震災から再建した笹かまぼこメーカーが破産へ…借入返済が重いときにやるべきこと

たちばなはじめと笹かまぼこの作業場を背景に、再建後の借入返済と残るお金の確認を呼びかける画像

2026年9月、宮城県の笹かまぼこメーカー2社が、相次いで自己破産の申請や準備に入ったと報じられました。

どちらも100年前後の歴史を持つ会社です。

このうち1社は、東日本大震災の津波で本店工場と事務所を失い、翌年に再建した会社でした。

事業を再開した後も、再建に伴う借入金の返済などが経営の重荷として残りました。

災害にかぎらず、工場の建て替えや店舗の改装で、大きな借入を抱えている会社は少なくないでしょう。

売上が思うように戻らないまま、返済だけは毎月やってくる。

そんなとき、何を優先してお金を使えばいいのでしょうか。

目次

震災から再建した笹かまぼこメーカーが破産へ

まず、報道の要点を確認しておきましょう。

宮城県塩竈市の笹かまぼこメーカーは1927年創業。1994年3月期には約7億9,000万円の売上があった。2011年の東日本大震災では津波で本店工場と事務所が全壊し、約1年間休業。2012年4月に本店を再建して生産を再開し、再建に伴う借入金の返済などが経営の重荷となっていた。2026年3月期は生産コストの上昇から、約4億8,000万円の売上に対して営業段階で赤字となり、資金繰りが限界に。9月25日に事業を停止し、自己破産申請の準備に入った。負債は約4億5,400万円。

同じ宮城県の亘理町で1912年に創業した笹かまぼこメーカーも、9月8日に仙台地裁へ自己破産を申請。1992年6月期の約9億円をピークに売上は減り、2025年6月期は約4億700万円。原材料の高騰や店舗の運営費が重く、赤字が続いて債務超過に陥っていた。

— 2026年9月、東京商工リサーチの倒産情報や地元放送局などの報道をもとに要点を整理

2社に共通しているのは、売上がピークのおよそ半分から6割の水準にとどまっていたことです。

そこへ、原材料や生産コストの上昇が重なりました。

塩竈の会社は、負債が年間の売上とほぼ同じ規模になっています。

過去の借入を抱えたまま、コストの上昇に耐えきれなくなった形です。

再建のための借入はなぜ重荷になるのか?

災害からの再建でも設備の入れ替えでも、借入の計画は「売上がある程度戻る」前提で組まれることが多いものです。

ですが、休業しているあいだに取引先がほかの仕入れ先に切り替えてしまうこともあり、元どおりの売上が戻ってくるとはかぎりません。

もう一つ見落としやすいのは、借入の返済が決算書の上では経費にならないことです。

借入の返済のうち、決算で経費になるのは利息だけ。

元本は手元のお金から返していきます。

つまり決算が黒字でも、本業で残るお金より返済のほうが多ければ、その差の分だけ手元のお金は減っていきます。

「黒字になったから、もう大丈夫」

そう思いたくなるところですが、見るべきは黒字かどうかより、返済のあとにお金が残っているかどうかです。

わずかな黒字は、原材料が少し値上がりするだけで簡単に消えてしまいます。

そして赤字に戻れば、返済のお金は、そのぶん手元の預金を削って出すことになるのです。

匿名の笹かまぼこ製造作業台のイメージ

かまぼこ業界を苦しめる原料高と市場の縮小

笹かまぼこは、仙台や塩竈を代表する名産品です。

お土産や贈り物として選ばれることも多く、地域の顔として長く親しまれてきました。

ただ、業界全体で見ると、かまぼこなどの練り製品は長く生産量が減り続けています。

かまぼこ製品の年間生産量は1975年(昭和50年)の103万トンがピークで、その後は年々減少した。農林水産省の水産加工統計調査によると、2024年のねり製品の生産量は前年比3%減の40万8,262トン。2019年に50万トンを割ったあとも減少が続いている。

— 日本かまぼこ協会の資料と、2024年の水産加工統計に関する報道より

ピークの半分以下まで、市場そのものが縮んでいるということです。

そのうえ、原料の値上がりも止まりません。

かまぼこやちくわの原料になるスケソウダラのすり身の価格は、10年前と比べて7割上がっている。円安や中東情勢で調達コストが上昇し、海外の水産需要が旺盛ななかで日本が買い負けている。

