たちばなです。
本文は3月20日(日)の朝8時過ぎに配信されていますが、本文は3月18日(土)の昼下がりに執筆されています。
皆さんが本文をお読みになる頃、ワタシは「濃厚接触者自宅軟禁明け」と言う事で、日帰りで新潟から名古屋に向かう新幹線車内かと。
さて・・・
数年前にセミナーを聴講してくださって以来、折に触れコミュニケーションがある40代男性のYさん。
YさんからMessenger。
「たちばなさん、今度ウチの相談に乗ってほしいんですけど・・・どうすればいいですか?実は隣町で同じ工務店を営む親父の問題なんですけど・・・。」と。
Yさんのお父さんは60代半ば。
自身が社長を務め、奥さんが会計責任者。
従業員は2名。
二年ほど前に体調を崩して以来、従業員の業務負担が増え少しずつ売り上げは減少してきたところでコロナ禍。
それでもどうにか資金繰りに目途を付けて廻し続けていたんだ。
ところが数か月前に、売掛金の貸し倒れが発生。
更なる資金不足の状態に。
取引銀行に融資の依頼をしに行ったところ、融資は不可であると。
銀行から、「息子さんを追加で連帯保証人にして頂けるのなら・・・」と暗にささやかれたらしく、お父さんが息子であるYさんの事業所を訪ねて「お前、保証人になってくれないか?」と依頼したところから事態が明るみになった。
Yさんの仕事自体は・・・まぁまぁ順調。
ただ事業規模が小さく、実父の為とは言え自身の事業以外の為に借金を作る余裕は無い。
「親父の会社、そんなに資金繰りキツイのか・・・」と察したYさんは、セミナーでの記憶を思いだし、ワタシに問い合わせてくれた。
ZOOM画面越しに親父さんとオフクロさんとお目にかかった。
同席したYさんの顔を見るのは久しぶり。
つっけんどんな態度で親父さんはワタシに言う。
「一時間しか時間が無いよ。」って。
少しだけアタマに来たので言ってやった。
「ワタシはあなたの息子さんにワザワザ頼まれて話に臨んでいます。それもタダで。あなたの本意でないなら一時間と言わず、5分で話をやめてもいいですよ。今すぐやめたって良いよ。それであなたの問題が解決するなら。」
って少し挑発(笑)。
「たちばなさんスミマセン!親父の無礼をお詫びします!」とすかさずYさん。
Yさんの方がオヤジよりはるかに大人で優秀!(笑)
表情と態度から察するに、ワタシはYさんのご両親にあまり歓迎されていないようだ(笑)
でも、10分話したら態度は変貌。
当たり前だ!
オレは「たちばなはじめ」だぞ!(笑)
会社はすでに債務超過。
事業所と駐車場が会社所有。全て担保設定。
融資の状況は・・・・100%保証協会付き融資。
毎月元金と利息の返済は70万円を超えていた。
親父さんに話した。
はじめ:
「信用保証協会付き融資は、あなたが融資受けて銀行に返済できなくなった時に、信用保証協会があなたに代わって銀行に払う(代位弁済)事を前提に融資を受ける制度です。
今、あなたの会社は返済できなくなりそう、若しくは返済できなくなったワケですから、契約の通りに銀行に代位弁済を要求するために、返済を停止して信用保証協会から銀行に弁済をしてもらって下さい。
何ら銀行に楯突く行為ではありませんし、銀行に損を負わせるものでもありません。
契約書にかかれている事をあなたがそのままやるワケですから、銀行にとやかく言われる筋合いのものではありません。
その為に保証料をあなたが払っているのでしょう?
なんら躊躇する事は無いですし、信用保証協会が銀行に代位弁済をした後、あなたの事業所の資金繰りが改善した時に、返済を保証協会に対して実行すれば、その資金は元金に充当されます。
返済効率が良いのではないですか?
返済の効率を上げる事だって、立派な資金繰り改善ですよ。
それであなたの会社は毎月70万円のコストが浮きます。
売上伸ばして毎月70万円儲けるとすると、あなたは毎月新規でいくら売り上げを作らなければなりませんか?
返済止めるだけで、毎月70万円浮く経済効果は決して小さくないですよ。
もし、それでも資金繰りがおぼつかないなら、その仕事をやっている意味は無いでしょうね。
- 不動産を売却?
- 仕事しながら買い主を捜すの?
- 仕事そっちのけで?
- 不動産屋使って手数料払って?
なんでおカネが無いのに、そんなお金と手間がかかることするの??
あなたは職人でしょう?仕事してよ!営業してよ!(笑)
そんな事をしなくたって、銀行への返済止めれば、自動的に債権者が不動産差し押さえて売ってくれます。
債権者の手間と債権者の経費で。
売れるまでそこで仕事していていいよ。
売れなきゃずっとそこで仕事していていいよ。
その間・・・・あなたの事業所は70万円が溜まり続けるよ。
それも純粋な真水の資金。
息子さんに「カネ借りてくれ」なんて言う必要ないんじゃない??
