事業再生が手遅れになる前に社長が必ずやっておくべきお金と資産の防衛対策

業績が傾いてから、あわてて事業再生に踏み出す。

そんな会社は、決して少なくありません。

事業再生に着手するのは、早ければ早いほど良い。

なぜなら、資金繰りが本当に苦しくなってくると、打ち手はどんどん少なくなってくるからです。

事業再生を「追い詰まってからの話」だと考えているなら、ちょっと待ってください。

業績に余裕があるうちこそ、事業を再生するチャンスなのです。

目次

事業再生を「追い詰まってから」と思っていないか?

事業再生という言葉には、もう倒れる寸前の会社が起死回生で取り組むもの、という響きがあります。

けれど、実際の現場で起きているのは、その逆。

手元の現金がまだ回っていて、金融機関との関係も切れていない段階のほうが、組み直せる範囲は広く残っています。

裏を返せば、対応が後ろにずれ込むほど、打てる手は一つずつ消えていく。

その「手遅れ」のラインを示す数字のひとつが、信用保証協会の代位弁済です。

代位弁済とは、会社が銀行へ返済できなくなったとき、信用保証協会が銀行へ残りの債務を肩代わりする手続き。

肩代わりといっても、会社の借入金が消えるわけではありません。

債権が銀行から協会へ移り、会社はそのまま協会へ返し続ける形になります。

そして近年、この代位弁済がどんどん増加しているんですね。

AIで「代位弁済 件数 推移」について調べてみると、次のような解説が出てきました。

2024年の信用保証協会による代位弁済は約4万8千件で前年から16%増え、金額は5,515億円と18%増えた。これは約10年ぶりの高い水準にあたる。原材料費や人件費の上昇で利益が圧迫され、小規模な事業者を中心に資金繰りが行き詰まるケースが目立っている。

— AI検索で「代位弁済 件数 推移」について調べた際の解説より引用

件数が増えているという事実は、それだけ多くの会社が「銀行に返せなくなる」最終段階まで進んでしまっている、という裏返しです。

そこまで来てしまうと、打ち手はかなり限られてしまう。

だからこそ、もっと手前で対策を打っておきたいんです。

資金繰りの異変は利益より先に現金に出る

「うちはまだ黒字だから大丈夫」

そう考えているあいだに、現金のほうが先に細っていくことは珍しくありません。

損益計算書の利益は、売上から費用を差し引いた計算上の結果。

一方で、いま手元にいくら残っているかを示すのが現金です。

このふたつは、売掛金の入金時期や在庫、借入金の返済が絡むと、簡単にずれていきます。

帳簿は黒字なのに、通帳の残高が毎月じわじわ減っていく。

これこそ、事業再生を考えるべきかどうかの、わかりやすい予兆のひとつ。

たちばなはじめは、かつて燃料油の卸・小売を中心に、複数の事業を営んでいた時期があります。

もともと会計は経理まかせで、自分で細かく数字を追ってはいませんでした。

売上と利益さえ見えていれば事業は回る。

長らく、そう信じて疑わなかった。

ところが、自社の資金繰りが少しずつ苦しくなってきたことをきっかけに、自分で会計を学び始め、数字を直接つかむようになりました。

ですが、その努力は実らず、結果的には抱えきれないほどの負債を背負い、事業は破綻。

この経験から繰り返し説いているのが、「事業の根幹は事業ではなく会計にあり」という教えです。

数字をおろそかにしてしまったことが、そもそも事業を窮地へ追い込んだ入口だった。

自身の体験から、そう痛感したからです。

利益は、結果として後から出てくる数字。

現金は、いま手元にあるかどうかを示す、動かしがたい事実です。

経営判断のもとになるのも、銀行との対話で土台になるのも、結局は現金のほうなんです。

「数字、とくに現金の流れから目をそらさない」

これが、たちばなはじめが日々の発信で繰り返し伝えているメッセージです。

リスケに入る前だからこそ残っているもの

資金繰りが苦しくなったとき、多くの会社がまず検討するのがリスケジュール、つまり返済条件の変更です。

月々の返済額を減らせるため、目の前の負担はたしかに軽くなります。

ただ、リスケは延命のように見えて、別の道をふさいでしまう面もある。

そのひとつが、経営者保証です。

会社の借入金に、社長個人が連帯保証している。

中小企業では、ごく一般的な形です。

この個人保証を外していくよりどころとして、国の経営者保証ガイドラインという指針。

そこでは、財務基盤や返済能力といった点が、保証を外せるかどうかの目安に置かれています。

ところが、いったんリスケに入ると、返済条件を見直さざるを得ない状態だとみなされ、この目安から外れてしまう。

結果として、個人保証を外す道が遠のいてしまいます。

逆に、リスケに入る前なら、

  • 個人保証を外す方向で、金融機関に交渉する
  • 借入金そのものを組み直し、返済の形をつくり直す
  • 自宅や事業用不動産の名義・抵当の状況を見直す

こういう対策も可能です。

リスケという言葉が頭に浮かんだその時点こそ、一度立ち止まって全体を見渡すべきタイミングということなんですね。

平常時にこそ資産を守る対策を

もうひとつ、業績に余裕があるうちにやっておかなければならないものがあります。

それが、自宅や個人の資産を守る対策です。

業績が悪くなってから自宅を守ろうとしても、すでに抵当に入っていたり、名義の見直しが間に合わなかったりして、結果的に自宅を失ってしまうケースは多いです。

平常時から、非常時を想定して備えておきましょう。

確かめておきたいのは、たとえば次のような点です。

  • 事業用の借入金に対して、自宅へ過剰な根抵当が設定されていないか
  • 自宅と事業所の名義が、リスクの観点から切り分けられているか
  • 事業用の資産と、個人の生活を支える資産が、きちんと分けられているか

こうした備えは、後継者へ会社を渡していく場面でも効いてきます。

負債や個人保証を、次の世代へそのまま背負わせない。

その土台づくりにもつながるからなんですね。

どんな状態からでも諦めない

たちばなはじめ自身、抱えきれないほどの負債を背負って行き詰まったところから、法的な手続きに頼らずに再起した経験があります。

同じ道を一度経験した立場だからこそ、「どんな状態でも、倒産や破産をせずに解決できる可能性を最後まで模索する」というスタンスで支援にあたっています。

事業を立て直すにしても、整理して次へ進むにしても、その先の生活基盤をどれだけ守れるか。

諦めなければ、必ず道はあります。

理想は、業績の谷が来る前に動き出すこと。

とはいえ、いまどの段階にいても、できることを一緒に確かめるところから始められます。

会社の数字に何か引っかかるものがあるなら、それは現在地を見直すサインです。

もしあなたがいま、少しでも気にかかることがあるなら、ひとりで抱え込まず、まずは一度ご相談くださいね。


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