中小企業のM&A市場は、近年急速に拡大しています。
後継者不在や経営者の高齢化を背景に、「売って引き継ぐ」という選択肢が一般化したためです。
一方で、活況になればなるほどトラブルも目立つようになっています。
M&Aを検討した経営者からは、「途中で破談になった」「条件がどんどん厳しくなった」「承継したものの負債が引き継がれて、後継者が苦境に陥った」という声が頻繁に聞かれます。
本記事では、中小企業のM&A・事業承継で起きやすい3つの典型的なトラブルを整理したうえで、すでに負債を抱えている経営者の方に向けて、「一般的な再生手法」と「私たちが提案する再生手法」の違いについても解説します。
トラブル①:交渉が進むほど条件が厳しくなり、最終的に破談
「当初は好条件だったのに、デューデリジェンス(買い手側による事前調査)が進むにつれて評価額が下がっていき、最終的に折り合わずに破談」というケースは少なくありません。
原因の多くは、決算書には現れない簿外債務、特定取引先への過度な依存、未払い退職金、係争リスクなどが、調査の段階で発覚することにあります。
売り手側からすると「自社の弱みを後出しで指摘される」形に感じやすいのですが、買い手側の立場からすれば当然の確認です。
対策:簿外リスクは初期段階で開示する
買い手は「隠されていた」と感じた瞬間に交渉を引き締めにかかります。
後から発覚するくらいなら、初期段階で正直に開示し、その上で評価額を交渉した方が、結果的にうまくまとまる傾向があります。
また、初期開示はトラブル防止だけでなく、信頼関係の構築にもつながります。
買い手は「正直な売り手」とは長期的な交渉に応じやすくなるためです。
トラブル②:承継後も負債が残り、後継者を苦しめる
事業承継というと「黒字で順調な会社を子息や第三者に引き継ぐ」というイメージが強いかもしれません。
しかし実態はそうではありません。
承継対象となる中小企業の少なくない割合が、借入金や経営者個人の保証を抱えているのが現実です。
このとき、負債を整理しないまま承継してしまうと、後継者が同じ資金繰り問題に直面することになります。
「親が残した借金を返すために自分の人生を費やす」という構図は、決して珍しいものではありません。
対策:承継の前段階で負債の問題に決着をつける
承継の前に、負債の問題にどう決着をつけるかを決めておくことが重要です。
ここでよく耳にするのが、民事再生や第二会社方式といった一般的な再生手法ですが、これらには注意すべきポイントがあります。
次の章で詳しく見ていきます。
トラブル③:仲介会社の都合で進められ、売り手の意向が反映されない
M&A仲介市場の急成長に伴い、仲介会社の品質にもばらつきが出てきています。
なかには「とにかく成約させて手数料を取る」ことを優先し、売り手の希望条件を軽視するケースもあります。
「従業員の雇用を守ってほしい」「取引先との関係を維持してほしい」「自分の名前を会社名から外さないでほしい」。
こうした売り手側の希望が、契約に反映されないまま成約してしまう例も見られます。
対策:複数の仲介会社・専門家から意見を聞く
1社だけに任せきりにせず、最低でも2〜3社の仲介会社から意見を聞くことが望ましいでしょう。
あわせて、利害関係のない第三者の専門家にも並行して相談しておきたいところです。
仲介会社は基本的に「成約手数料」が報酬源であるため、構造上、契約締結に向けたバイアスがかかりやすくなります。
中立的な目線でアドバイスをくれる人を一人は持っておくべきです。
「一般的な再生手法」と「私たちが提案する再生手法」の違い
負債を抱えた状態で事業承継やM&Aを検討する場合、まず考えるべきは「どのように負債と向き合うか」です。
ここで多くの経営者が選択肢として目にするのが、民事再生・第二会社方式・破産といった、いわゆる一般的な再生手法です。
一般的な再生手法は、金融機関と足並みを揃えるのが前提
これらの手法は基本的に、金融機関と足並みを揃えて実行することが前提になっています。
裁判所や認定支援機関を通じた手続きの中で、債権者との合意形成を図っていく流れです。
制度としては整備されていますが、現場で実際に何が起きているかというと、結末は「旧会社は倒産」「経営者は破産」というケースが大半です。
AIで「第二会社方式 仕組み 旧会社 清算」について調べてみると、次のような解説が出てきます。
第二会社方式は、過剰債務に陥った会社の収益性のある事業のみを会社分割や事業譲渡によって新会社(第二会社)に移し、不採算事業と過剰債務を抱えた旧会社は特別清算等の手続きを経て清算するという事業再生の手法です。
新会社は旧会社の債務を引き継ぐ必要がなく、旧会社は事実上の抜け殻となって破産または清算手続きに進む立て付けと整理されています。
経営者保証の取扱いは経営者保証ガイドラインに沿って判断され、旧会社の役員は退任したうえで新会社のスポンサーのもとで顧問等として関与するパターンが多いと紹介されています。
— AI検索で「第二会社方式 中小企業 事業再生 仕組み」について調べた際の解説より引用
このように、第二会社方式は新会社に事業の中核を移したあと、旧会社を清算(実質的な倒産)するスキームであるため、経営者個人の保証債務をめぐっては、ガイドラインに沿った調整が別途必要になります。
実務的には、最終的に破産手続きに進まざるを得ない流れにつながりやすい局面があると指摘されています。