お父さんはもう「一時間しか時間が無い」なんて言っていた事は忘れていたよ(笑)
自分のこれまでの銀行との交渉の変遷や自身の体調の事や息子に対する思いなんかを話した。
「お父さん、実は結構話が長い」ってワタシが思った事は口には出さなかった(笑)
「それよりね、お父さん。もしYさんがあなたの為にお金を借りてくれたとして・・・・本当にあなたが息子さんにお金返せると思っていましたか??」
って訊いたら、「仕事さえすれば、どうにか・・・」って言うんだ。
ワタシはあきれたよ。
はじめ:
「あなたが仕事するのと、息子さんが借りた資金は関係ないんだよ。
本来なら銀行にもきちんと返さなきゃいけないんだから。
ただワタシが懸念している事は、このままお父さんが息子さんからカネを借りたとして、その資金の使途の大半は “借金返済” に使われるんじゃないでしょうかね?
それは、極めてゲスな行動だよね。
善意で動く、限られた資金力の息子さんからカネを借りて、商売でやっていて資金力のある銀行にカネを返す・・・・
これって道義的問題があるし、極めて愚かな行為じゃないですか??
銀行は強くて大きくてガタガタ言いそうだから払う。
息子は弱くて小さくてガタガタ言わなそうだから後回し・・・・
これって弱い者イジメじゃないですか?」
横で、深々頷きながら息子のYさんが言うんだ。
Yさん:
「親父、たちばなさんの言う通りだ。
親父がオレにカネを返すのは無理と思っている。
オレも商売をやっているし家庭だってある。
だから親父が今以上借金を増やさない為に、返済を停止する、と言う事は大事な事だと思う。
元気なうちに借金の折り合いをつけて・・・・オレの会社に入って腕前を発揮してくれよ。」
Yさん・・・・ちゃんと先々考えてる!!
始めは怪訝そうな顔をしていたお母さんも、最後はにこやかに接してくれた。
面談終了まで1時間25分。
親父さん、ゴメンね。時間を25分超過したよ(笑)
しかし、銀行もひどい事しやがるな。
親父から回収できないと察すると、「息子の名義で貸す」なんてさ。
「保証人追加」ってそういう事だから!!
これをヤツらは平気で「仕事だから」と言い切る。
行内でどんな洗脳教育されているのかね!?(笑)
銀行は「カネを貸す」のが仕事。
突発性のトラブルで緊急的に資金が必要なところに「つなぎ」を作ってやるのが仕事。
これを拒否する銀行は、「カネを貸さない銀行」。
カネを貸さない銀行は、「ラーメン出さないラーメン屋」や「花を売らない花屋」とおんなじ。
だから、そんな役に立たない業者は排除!
こんな当たり前の理屈を流布するたちばなはじめの情報が、10年以上経過してもニッチでマイナー(笑)
日本人って・・・大和民族って・・・ホントに賢いのかね!?(笑)
この問題は非常にタチが悪い。
銀行の担当者に、
「一族を巻き込んで破滅させようとしている自覚が無い。悪い事をしている自覚が無い。」
という事がますます問題の根の深さを証明している。
だからこそ根が深い問題であり、タチの悪い問題であるんだよ。
このまま行ったら一族みんな借金まみれになるところだったよ。
水際で息子さんがそれを阻止する素地と環境はワタシが対応すればよい。
話の最後に親父さんが言ったんだ。
「たちばなさん、資金繰りに困っている人はわたしの周りにいっぱいいるよ。是非今度紹介するよ。」って。
ワタシ、
「親父さん、そんなことより、まずはあなたが助かって下さい。紹介はその後で良いからさ!(笑)」って。
話は長いけど、話が早いオッサンでもある事はわかったよ(;’∀’)
個別面談を終えた後、
「ワタシの周りに困っている人がたくさんいる。だから今後たちばなさんに紹介します!」って言う人は結構多い。
でも、実際に紹介できる人って・・・・10人に一人いるかいないかくらい。
なぜかって?
当事者がワタシのエッセンスを理解する能力と、その情報を周辺に話す能力は別の能力だからですよ。
あなたがワタシの話を理解するように、周辺はあなたの話を理解しないのです。
伝言ゲームは上手くいかないからゲームが成立するのです。
だからワタシから受けた情報はそのまま周辺に伝わりませんよ。
「付け焼き刃」とはこういうことを言うのです(笑)
「借りたカネを返すのは当たり前」なんて狭い尺度で画一的な思考しか持っていないアホ共に告ぐ。
「場合によっちゃ返さないのが道義的に正論」と言うのが解らんヤツは商売なんかやっちゃならんよ。
追伸:
4月から高校2年になる長女の小学5年当時のエピソード。
長女:
「パパぁ、欲しいものあるからおカネちょーだい」
はじめ:
「ママから毎月小遣い貰ってるだろ。それを貯めて買いなさい」
長女:
「・・・・・・大人は足りなくなると借りるのにズルい!」
はじめ:
「(絶句)・・・お前、いいセンスしてるわ。オレの仕事出来るぞ!?」
長女:
「イヤだよ!そんなヘンな仕事!」
はじめ:
「(再び絶句)・・・そうだ、お前の言うとおりだ。お前は俺みたいになっちゃならん。オレみたいにならんように頑張れ!」
ワタシには言いませんが、長女は妻に
「将来教職に就きたい。国公立目指したい。塾に通う回数増やしたい。陸上も頑張る。」
と言っているそうです。
大人より子供の方が「まとも」であることは非常に多い。
ウチやYさんの家庭だけとも言い切れないだろう(笑)