会社の借入が家族や自宅に及ぶ前に…平常時に棚卸しする個人保証の全体像

会社の借入に、いま誰が・どこまで保証を背負っているか。

すぐに答えられる社長は、思っているほど多くありません。

融資を受けたときは「社長個人の連帯保証」だけのつもりでも、追加の借入や借り換えのたびに、保証や担保の範囲は少しずつ広がっていきます。

気づかないうちに、配偶者や親、自宅までが会社の借入とひとつながりになっています。

そんな状態に、非常時になってから初めて気づく。

これが、いちばん避けたい入り方です。

だからこそ、業績や時間に余裕がある平常時のうちに、個人保証の全体像をいちど見える形にしておきましょう。

目次

個人保証は「会社の数字」ではなく「家族の生活」につながっている

連帯保証は、会社の決算書には載りません。

負債そのものは会社の借入金として計上されても、それを社長個人が背負っているという事実は、数字の表には出てこないからです。

だから、ふだんは意識の外に置かれがちな存在。

けれども、ひとたび返済が滞れば、請求は会社ではなく保証人個人へ向かいます。

保証人が社長一人なら、影響はまだ社長の範囲でとどまります。

怖いのは、配偶者や親が連帯保証人に入っていたり、自宅が担保に差し入れられていたりするケースです。

このとき会社の資金繰りの問題は、そのまま家族の生活の問題へと姿を変えます。

たちばなはじめがいちばん大切にしているのは、まさにこの一線を最後まで守ることです。

平常時のうちに保証の全体像を一枚に書き出す

守りを固める第一歩は、いま自社の借入と保証がどうなっているかを、まるごと見える形にすることです。

頭の中だけで把握しているつもりでも、いざ書き出すと抜けが見つかります。

次の項目を、借入ごとに一枚の表へまとめてみてください。

  • その借入の主たる債務者は会社か、社長個人か
  • 連帯保証人は誰か(社長のほかに、配偶者・親・後継者が入っていないか)
  • 担保に差し入れている資産は何か(自宅・事業用不動産・預金・売掛金など)
  • 経営者保証ガイドラインの対象になり得る借入かどうか
  • 借り換えや追加融資のときに、保証や担保の範囲が広がっていないか

こうして一覧にすると、自分が思っていた以上に家族や自宅が関わっていた、という発見はめずらしくありません。

とくに見落とされやすいのが、何年も前の借入に付いたままの古い保証や担保です。

すでに完済へ近づいている融資でも、設定だけが残り続けているケースは少なくありません。

一覧にして初めて、「これはもう外せるはずだ」と気づけることもあります。

こうした「外せるのに残っている保証」を一つ片づけるだけでも、家族の負担はその分だけ軽くなります。

全体像をつかんでから手をつける。

資金繰りでも保証でも、私たちが繰り返しお伝えしている順番です。

逆に、ここを飛ばして個別の対応から動き出すと、肝心なところを守り切れないまま時間だけが過ぎていきます。

なぜ「非常時になってから」では間に合わないのか

保証や担保の見直しは、会社の業績が安定しているときほど動かしやすいものです。

金融機関も、返済が順調な相手とは前向きに話を進めやすいからです。

ところが、資金繰りが悪化してから同じ話を持ちかけても、相手の警戒は一気に強まります。

「担保を外したい」という申し出が、かえって不安のサインと受け取られてしまうんですね。

つまり、交渉のカードがいちばん多いのは、まだ困っていない平常時なのです。

この時間差を知っているかどうかが、のちのちの選択肢の幅を大きく左右します。

守る順番を間違えないために

棚卸しを進めると、「では、いざというとき何から守るのか」という問いに行き着きます。

たちばなはじめが大切にしている守る順番は、次のとおりです。

  1. 家族
  2. 従業員
  3. お客
  4. 協力企業
  5. 銀行

これは「税金、家賃、給与」といった支払いの事務的な順序ではありません。

あなたが守りたい人を、近い人から順に並べた優先順位です。

銀行への返済を一番最後に置くのは、返済を放棄するためではありません。

家族や従業員、お客、協力企業という事業の土台を先に守らなければ、結局は銀行に返す力そのものを失ってしまうからです。

個人保証の全体像を見える化しておくのは、この順番を非常時にも崩さないための備えでもあります。

「保証を外す」をゴールにしない

保証の話になると、「とにかく個人保証を外したい」というご相談をよくいただきます。

その気持ちは、痛いほどよくわかります。

ただ、外すこと自体を目的にしてしまうと、かえって動きが遅れることがあるのです。

近年は、一定の条件を満たせば個人保証に頼らない融資を促す枠組みも広がってきました。

経営者保証に関するガイドラインは、全国銀行協会と日本商工会議所を事務局として策定された、中小企業の融資における個人保証の取り扱いをまとめた指針です。法的な強制力はありませんが、法人と個人の資産が明確に分けられているなど一定の条件を満たす場合に、個人保証を求めない融資や、保証の解除を金融機関と話し合う際のよりどころとして用いられています。

— AI 検索で「経営者保証ガイドラインとは」について調べた際の解説より引用

こうした枠組みを知っておくことには、大きな意味があります。

一方で、実際に外せるかどうかは、会社の状態と金融機関との関係しだいです。

だからこそ、余裕があるうちに全体像を見える化し、金融機関との交渉方法を見直しておくことが効いてきます。

たちばなはじめ自身も、かつて多額の負債を抱えて返済に行き詰まった経験があります。

そのときも法的な手続きには頼らず、金融機関との向き合い方を変えることで再生してきました。

その経験から言えるのは、ひとつ。

追い込まれてからより、余裕があるうちのほうが、選べる道はずっと多いということです。

非常時が来る前にいちど棚卸しを

個人保証は、ふだんは見えないところで家族や自宅と会社をつないでいます。

その線がどこまで伸びているかを知っておくだけでも、いざというときの判断はまったく変わってきます。

まずは、借入と保証の全体像を一枚に書き出すところから始めてみてください。

そして、自分の会社では誰がどこまで背負っているのかを、家族とも共有しておきましょう。

そこまでできていれば、非常時が訪れても、守りたいものを守る側に立てます。

もし少しでも心当たりがあれば、まずは一度ご相談くださいね。


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