2026年のインバウンド減少…旅館や観光地の店は借りて客足の戻りを待ってはいけない

インバウンド減少と借入で客足を待つ前の考え方を解説するたちばなはじめ

2026年10月21日、日本政府観光局(JNTO)が、9月に日本を訪れた外国人の数を発表しました。

9月の訪日客は310万3,700人(推計値)で、前年の同じ月より5.0%少なく、8月に続いて前年を下回っています。

1月から9月までの合計も3,073万200人と、前年の同じ時期を2.9%下回りました。

なかでも中国からの訪日客は、1月から9月までの合計で、前年の半分に届いていません。

旅館やホテル、観光地の飲食店や土産物店のなかには、訪日客、いわゆるインバウンドのお客さんが売上の大きな柱になっている店も少なくないでしょう。

「いまは辛抱のとき。客足が戻るまで、借りてしのげばいい」

あなたも、そう考えてはいないでしょうか。

ですが、借入で客足の戻りを待つやり方には、お客さんが戻ったあとにも残る落とし穴があります。

目次

訪日客は2か月続けて前年を下回った

日本政府観光局の発表では、9月の訪日客について次のように説明されています。

9月の訪日外客数は3,103,700人で、前年同月比5.0%減となったものの、韓国、メキシコ、中東地域など7市場で9月として過去最高を記録した。

アジア競技大会が愛知県で開催され、選手や関係者による訪日があった一方、中東情勢による航空券価格の上昇に加え、航空便の減便や台風による欠航の影響等もあり、多くの市場で訪日外客数は前年同月を下回った。

— 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年9月推計値)」(2026年10月21日発表)より

韓国は84万2,300人、台湾は59万5,600人と、どちらも9月として過去最高でした。

その一方で、大きく減ったのが中国からの訪日客です。

中国は、430,800人(前年同月比44.5%減)であった。昨年11月以降、中国政府より日本への渡航を避けるよう注意喚起が複数回あった。中秋節や国慶節の連休の影響等はあるものの、航空便の減便の影響等もあり、訪日外客数は前年同月を下回った。

— 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年9月推計値)」より

1月から9月までの合計で見ると、中国からの訪日客は333万5,500人。

前年の同じ時期の748万7,508人と比べると、400万人以上少ない計算です。

同じ「インバウンドの減少」というニュースでも、どの国のお客さんが多い店かによって、受ける影響はまったく違うということです。

観光地の商売は店の外の事情で客足が変わる

発表のなかで挙げられている理由を、あらためて見てください。

航空券の値上がり、航空便の減便、台風による欠航、中国政府からの注意喚起。

どれも、店の努力ではどうにもならないことばかりです。

振り返れば、コロナ禍の2020年から2022年にかけても、訪日客は大きく落ち込みました。

外国人のお客さんが多い商売には、ほかの商売にはない事情があります。

  • 特定の国や地域のお客さんに、売上が偏りやすい
  • 受け入れのために、客室の改装や外国語の案内、キャッシュレスの機械などに、先にお金をかけていることが多い
  • 連休や季節によって、客足の波が大きい

