2026年10月8日、東京商工リサーチと帝国データバンクが、2026年度上半期(4-9月)の全国の企業倒産の集計を発表しました。
東京商工リサーチの集計では5,373件で、年度上半期としては2013年に次ぐ、13年ぶりの高い水準です。
2社の発表には、共通するところがありました。
この先の倒産の見通しを語るなかで、どちらも「リスケ」で事業を続けている会社に触れているのです。
リスケ(リスケジュール)とは、金融機関に頼んで、一定期間だけ毎月の返済額を減らしてもらうなど、借入金の返済条件を変えてもらうことです。
「うちもリスケで、なんとか毎月を回している」
そんな会社は、何を確かめておけばいいのか。
まずは、発表された数字から見ていきます。
2026年度上半期の企業倒産は13年ぶりの高水準
東京商工リサーチの発表は、次のとおりです。
2026年度上半期(4-9月)の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が5,373件(前年同期比3.8%増)、負債総額は8,561億6,900万円(同23.5%増)だった。
件数は、年度上半期では5年連続で増加し、2013年(5,505件)に次ぐ高水準となった。
— 東京商工リサーチ「2026年度上半期(4-9月)の全国企業倒産5,373件」より
帝国データバンクの集計でも5,362件で、上半期としては2年連続で5,000件を超えました。
半年ごとに見ると10期続けて増えていて、これは2000年度以降でもっとも長い連続です。
このままのペースが続けば、年度で1万件を超えるのは3年連続になる見込みです。
倒産した会社の多くは、小さな会社です。
東京商工リサーチの集計では、負債1億円未満の倒産が77.0%、従業員10人未満の会社が90.6%を占めました。
手続きの形を見ると、破産が90.7%。
年度上半期としては、30年間でもっとも高い割合です。
倒産した会社の9割が、会社をたたむ手続きに進んでいることになります。
なお、9月だけを見ると831件で、4か月ぶりに前年の同じ月を下回りましたが、半年を通して見れば増えています。
調査会社2社がそろって触れたリスケ中の会社
気になるのは、2社がこの先をどう見ているかです。
東京商工リサーチは、発表の中で次のように書いています。
過剰債務の解消を先送りしている企業も、そろそろ金融機関の姿勢変化で選別対象になる可能性もある。金融機関は「金利のある世界」に戻り、採算性を重視した貸出姿勢を示している。リスケを繰り返す企業は、将来性・事業性を見極めての対応になりそうだ。
年末に向け、資金需要が活発になる時期を迎えた。業績回復が進まず、リスケ対応で凌ぐ小・零細企業を中心に、年度下半期は息切れ企業の淘汰が倒産を押し上げる可能性が高い。
— 東京商工リサーチ「2026年度上半期(4-9月)の全国企業倒産5,373件」より
帝国データバンクも、今後の見通しのなかで次のように書いています。
国内景気は今後もAI、半導体関連企業がけん引するものとみられるが、こうした恩恵の及ばない企業や、コロナ禍からの業績回復に至らず、収益悪化と借入負担からリスケ対応で事業を継続している企業との二極化がさらに強まりそうだ。
— 帝国データバンク「倒産集計 2026年度上半期報(4月~9月)」より
そのうえで、年度の下半期も、中小・小規模の会社を中心に5,000件を超えるペースで倒産が続くとみています。
集計からは、倒産した会社のうち、どれだけがリスケ中だったかまでは分かりません。
ただ、年度の後半に向けて、2社がそろってリスケで事業を続ける会社に目を向けているのは確かです。
ここからは、いまリスケで返済を軽くしてもらいながら、会社を続けている社長に向けたお話です。
リスケで軽くなるのは毎月の返済額だけ
たちばなはじめは、リスケジュールには一貫して否定的です。
返済が軽くなっても、本業で稼ぐ力そのものは変わらないからです。
10あった返済が2に減れば、ひと息つけるように感じるかもしれません。
ですが、返済を10から2に減らしてもらう会社には、そもそも返す力が残っていません。
その会社が2の返済を続けても、資金繰りがよくなることはない。
たちばなはじめが、くり返し伝えていることです。
本業で毎月残るお金が、軽くなった返済額にも届かなければ、足りない分は手元のお金から出ていきます。
返済を軽くしてもらっても、手元のお金は少しずつ減っていくのです。
そのうえ、リスケのあと元の返済に戻して、利益を出しながら続いている会社は、まず存在しません。
厳しい話に聞こえるかもしれません。
信じられないと感じたら、お付き合いのある銀行員や税理士に、こう聞いてみてください。
「リスケから元の返済に戻して、利益を出しながら続いている会社は、どのくらいありますか?」
「ほとんどない」という答えが返ってくるはずです。
そこへ、東京商工リサーチの見立てのように金融機関の姿勢が変われば、リスケの延長も、これまでどおりに認められるとは限りません。

リスケを始めてから手元のお金は増えたか?
リスケで返済を軽くしてもらっているあいだに、手元のお金は増えているのか、減っているのか。
確かめることは、次の3つです。
- リスケを始めた月と今月の通帳の残高(新しく借りたお金や、社長・家族が入れたお金を除いて)
- 本業で毎月残るお金と、軽くなった毎月の返済額
- 年末までに出ていくお金(冬の賞与・年末の仕入れ・年明けまでの支払いなど)と、いまの残高
1つ目は、会社の口座をすべて合わせた残高で比べます。
リスケのあとに新しく借りたお金や、社長や家族が会社に入れたお金があれば、その分を差し引いてください。
お金が入った月は残高が増えて見えるので、差し引かないと、減っていることに気づけません。
季節によって入金が大きく動く会社は、前の年の同じ月とも比べておきましょう。
2つ目の「本業で毎月残るお金」は、売上の入金から、仕入れや給料、家賃などの支払いを差し引いた額です。
月によって増減があるので、数か月分で見ておくと確かです。
軽くなった返済額にも届かない月が続いているなら、その差は手元のお金で埋めていることになります。
3つ目は、年度の後半に入ったいまだからこそ見ておきたい数字です。
年末に向けては、ふだんより出ていくお金が重なります。
残高が減っている、返済額に届かない、年末の支払いに足りない。
3つのうち1つでもこの答えになったら、返済を軽くしてもらっていても、資金繰りは楽になっていないということです。

立て直すにも暮らしを守るにもお金が要る
会社を立て直すにしても、たたむにしても、その先にはお金が要ります。
自宅に住み続けたい、家族の暮らしを守りたいというときも、同じです。
たちばなはじめは、メルマガのなかで「家土地残すな!カネ残せ!」と書いています。
同じ号では、不動産を維持するための手段としてリスケをするのは根本的に間違っている、とまで言い切っています。
家や土地にこだわるより、まずお金を残す。
家をいったん手放しても、借りて住み続けたり、あとで買い戻したりする道もあります。
ただ、そのためにもお金がかかります。
お金が減ってからでは、その道も閉ざされていきます。
だからこそ、無理な返済を続けるより、お金があるうちに相談してほしいのです。
リスケの前と比べれば選べる道は少なくなりますが、リスケに入ってからでも、お金が残っているうちなら取れる手はまだあります。
リスケの延長を頼む前に
「うちもリスケで、なんとか毎月を回している」
そう言えるいまは、まだ手元にお金が残っている時期でもあります。
リスケの期限が近づくと、延長を頼むことで頭がいっぱいになりがちです。
ですが、その前に、リスケを始めてからの通帳の動きを一度確かめてください。
お金が減り続けているなら、延長してもらっても、その流れは変わりません。
リスケジュールについては、次の記事でもくわしく取り上げています。
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