札幌で100年続いた花屋が倒産…冠婚葬祭の注文が減ったときにやるべきこと

冠婚葬祭の注文減少に備えて花屋の資金繰りを見直すことを伝えるたちばなはじめ

2026年10月、札幌で100年以上続いてきた花屋が、裁判所から破産手続きの開始決定を受けました。

帝国データバンクによると、同業者との競争が激しくなったうえに、冠婚葬祭の簡素化などで需要が落ち込んでいたといいます。

葬儀や婚礼の花、会社からの慶弔の注文。

こうした冠婚葬祭の仕事を支えにしてきた花屋は、少なくありません。

その柱が細っていくなかで、花屋は資金繰りをどう考えればいいのでしょうか。

目次

札幌で100年続いた花屋が破産手続きへ

報道によると、破産手続きに至るまでの経緯は次のとおりです。

札幌市中央区の生花小売業者は1924年に創業し、本店のほか市内の百貨店に2店舗を出していた。生花を中心に鉢植えや観葉植物なども扱い、ホテルや官公庁、金融機関などを主な得意先に、法人や個人の冠婚葬祭の需要に応えてきた。1991年9月期には約11億円の売上があり、過去には百貨店やホテルの中で計9店舗を運営していた。しかし近年は、同業者との競合が激しくなったことに加え、冠婚葬祭の簡素化などで需要が落ち込み、2025年9月期の売上は約1億3,000万円まで減少。先行きの見通しが立たなくなり、事業の継続を断念した。10月6日に札幌地裁から破産手続きの開始決定を受け、負債は2025年9月期末時点で約2億8,000万円。

— 帝国データバンクの情報を伝えた2026年10月9日の報道(HBC北海道放送・STV札幌テレビ)から要点を整理

報道から分かるのはここまでで、どの仕事がどれだけ減ったのかまでは伝えられていません。

ここからは、いまも冠婚葬祭の仕事を支えに店を続けている花屋の話です。

花屋の市場は持ち直しても業績悪化が6割近い

花屋の業界全体に目を向けると、少し違う数字が出てきます。

帝国データバンクの調査では、2025年度の花屋の市場は、2年ぶりに前の年を上回る見通しです。

ところが同じ調査で、利益が減った花屋と赤字の花屋を合わせると、6割近くに上っています。

2025年度の花屋の市場(事業者の売上高ベース)は約2,250億円で、前年度から約1.4%増え、2年ぶりに増加する見通し。一方で、損益(見通しを含む)が「減益」の花屋は24.8%、「赤字」は33.6%で、合わせた「業績悪化」の割合は58.4%に上る。大きな生花祭壇など安定した需要が見込めた冠婚葬祭向けは小規模化・簡素化が進み、こうした販売先を主力とする花屋では、受注が減った影響が大きかった。

— 帝国データバンク「全国『花屋市場』動向調査(2025年度見通し)」(2026年3月)から要点を整理

東京商工リサーチの調査でも、全国の主な花屋384社の2025年の売上高は前の年より増えた一方、売上が増えた会社と減った会社に分かれる「二極化」が鮮明になったとされています。

