算は一度も組めませんでした。
そのころは、世間体を気にしていたといいます。
父が亡くなったのをきっかけに、父から継いだ卸と小売の事業を自分の代でやめ、その後は法的な手続きに頼ることなく再起しています。
当時を、こう振り返っています。
「世間体を気にしている時って・・・・カネが無い時だった。」
お金が足りないときほど世間体が気になり、お金にゆとりができると気にならなくなる、ということです。
近所の人は自分が思っているほど関心を持っていない、とも伝えています。
周りの目が気になって仕方がないときこそ、会社のお金がどれだけ残っているかを確かめるときです。

世間体を守っているあいだもお金は出ていく
世間体を守るために会社を続けているあいだも、お金は出ていきます。
本業の入金で必要な支払いをまかなえなければ、不足分だけ手元のお金は減っていきます。
足りない分を借りて埋めれば、毎月の返済はさらに重くなります。
たちばなはじめは、赤字が続き、お金が底をつきそうなのに「近所への体裁が悪い」「親兄弟や妻にバレたくない」と動けずにいる相談者のことを、こう書いています。
「儲からない仕事で金銭をドブに捨てつつ」一歩前進を拒んでいる、と。
そのしわ寄せを受けるのは、社長本人よりも、家族と従業員です。
体裁を保とうとするほど、家族の暮らしや従業員の給料に回せるお金は、どんどん減っていきます。
そして、会社の支払いがある日回らなくなって突然止まれば、従業員の給料も、取引先への代金も払えないまま終わることになりかねません。
地域に迷惑をかけたくないと続けた結果、逆に迷惑を大きくしてしまうのです。
たちばなはじめは、こうも書いています。
「仕事でキッチリ儲ける事にプライドを持て。儲けられない事に世間体を気にしろ。」
世間体を気にするなら、会社をたたむことより、儲けが出ていないことのほうを気にしてほしい、ということです。

お金の優先順位に世間体は入っていない
たちばなはじめが伝えているお金の優先順位は、次の5つです。
- 家族
- 従業員
- お客
- 協力企業
- 銀行
家族、従業員、お客さん、協力企業を守るのが先で、銀行への返済は一番最後にする、というのがたちばなはじめの考え方です。
この5つのどこにも、世間体や周りの目は入っていません。
世間体のために赤字のまま続けるのは、この5つのどれでもない「周りの目」に、家族や従業員に回すはずのお金を使っているのと同じです。
世間体を気にして隠しておきたくなる家族こそ、5つの一番上にいる、真っ先に守る相手です。
廃業を迷ったときに考えるべきなのは、「周りにどう見られるか」ではなく、「家族と従業員に何を残せるか」です。
会社をたたむと決めたときに、従業員に最後の給料をきちんと払い、お客さんとの約束を果たし、取引先への支払いを済ませてから閉じられるのも、お金が残っているうち。
会社をたたむかどうかを様子見で先送りしない
相談に来た社長から、こんな言葉を聞くこともあります。
「まだ大丈夫ですので、もう少し様子見してタイミング見計らってご連絡します」
これに対して、たちばなはじめは「ジャンジャン資金が流出するのを食い止める事に何のタイミングを見計らうの?」と投げかけています。
困る前に相談に来ればお金は残せるが、困ってから来たのではその効果は限られる、とたちばなはじめは繰り返し伝えています。
続けるにしても、たたむにしても、手元にお金が残っているほど、選べるやり方は多くなります。
支払いに追われ始めてからでも、私たちは、法的な手続きに頼らない方法も含めて、家族と従業員にお金を残せる道を最後まで一緒に探します。
地域で長く続いてきた会社の資金繰りと、続けるかどうかの判断については、次の記事でも取り上げています。
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その基本的な考え方を、たちばなはじめが直接お話しするセミナーも、定期的に開いています。
無料の個別相談では、続けた場合とたたんだ場合に、会社と家族の手元に何が残るのかを一緒に確かめます。
もしあなたが、周りの目が気になって誰にも話せずにいるなら、その胸の内を、私たちに打ち明けてみてください。
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