— 2026年、かまぼこ・ちくわの値上げに関する日本経済新聞の報道より

大手のメーカーは、こうしたコストを価格に転嫁する値上げに踏み切っています。

ですが、地域の中小メーカーが同じように値上げをすると、「それならほかの商品にする」と言われてしまうことも多いでしょう。

長年のお客さんや取引先の顔が浮かべば、なおさら言い出しにくいものです。

「味を守るために、原料の質は落とせない」

「職人や従業員の生活もある」

そう考えて、コストの上昇分を会社でかぶり続ける気持ちは、本当によくわかります。

ただ、市場が縮み、原料が上がり、値上げもしにくいなかで、過去の借入の返済まで背負い続けるのは、どうしても無理が出てきてしまうのです。

苦しくなった社長がやってしまうお金の使い方

やがてコストをかぶりきれず、資金繰りが苦しくなってくると、多くの社長がとる行動には、だいたい決まった順番があります。

  1. まず自分の役員報酬を下げたり、受け取りを遅らせたりする(しわ寄せは家族へ)
  2. 次に、従業員の給料や人数に手をつける
  3. お客や取引先に値上げをお願いする
  4. 仕入先に「支払いを少し待ってほしい」と頼む

それでも、銀行への返済だけは毎月きっちり続けてしまいます。

家族や従業員、取引先には我慢してもらえても、銀行にだけは迷惑をかけられないと考えてしまうのも無理はありません。

ですが、これでは会社にとって大切な人から順番に、しわ寄せを受けることになってしまいます。

たちばなはじめが伝えているお金の優先順位は、次の5つです。

  1. 家族
  2. 従業員
  3. お客
  4. 協力企業
  5. 銀行

家族・従業員・お客様・協力企業を守るのが先で、銀行への返済は一番最後。

これがたちばなはじめのコンセプトです。

帳簿と電卓で手元資金を確認するイメージ

借入の返済が重いときに確かめる3つの数字

返済が重いとき、まず思い浮かぶのは、銀行に月々の返済を減らしてもらうリスケジュール(返済条件の変更)かもしれません。

ただ、リスケで軽くなるのは月々の返済額だけで、借入そのものが減るわけではありません。

売上が戻らないまま返済を続ければ、手元のお金は少しずつ減っていきます。

しかも、リスケをしたあとに通常の返済へ戻し、利益を出して続いている会社は、私たちの経験上ほとんどありません。

もし信じられないと感じたら、お付き合いのある銀行の担当者や税理士に「リスケから通常の返済に戻せた会社はどのくらいありますか?」と聞いてみてください。

では、売上が戻らないなかで返済が重くなってきたら、何から手をつければいいのでしょうか。

やることは次の3つです。

  1. 借入の残高と毎月の返済額を書き出し、いまのペースで返し終わるのは何年後かを確かめる
  2. 毎月の返済が、本業で残るお金の中からまかなえているかを見る(足りない分を預金や新しい借入で埋めていないか)
  3. 売上がいまのまま戻らないとしたら、返済を続けた場合に1年後の手元のお金がいくら残るかを出す

1つ目で出た年数を見て、その年まで、いまの売上と体力で返し続けられるかを考えてみてください。

2つ目で、足りない分を預金や新しい借入で埋めているとわかったら、その返済は、すでに会社の体力を削りながら続けていることになります。

3つ目で、1年後の手元のお金が毎月の支払いに足りなくなりそうなら、いまの返済の形は、そのままでは続けられません。

そのとき考えるべきは、ほかの支払いを削ってまで返済のお金を工面することではありません。

家族・従業員・お客・協力企業のために使うお金を先に確保したうえで、金融機関との交渉方法も含めて、銀行への返済の続け方そのものを見直すことです。

資金繰りは我慢してはならない

たちばなはじめはよく、手元のお金を水がめの水にたとえます。

我慢して返済を続けるほど、水がめの水は減っていきます。

水が残っているうちでなければ、事業を立て直すにも、たたむにも、選べる道はどんどん少なくなってしまいます。

無理な返済を続けて水がめを空にしてしまう前に、返済の続け方の見直しに取りかかりましょう。

とはいえ、すでに預金を取り崩しながら返済を続けている方もいるかもしれません。

そこからでも、倒産や破産をせずに解決できる道を最後まで探ることはできます。

諦めるのは、まだ早いです。

災害のあとの資金繰りや、売上が戻らない市場での立て直し方については、次の記事でもくわしく取り上げています。

会社と社長にお金を残す基本的な考え方は、無料の電子書籍『会社と社長にお金を残す資金繰り改善の教科書』で読むことができます(公式LINEを友だち追加するだけで届きます)。

その内容を概論として、たちばなはじめが直接お伝えするセミナーも定期的に開催しています。

たちばなスキームの全体像を知りたい方は、ぜひ一度お越しください。

借入の返済が重く、売上が戻る見通しも立たないなら、預金が残っているうちに、無料の個別相談でいまの状況をそのままお聞かせくださいね。


たちばなはじめと笹かまぼこの作業場を背景に、再建後の借入返済と残るお金の確認を呼びかける画像

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