売上高5億円未満の会社が9割を超え、その多くは地域に根ざした個人商店や家族経営の店とされています。

業界の売上が伸びたからといって、自分の店も持ち直しているとはかぎりません。

たちばなはじめは、メルマガでこう書いています。

「カネ儲けの判断基準は会計以外では把握のしようが無いのです。」

売上が前の年より増えていても、仕入れ値や光熱費が上がった分、手元に残るお金は減っている店もあります。

それは業界の平均ではなく、自分の店の数字を見なければ分かりません。

花束と仕入れ伝票で花屋の費用を確認するイメージ

花屋の手元のお金を減らす4つの事情

花屋の手元のお金を減らす事情は、大きく4つあります。

1つ目は、鮮度を保つためのお金がかかること。

鮮度を保つには温度や水の管理が欠かせず、水道光熱費や物流費が上がれば、そのまま店の負担になります。

2つ目は、仕入れ値の上昇です。

肥料高に加えて原油高もあり、花の仕入れ値の上昇は避けられない情勢だと、帝国データバンクはみています。

3つ目は、売値を上げにくいこと。

家庭向けの花は暮らしに欠かせない品ではないぶん、買い控えが起きやすく、スーパーやホームセンターとの価格競争もあります。

帝国データバンクは、客離れを恐れて値上げが遅れた花屋で、大きな赤字になるケースが目立つと伝えています。

そして4つ目が、冠婚葬祭の仕事の比重の大きさです。

大きな生花祭壇など冠婚葬祭の花は、以前は安定して見込める注文でした。

その注文が小さくなり、受注そのものが減れば、店の売上の柱は細っていきます。

あなたの店の売上のうち、冠婚葬祭の仕事はいま、どれだけを占めているでしょうか。

その割合が大きい店ほど、注文が減ったときの痛手も大きくなります。

変われるなら早く変わる

では、冠婚葬祭の注文が減り続けるなかで、花屋はどうすればいいのか。

「そのうち、また注文が戻ってくるかもしれない」

長く付き合ってきた得意先がある店ほど、いまのやり方のまま待ちたくなるものです。

ですが、注文が戻るのを待つあいだも、家賃や人件費、仕入れの支払い、借入の返済は止まりません。

借入で穴を埋めながら注文が戻るのを待ち続けるのは、たちばなはじめがすすめるやり方ではありません。

帝国データバンクの調査には、業績がよくなっている花屋の例も挙げられています。

イベントや展示会の装花、オフィスや商業施設向けの植物のレンタル、ライブや舞台の出演者にファンが贈るフラワースタンド。

なかでも、大きな装花を手がけられる店を中心に、業績が上向いているといいます。

生花祭壇のような大きな花を組んできた店なら、その腕をイベントの装花に生かせる場合もあるでしょう。

どの仕事に手を広げられるかは、店の強みや地域によって違います。

ただ、たちばなはじめの考えははっきりしています。

「変われるなら変われるなりに、少しでも若いウチに早く変わってしまいましょう。」

新しい仕事を始めるにも、人や道具、仕入れにお金がかかります。

手元のお金が減ってからでは、変わろうにも元手が残りません。

変われないなら次の策を早めに探す

一方で、すべての店が新しい仕事に移れるわけではありません。

人手や技術、店の場所の事情もあります。

たちばなはじめは、先ほどの言葉にこう続けています。

「変われないなら変われないで、少しでも若いウチに次の策を探しましょう。」

「次の策が見つからないなら助けを求めましょう。」

次の策とは、店を小さくして続けることかもしれませんし、事業を誰かに譲ることや、店をたたむことかもしれません。

どの道を選ぶにしても、手元にお金がどれだけ残っているかで、とれる手は大きく変わります。

すでに手元のお金が少なくなっていて、次の策が見つからない店もあるかもしれません。

それでも、行き着く先が倒産や破産しかない、ということはありません。

予定表と支払書類で花屋の資金繰りを考えるイメージ

簡素になった冠婚葬祭を前提に資金繰りを組む

一度簡素になった冠婚葬祭が、以前の規模に戻ると見込んで資金繰りを組むのは危険です。

冠婚葬祭の注文は、いまの水準のまま、あるいはさらに減るものとして考えます。

そのうえで、手元のお金で家賃や人件費、仕入れなどの支払いを何か月まかなえるかを出してみてください。

その月数が、店をこの先どうするかを決めるまでの残り時間です。

とはいえ、花屋の仕事そのものがなくなるわけではありません。

変わるのか、次の策に移るのか。

その決断が早いか遅いかで、店と家族に残るお金は変わります。

売上が落ちた店や、値上げしにくい店の立て直し方については、次の記事でもくわしく取り上げています。

会社と社長にお金を残す考え方の全体像は、たちばなはじめの無料の電子書籍『会社と社長にお金を残す資金繰り改善の教科書』にまとめています(公式LINEを友だち追加するだけで届きます)。

教科書の内容を概論として、たちばなはじめが直接お伝えするセミナーも、定期的に開いています。

無料の個別相談では、決算書や通帳を見ながら、これからの店の進め方とお金の守り方を一緒に考えます。

冠婚葬祭の注文が減ってきたと感じたら、気軽にお声がけください。


冠婚葬祭の注文減少に備えて花屋の資金繰りを見直すことを伝えるたちばなはじめ

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次