2026年10月、大分市のソフトウェア開発会社が事業の継続を断念し、破産申請の準備に入ったと報じられました。
東京商工リサーチによると、タクシー業者や運送業者などに向けた情報管理システムを中心に、ソフトウェアの開発や保守を手がけてきた会社です。
一時は年間で約2億5,000万円の売上がありました。
しかし近年は新規開拓が進まず、業績の低迷が続いて、資金繰りがひっ迫していたとみられています。
負債総額は、約1億4,000万円。
同じような会社の倒産は、全国でも増えています。
受注が減り始めた会社の社長にとっては、気になるニュースでしょう。
ただ、自分の会社のこととなると、危ない状態だと気づくのは意外と難しいものです。
では、自分の会社の危うさには、どうすれば気づけるのか。
まずは、IT企業の倒産の状況からお伝えします。
IT企業の倒産は2026年上半期に過去10年で最多
東京商工リサーチは、ソフトウェア開発やホームページ制作などを請け負う「情報サービス業」の倒産について、次のように発表しています。
2026年上半期(1-6月)の「情報サービス業」の倒産は、166件(前年同期比18.5%増)に達し、2017年以降の過去10年間で最多を更新した。
開発スピードが早いノーコード、ローコードツールや生成AIの普及で、簡易なコンテンツ制作・開発業務の内製化が進み、価格競争に依存していた小・零細規模の事業者には逆風が強まっている。
— 東京商工リサーチの調査(2026年7月公表)より一部抜粋
負債1億円未満の倒産は147件と、前年同期より2割以上増えました。
小さな会社を中心に、行き詰まりが広がっていることがわかります。
同じ調査では、大手や中堅の会社は待遇を上げて高度な人材を集め、大きな案件や専門性の高い案件で優位に立っていると分析されています。
その一方で、下請けや小さな案件で業績をつなぐ会社は、十分な利益を確保しにくくなっています。

ソフトウェア会社ならではの資金繰りの難しさ
調査が挙げる価格の競争に加えて、ソフトウェア会社の資金繰りには、ほかの業種とは少し違う難しさが2つあります。
- 元手は人:仕事が減っても、エンジニアの給料は毎月同じように出ていく
- 保守の収入が苦しさを隠す:毎月決まったお金が入るぶん、新しい仕事が取れていなくても、すぐには困らない
とくに気をつけたいのが、2つ目です。
保守の収入は心強い一方で、売上の減り方をゆるやかにします。
新しい仕事が取れない月が続いても、会社はしばらく回ってしまう。
そのため、苦しくなっていることに気づくのが遅れやすいのです。
そこへ、この業界ならではの気持ちも重なります。
「お客さんの業務を支えるシステムを、こちらの都合で止めるわけにはいかない」
「長く一緒にやってきたエンジニアを手放したくない」
こう考えて、人を減らすことや、事業をこの先どうするかの決断を、先に延ばしてしまう社長もいるでしょう。
お客さんと社員を大切にしてきた社長ほど、そう考えるものです。
他人の会社ならわかることが自分の会社だとわからない
ここからは、受注が減り始めたあなたの会社の話です。
私たちのもとに相談に来る社長には、「まさか自分が」と口にする方が少なくありません。
たちばなはじめはメルマガで、「他人事として客観的にみると暴論に聞こえることが、私事として主観的にみると正論に感じる」と書いています。
たとえば、知り合いの社長から「売上は2年続けて減っているけれど、来月には大きな案件が決まるはず」と相談されたとします。
多くの人は、「それは苦しいのでは」と感じるでしょう。
ところが、同じことが自分の会社で起きると、「うちはまだ大丈夫」と考えてしまう。
人は、他人のことと自分のことで、見え方がまるで変わってしまうのです。

知り合いの会社の数字として見る3つの危険信号
自分の会社を客観的に見るには、知り合いの会社の数字だと思って確かめるのが近道です。
見ておきたい危険信号は、次の3つです。
- 保守の収入だけの月は赤字になり、そういう月が増えてきている
- 新しく借りたお金や社長が会社に入れたお金を除くと、手元のお金が何か月も続けて減っている
- 借入の返済に充てるお金を、また借りて用意している
知り合いの社長から、このうち1つでも当てはまると聞いたら、あなたは「まだ大丈夫」と言えるでしょうか。
とくに3つ目は、見過ごしてはいけない信号です。
保守の入金があるうちは、返済も回っているように見えます。
でも、借入の返済は、売上からではなく利益から出すものです。
売上が入っていても、経費を払ったあとに返済に回せるお金が残らなければ、手元のお金を取り崩すか、どこかから借りてくるしかありません。
それを続けるほど、手元のお金は減り、借入は増えていきます。
病気も資金繰りも我慢してはいけない
たちばなはじめは、資金繰りを病気にたとえて、「自覚症状なき病原は、静かにゆっくりと進行します」と書いています。
保守の収入で会社が回っているあいだは、まさにこの状態。
気づいたときには、手元のお金がほとんど残っていないこともあります。
だからこそ、病気と同じで、資金繰りの悪化も早く見つけることが肝心です。
危険信号に気づいても、多くの社長は「もう少し様子を見よう」と我慢してしまいます。
ですが、様子を見ているあいだにも、手元のお金は減っていく。
たちばなはじめは、セミナーの締めくくりで、社長が私たちと関わらずに済むなら、それがいちばんいいと話しています。
そのうえで、関わるならお金が残っているうちに来てほしい、と付け加えています。
受注が減ってからでも、手元にお金があれば、続けるにしても、たたむにしても、選べる方法はまだいくつもあります。
お金が残っているうちなら、お客さんのシステムやエンジニアのこれからを考えて進めることもできます。
すでに資金繰りが苦しくなっていても、手遅れだと決めつけないでください。
倒産や破産をせずに解決できる可能性を、私たちは最後まで一緒に探ります。
資金繰りがいま非常時に入っているかどうかの見分け方は、次の記事でもくわしく取り上げています。
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