観光地の商売は、もともと繁忙期と閑散期の波を乗り越えてきた商売でもあります。

だからこそ、今回も待てば戻る、と考えやすいのでしょう。

ただ、改装や設備のお金を借入でまかなっていれば、客足が落ちても、毎月の返済額は変わりません。

客足が戻るまで借りて待つのは問題の先送り

たちばなはじめは、インバウンドを売上の当てにすることに、以前から慎重です。

コロナ禍のあと、海外からの旅行客が戻り始めたころのメルマガに、こんな場面があります。

コロナ融資の返済が始まり、手元のお金が目減りしていく社長からの相談が増えていた時期。

そうしたなか、旅行客が戻りつつあるのを見て「インバウンド需要頼み」に舵を切った飲食店の社長もいました。

その動きを、メルマガでは「問題先送り路線」と呼んでいます。

同じ号には、こんな一文もあります。

「『今はまだ大丈夫』と言う思考は、ウラを返すと『いずれ大丈夫じゃなくなる』という結果のウラ返しと言えます。」

「借りれば、まだしのげる」と考えるのも、この「今はまだ大丈夫」と同じこと。

客足が戻る日を待っているあいだも、毎月の返済日はやってきます。

手元のお金が減っていくなかで「戻ればなんとかなる」と待つ時間が長くなるほど、選べる道は少なくなっていくのです。

月100万円の返済に追加借入の元金月20万円が加わり月120万円となる試算例

借り足すと客足が戻っても返済は前より重い

では、客足が戻るまで借りてしのぐと、どうなるのか。

たとえば、毎月100万円を返済している旅館が、客足の落ちた半年間の赤字を埋めるために、1,200万円を借り足したとします。

5年で返す約束なら、元金だけで毎月20万円、返済が増える計算です。

半年後、外国人のお客さんが元の数まで戻ったとしても、返済は毎月120万円。

売上は元に戻っただけなのに、返済は前より毎月20万円も重い。

先ほどのメルマガにも、売上が元に戻ったからといって、増えた返済に回すお金まで生まれるわけではない、という話があります。

客足が戻らなければ、借り足した分の返済まで背負って、さらに苦しくなります。

9月に過去最高となった国もあると聞けば、借り足したお金で、そちらのお客さんを呼び込もうと考えるかもしれません。

ですが、新しい国に向けた宣伝や案内の作り直し、受け入れのための改装には、売上が入るより先に支払いが来ます。

手元のお金が細っているときほど、売上を増やそうとする手は、お金を先に減らしてしまうのです。

インバウンドを除いた売上で返済まで払えるか計算する

借り足す前にやっておきたいのが、外国人のお客さんの売上がなくても店が回るかの計算です。

やることは次の3つです。

  1. この1年の売上のうち、外国人のお客さんの分を書き出す
  2. その分を除いた売上で、仕入れや人件費、家賃などの支払いがまかなえるかを見る
  3. そのうえで、毎月の借入の返済まで払えるかを確かめる

3つ目まで払えるなら、借りて待つ理由はありません。

払えないと分かったら、いまの返済をこのまま続けてよいかを考えてください。

手元にお金が残っているうちなら、金融機関との交渉方法を見直す余地もあります。

お金が尽きかけてからでは、その余地も狭まってしまいます。

たちばなはじめが伝えているお金の優先順位は、家族、従業員、お客様、協力企業が先で、銀行への返済は一番最後です。

客足の戻りを待つために借り足し、その返済のために従業員や取引先への支払いを後回しにすれば、この順番が逆になってしまいます。

訪日客の売上を分け、残る売上で支払いと借入返済まで払えるかを確認する三つの手順

借り足すかどうかは社長と家族の手元に何が残るかで決める

訪日客の数は、これからも国際情勢や航空便、天候しだいで増えたり減ったりするでしょう。

減るたびに借り足していけば、お客さんが戻っても、返済だけが前より重くなっていきます。

外国人のお客さんの戻りを待つこと自体は、悪いことではありません。

ただ、待つあいだのお金を借入でまかなう前に、一度、数字を見てください。

借り足してまで、いまの形のまま店を続けることが、社長と家族のためになるのか。

たちばなはじめは、相談を受けるとき、「当事者の事業の継続ありき」ではなく、「当事者の利益の最大化ありき」で助言しています。

店を続けることありきで借り足すのではなく、社長と家族の手元に何が残るかで決める、ということです。

借入の返済と手元のお金については、次の記事でも取り上げています。

手元にお金を残す基本的な考え方は、無料の電子書籍『会社と社長にお金を残す資金繰り改善の教科書』にまとめています(公式LINEを友だち追加するだけで届きます)。

会社と社長にお金を残す考え方の全体像は、セミナーでたちばなはじめが直接お伝えしています。

返済が重くなってきたと感じているなら、無料の個別相談で、いまの数字を一緒に確かめることもできます。

客足の戻りを待つあいだにも、手元のお金は減っていきます。

借り足す前のいまなら、返済の続け方を見直す時間はまだあります。

追加の融資を申し込むのは、私たちと一度話してからでも遅くありません。


インバウンド減少と借入で客足を待つ前の考え方を解説するたちばなはじめ

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