「26年版・倒産危険度ランキング」で、危険水域に入った企業が408社にのぼると報じられました。
過剰な債務を抱えたまま、利上げや原価高に押されて踏みとどまっている会社が、それだけあるということです。
こうした記事を目にすると、つい「自社が何位に入っていないか」という会社の側の数字に目がいきます。
けれども、私たちがいちばん気にかけてほしいのは別のところ。
その過剰債務を、社長個人がどこまで連帯保証で背負っているのか、という一点です。
会社の借入が膨らんでいるとき、危ないのは会社の決算書だけではありません。
その後ろで、社長の自宅や家族の暮らしまでが、同じ一本の線でつながっています。
この記事では、過剰債務が話題になるいまだからこそ確かめておきたい、社長個人の連帯保証との向き合い方をお伝えします。
過剰債務は「会社の問題」のまま終わらない
過剰債務という言葉は、どうしても会社の話として語られます。
借入が多い、返済が重い、利益が追いつかない。
たしかに、入り口はすべて会社の数字です。
ところが日本の中小企業では、その会社の借入のほとんどに、社長個人の連帯保証がついています。
会社が返せなくなった瞬間に、請求の宛先は会社から社長個人へと切り替わる仕組み。
このとき過剰債務は、会社の問題から社長個人の問題へと姿を変えます。
さらに配偶者や親が保証人に入っていたり、自宅が担保に差し入れられていたりすれば、問題は家族の生活そのものにまで届きます。
危険水域という言葉の本当の重さは、ここにあります。
会社が傾くことより、その傾きが家族の暮らしへ波及してしまうことのほうが、はるかに怖いのです。
危険水域に入ってから社長がまず確かめること
業績に余裕があるうちに保証を棚卸ししておくのが理想なのは、言うまでもありません。
とはいえ、すでに過剰債務で苦しい局面に入ってしまった社長も、いま現にいらっしゃいます。
そういう方に、もう手遅れだと申し上げるつもりはありません。
危険水域に入ってからでも、まず確かめておきたいことがあります。
- いまの借入のうち、社長個人の連帯保証がついているのはどれか
- 社長以外に、配偶者・親・後継者が保証人として入っていないか
- 担保に差し入れている資産は何か(自宅・事業用不動産・預金など)
- 家族名義の資産と、会社の借入がどこかで結びついていないか
ここをあいまいにしたまま資金繰りの対応だけを急ぐと、いちばん守りたかったものが後回しになります。
会社の数字を追いかける前に、社長個人がどこまで背負っているのかを正確につかむ。
苦しいときほど、この順番が効いてきます。
「とにかく保証を外したい」が動きを遅らせることもある
連帯保証の話になると、「まず個人保証を外したい」というご相談をよくいただきます。
その気持ちは、痛いほどよくわかります。
ただ、外すこと自体をゴールにしてしまうと、かえって遠回りになることがあるのです。
近年は、一定の条件を満たせば個人保証に頼らない融資をうながす枠組みも広がってきました。
経営者保証に関するガイドラインは、全国銀行協会と日本商工会議所を事務局として策定された、中小企業向け融資での個人保証の扱いをまとめた指針です。法的な強制力はありませんが、法人と個人の資産・経理が明確に分けられているなど一定の条件を満たす場合に、個人保証を求めない融資や、既存の保証の解除を金融機関と話し合う際のよりどころとして使われています。
— AI 検索で「経営者保証ガイドラインとは」について調べた際の解説より引用
こうした枠組みがあること自体は、知っておく価値があります。
一方で、実際に外せるかどうかは、会社の状態と金融機関との関係しだい。
過剰債務で危険水域にいる会社が、いきなり「保証を外してほしい」と申し出れば、相手の警戒はむしろ強まります。
だからこそ、外すこと単体を目指すのではなく、金融機関との交渉方法そのものを見直していく発想が大切。
守る順番を危険水域でも崩さない
過剰債務に追われると、頭の中は返済のことで埋まっていきます。
銀行への返済を最優先にしなければ、と思い込んでしまう社長は少なくない。
けれども、たちばなはじめが大切にしている守る順番は、それとは違います。
- 家族
- 従業員
- お客
- 協力企業
- 銀行
これは「税金、家賃、給与」といった支払いの事務的な順序ではありません。
あなたが守りたい人を、近い人から順に並べた優先順位です。
銀行への返済を一番最後に置くのは、返済を放棄するためではありません。
家族や従業員、お客、協力企業という事業の土台を先に守らなければ、いずれ銀行に返す力そのものを失ってしまうからです。
連帯保証の現在地を確かめておくことは、この順番を危険水域でも崩さないための備え。
社長個人が背負っている線がどこまで伸びているかを知っていれば、いざというときも家族を守る側に立てます。
追い込まれてからでも選べる道はある
過剰債務という現実は、数字だけ見ればたしかに重いものです。
それでも、危険水域に入ったからといって、残された道が倒産や破産だけになるわけではありません。
たちばなはじめ自身も、かつて多額の負債を抱えて返済に行き詰まった経験があります。
そのときも法的な手続きには頼らず、金融機関との向き合い方を変えることで再生してきました。
その経験から言えるのは、倒産や破産をせずに解決できる可能性は、追い込まれた局面でも最後まで残っているということ。
大切なのは、会社の数字だけでなく、社長個人と家族がどこまで巻き込まれているかを早く正確につかむことです。
そのうえで、金融機関との交渉方法を組み立て直していくことになります。
危険水域の報道を自社の点検のきっかけに
倒産危険度ランキングのような報道は、つい他社の話として読み流してしまいがち。
けれども、過剰債務が広がっているいまは、自社の連帯保証を点検する良いきっかけでもあります。
まずは、会社の借入に社長個人や家族がどこまで関わっているかを書き出してみてください。
そして、守りたいものの順番を、家族とも一度共有しておく。
そこまでできていれば、危険水域という言葉に振り回されることなく、落ち着いて次の一手を選べます。
もし少しでも心当たりがあれば、まずは一度ご相談くださいね。
資金繰りの課題を抱える経営者の方へ3つのご案内
あなたの選択肢を、一緒に考えませんか?

