会社が融資を受けるとき、当たり前のように社長個人が背負ってきたのが、経営者保証(連帯保証)です。
会社の借入を、社長個人が丸ごと肩代わりする約束。
この重い仕組みが、いま変わり始めています。
2026年6月、金融庁が最新の活用実績を公表しました。
民間金融機関の新規融資のうち、経営者保証に頼らない融資の割合が、半数を超えたのです。
民間金融機関による新規融資のうち、経営者保証に依存しない融資の割合は、2022年度の約3割から上昇を続け、直近では5割を超えた。金融庁はこうした活用実績を毎年度取りまとめて公表している。
— 金融庁「民間金融機関における『経営者保証に関するガイドライン』の活用実績」(2025年度実績)より
数年前まで、社長が連帯保証をしないで会社が借りるなど、考えられませんでした。
それが、いまや新規融資の半分以上で、保証なしが選ばれています。
この流れは、資金繰りに向き合うすべての社長にとって、見逃せない変化です。
ただし、勘違いしてはいけないことがあります。
制度が変わったからといって、あなたの会社の保証が、自動で外れるわけではないということです。
先進国では珍しい、連帯保証という重い仕組み
そもそも経営者保証、つまり連帯保証という制度は、世界を見渡すとかなり特殊なものです。
個人保証を含む連帯保証人の仕組みが、これほど当たり前に使われている国は、先進国のなかでも限られています。
お金を貸す側からすれば、これほど有利な仕組みはありません。
会社が返せなくなっても、社長個人から、時にはその家族からも回収できます。
回収先が増えるぶんだけ、貸し手にとってリスクの小さい仕組み。
その裏側で、借りた社長は、会社の失敗がそのまま個人の破綻に直結する重さを、一人で背負ってきました。
たちばなはじめのもとには、この連帯保証に苦しむ経営者の相談が、数多く寄せられてきました。
会社の事業そのものは決して悪くないのに、過去に負った保証が足かせになり、身動きが取れなくなっている社長。
連帯保証は、保証した人も、させた人も、双方を長く縛る仕組みです。
だからこそ、保証に頼らない融資が広がっているという今回の変化は、経営者にとって大きな意味を持ちます。
保証なしで借りられる時代に、なぜ「備え」が必要なのか
保証なし融資が半数を超えたと聞くと、これからは誰でも保証なしで借りられる、と受け取ってしまいそうです。
けれども、実際はそう単純ではありません。
金融機関が経営者保証を求めないと判断するには、いくつかの目安があります。
大きく分けると、次のような点です。
- 会社と社長個人のお金が、はっきり分けられていること
- 会社の財務状況が、決算書や試算表で正しく見える状態になっていること
- 本業の利益で、借入をきちんと返していける見通しがあること
逆に言えば、ここが曖昧な会社は、制度が変わっても保証を外してもらいにくいということです。
たとえば、会社の口座と社長個人の財布が、事実上ひとつになっている会社は少なくありません。
数字は税理士に任せきりで、社長自身は月々のお金の流れを追えていない、というケースもあります。
こうした状態のままでは、金融機関も保証なしに踏み切れません。
保証なし融資が当たり前になる時代に会社を守れるかどうかは、日ごろの備えで決まります。
保証を外しやすい会社が、共通してやっていること
経営者保証を外しやすい会社には、はっきりした共通点があります。
それは、社長が自社の数字を、自分の言葉で説明できることです。
今月いくら入って、いくら出ていくのか。
手元の現金があと何か月もつのか。
借入をどのペースで返していくのかも、頭に入っています。
こうした数字を、社長自身の言葉でつかんでいる会社。
そういう会社は、金融機関からの信頼も自然と厚くなります。
たちばなはじめ自身、かつては会社の数字を経理まかせにしていた時期がありました。
取引先の破綻をきっかけに資金繰りが行き詰まり、そこから自ら数字を学び直し、現金の流れを毎日追いかけるようになったのです。
そのとき痛感したのは、たった一つのことでした。
事業の根幹は、事業ではなく会計にある。
数字、とくに現金の流れから目をそらしていては、金融機関とまともに向き合うことはできません。
会社と個人のお金を、まずしっかり分けます。
月々の試算表と資金繰り表で、財務を見える状態にしておく。
この地道な積み重ねが、保証を外せる会社と、外せない会社を分けていきます。
難しい制度を覚える前に、まず自社の数字を自分の手に取り戻すことから始めてみてください。
すでに保証が重くのしかかっているなら
ここまでは、これから保証なしを目指す会社の話でした。
けれど、実際には、すでに背負ってしまった連帯保証に押しつぶされそうな社長も少なくありません。
会社の借入に個人保証がつき、返済が立ち行かなくなっている。
このままでは、会社も自分も、家族まで巻き込んだ破綻。
そう感じている経営者もいるはずです。
そんなとき、法的な手続きに一直線に進む前に、確かめてほしいことがあります。
それは、金融機関との向き合い方を見直すことで、まだ打てる手が残っていないか、ということです。
たちばなはじめ自身、かつて6億円の負債を抱え、返済が立ち行かなくなった経験があります。
それでも、金融機関との交渉のしかたを根本から見直すことで、破綻を避けて再生の道を歩みました。
大切なのは、足並みをそろえて言われるままに進むのではなく、交渉のアングルそのものを工夫すること。
もちろん、すべてが同じようにうまくいくわけではありません。
それでも、選択肢は一つではないということだけは、知っておいてほしいのです。
保証の重さに一人で耐え続ける前に、まずは自社の現在地を正しくつかむ。
そこから、できることを一つずつ整理していきましょう。
時代が変わる今こそ、金融機関との向き合い方を
経営者保証に頼らない融資が半数を超えたという変化は、追い風であることは間違いありません。
ただ、その追い風を受け取れるかどうかは、日ごろの備えと、金融機関との向き合い方で決まります。
会社と個人のお金を分け、自社の数字を自分の手でつかみます。
そして、いざというときも、交渉の余地を最後まで探る。
この姿勢が、あなたの会社と暮らしを守る土台になります。
連帯保証のことや、金融機関との向き合い方で気になることがあれば、一人で抱え込まず、まずは一度ご相談くださいね。
資金繰りの課題を抱える経営者の方へ3つのご案内
あなたの選択肢を、一緒に考えませんか?

