たちばなです。
【もっとも重要な決定とは、何をするかではなく、何をしないかを決めることだ ・ スティーブジョブス】
都内の事業主のKさん。
はじめてお目にかかったのは約8年前。当時は55歳だと言ってた。
当時のワタシは、まだ事務所を持たず、池袋の喫茶店を拠点にしながら、異業種交流会に参加し、協力者やクライアントになりうる方をを探し歩いていた頃。
そんな時に、Kさんから最初のアプローチを受けて面談したことを憶えている。
年商が約3億円で借入が約2億円。毎月の元利返済は200万円を超えていた。
二期連続の赤字が確定しており、今後難航するであろう金融対策と、世襲を渋る息子(次男で27歳)に後を継がせる為のアドバイスを求めて来たんだった。
「銀行から新規の融資を断られ、リスケジュールの提案を受けた。」
・リスケジュールして一定期間やり過ごし、その後通常弁済に戻しつつ利益を出している企業はまず無い。リスケジュールしていつ返済が終わるのか?を考えなければいけない。
「返済停止はリスクが大きいのでは?」
・大半が保証協会付きの融資。「契約書の記載通り」に代位弁済を要請する事にリスクなどあろうはずがない。
「自宅の維持は?」
・ローンが残っていてローン先が他行。債務が超過しており、差押えても銀行にメリット無い。むしろ住宅ローンのリスケジュールを考えるべき。
「リスケジュールは延命では?」
・息子に借金も後を継がせようとするから世襲を渋っているのでは?あなたが息子だったらどう思うかを考えるべき。あなたの代で借金を片付ける為には、返済を停止するしか手段は無い。
「銀行からの新規融資は金輪際受けられない?」
・200万円返すのをやめれば、毎月200万円。年間2400万円融資受けるのと同じ。それでも採算合わない事業ならやめるべきだし、息子に継がせるべきでないし、そんな人間が家を持つなんておこがましい話。
8年前にそんなやりとりをしたんだ。
理解力の乏しさを感じたワタシはKさんに歯がゆさを感じ、言い方はキツかったように記憶している。
やはり、Kさんはその後ワタシのアドバイスを受け入れなかった。
二度目のアプローチがあったのは4年前。
銀行の指示通りにリスケジュールを実行。数か月は資金繰りがラクになったようだが、その後さらに事業は低迷。
半ば強引に引き入れた息子を取締役にし、息子のファイナンスを使って他行から約4500万円の新規借り入れを実行。
しばらくしても資金繰りは困窮し続け、今度は親子でワタシの前に現れた。
「あの頃にたちばなさんの指示通りにやっていれば、と後悔している。息子も巻き込んでしまった。しかし自宅はどうにかならないだろうか?」
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