破産という結末にたどり着くと、自宅・預貯金・株式といった経営者個人の資産・財産はほぼすべて失うことになります。
家族の生活基盤も大きく揺らぎ、その後の人生再建は心理的にも金銭的にも非常にハードな道のりになります。
私たちが提案するのは「金融機関と足並みを揃えない」再生手法
私たちの再生手法は、これとは根本的に異なる発想に立っています。
金融機関と足並みを揃えるのではなく、金融機関や債権者と「私的に」交渉して再生を進めていく手法です。
目的はあくまで「法的な手続きに頼らない再生」です。
この発想の原点は、創設者であるたちばなはじめ自身の経験にあります。
たちばなは、かつて事業の失敗から、返済が立ち行かなくなった経験があります。
その状況から、金融機関との交渉方法を見直すことで資金繰りを立て直し、法的な手続きに頼ることなく再生することができました。
その実体験をもとに、現在は同じように資金繰りに苦しむ経営者を支援する活動をしています。
私たちのサービスは、創設者の経験則だけで動いているわけではありません。
顧問弁護士、宅建士、税理士など各分野のプロが連携してサポートしており、各方面の専門家の目を通したうえで進めていく体制です。
相談先を選ぶときに、知っておいてほしいこと
資金繰りや負債の問題に直面したとき、専門家への相談を考える方は多いと思います。
それ自体はとても自然なことです。
ただ、相談先を選ぶときに、ひとつだけ前提として知っておいていただきたいことがあります。
それは、「お金に困っている人の気持ちは、お金に困ったことがある人にしか本当にはわからない」という、ある意味で普遍的な事実です。
これはどの職業にも当てはまる話で、特定の専門家を指して言っているのではありません。
毎晩眠れずに資金繰り表とにらめっこしている経営者の感覚は、同じ立場に立った経験のある人でないと、本当の意味では届きにくいものがあります。
もう一つは、専門家サービスの構造の話です。
法律や税務のプロフェッショナルが提供しているのは、ひとつの専門サービスであり、サービスである以上、得意とする手続きの中で解決の道筋を組み立てるのが自然な流れです。
たとえば破産や法的整理の代理を中心にしている事務所であれば、相談内容に対しても、その領域の選択肢を出発点に検討が進みやすくなります。
これは、それぞれの専門家が「自分の専門領域の中で、もっとも誠実に答えようとしている」結果でもあります。
ただ、相談する側としては、「相談先によって、出てくる選択肢の幅は自然と変わる」という前提を知っておくと、より冷静に判断できます。
たちばなはじめ自身の実体験
実は、たちばなはじめ自身も、過去に資金繰りに困って専門家に相談に行った経験があります。
そのとき返ってきたのは「もう破産するしかない」という言葉でした。
あわせて提示されたのは、決して安くはない破産費用です。
結果として、私たちはその破産費用すら捻出できず、破産することすらできませんでした。
そこから自力で道を切り開く中で、金融機関との向き合い方を変える手法にたどり着いたのです。
今、私たちが同じ立場の経営者の方々をサポートしているのは、まさにこの実体験が原点にあります。
だからこそ、相談に来てくださる方の心情には、頭ではなく身体で理解できる部分があると感じています。
破産を決断してしまう前に、ぜひ知っておいてほしいこと
私たちがお伝えしたいことは、シンプルに「選択肢を知ってほしい」ということです。
倒産や破産という選択肢のほかにも、検討に値する道がいくつか存在します。
まずは、そういう選択肢があるということを知っていただくところから始まります。
もし「破産するしかない」という言葉が頭をよぎるような状況にあるのなら、決断を下してしまう前に、ぜひ一度、私たちにご相談ください。
即決をする前に、選べる手札を一通り並べて見てみることには、必ず意味があります。
まとめ:選択肢を広げて、家族と従業員を守る承継を
中小企業のM&A・事業承継で起きやすいトラブルの大半は、「準備不足」「選択肢の少なさ」「相談相手の偏り」が原因です。
逆に言えば、次の3点を意識するだけでもトラブルは大きく減らせます。
- 事業承継の検討は、実行の3年以上前から始める
- M&A仲介や一般的な再生手法だけでなく、金融機関との交渉方法を見直す選択肢も比較する
- 1か所だけに相談を完結させず、利害関係のない第三者の相談相手も1人は確保しておく
もし今、負債や資金繰りで悩んでおられるなら、どうか覚えておいてください。
倒産や破産だけが、唯一の選択肢ではありません。
「金融機関と足並みを揃えて手続きする道」と「金融機関との交渉方法を見直して再生する道」では、そのあとの人生がまったく違うものになります。
後継者を苦しめる承継ではなく、家族と従業員を守る承継を実現するために、選べる手札を一つでも増やしていただきたいと考えています。
お一人で抱え込んでしまう前に、ぜひ一度、私たちに状況をお聞かせください。
資金繰りや事業承継の悩みに対して、これまでの実体験と専門家チームの知見をもとに、あなたの会社・あなたのご家族にとって最善の道を一緒に考えます。
資金繰りの課題を抱える経営者の方へ3つのご案内
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