2026年9月3日、帝国データバンクが8月の景気動向調査を公表しました。
景気DIは4か月連続で改善しました。
ニュースの見出しだけを読めば、「景気は上向いている」という話です。
が、あなたの会社はどうでしょう。
売上は思ったほど伸びず、仕入れは高いまま、人は足りません。
「世の中は良くなっていると言うのに、うちだけ苦しい」
そう感じている社長は少なくないでしょう。
では、景気が上向いても自社の資金繰りが楽にならないとき、何を見て自社の状態を測ればいいのでしょうか。
まず、公表された数字の中身から確認していきます。
景気は4か月連続で改善でも小規模企業は低水準のまま
今回の調査結果は、次のとおりです。
2026年8月の景気DIは前月比1.0ポイント増の44.6となり、4カ月連続で改善した。規模別では大企業48.7、中小企業43.9、小規模企業41.9。業種別では小売が38.7と低く、仕入単価DIは70.1、正社員の雇用過不足DIは60.3と、原材料費・仕入単価の高止まりと人手不足が経営課題に挙がっている。今後の景気は「下振れリスクを抱えつつ緩やかな改善が見込まれる」とし、下向きリスクとして中東情勢による原油高、物価・物流費の上昇、長期金利の上昇を挙げている。
— 帝国データバンク「2026年8月の景気動向調査」(2026年9月3日公表)より
景気DIは、50を上回れば「良い」、下回れば「悪い」と見る指標です。
全体の44.6も、小規模企業の41.9も、改善したとはいえ50にはまだ遠い数字です。
とくに小規模企業は、大企業の48.7と比べて7ポイント近く低いまま。
仕入単価DIの70.1は、仕入れの値段がまだ上がり続けていることを示しています。
そのうえ、9月1日には長期金利が一時3%を超え、1996年9月以来30年ぶりの水準になったと報じられました。
借入をしている会社にとって、金利の上昇は毎月の返済に直接響いてくる話です。
「景気は上向き」という見出しの裏側で、小さな会社の資金繰りを楽にする材料はほとんど増えていません。
これが、数字の中身です。
景気のニュースと自社の資金繰りは別の話
景気DIは、全国1万社を超える会社の回答をまとめた平均です。
平均が上がっても、あなたの会社の売上が上がるわけではありません。
今回の改善を引っ張っているのは、製造業や運輸業。
一方で、身近な商売である小売は38.7と、全体の中でも低い数字が続いています。
ここで危ないのが、「景気が良くなれば、うちもそのうち良くなる」と待ってしまうことなんです。
待っている間にも、仕入れの支払いは毎月やってきます。
人件費も、返済も同じ。
そうやって様子を見ている間に、手元の現金はどんどん減っていきます。
たちばなはじめが繰り返し伝えているのは、「自分では平常時だと思っていても、周りから見れば非常時であることは多い」ということです。
景気のニュースが明るいときほど、この思い込みは強くなります。
では、平常時と非常時はどこで分かれるのか。
資金繰りが非常時かを見分ける5つの条件
たちばなはじめは、資金繰りの「平常時」を次の5つの条件で定めています。
- お客さまの支持があり、事業を維持できるだけの売上がある
- 仕入先や取引先への支払いと納品が、約束どおりに実行できている
- 従業員に安定した給料を払い、定期的な昇給ができている
- 家族に、健康で文化的な生活を送れるだけのお金を入れられている
- 銀行に、約束どおりの返済ができている
5つすべてを満たしていれば平常時。
1つでも欠けていれば、それはもう非常時です。
たとえば、こんな状態です。
お客さまが減って、売上が落ち始めている。
取引先への支払いがきつく、分納をお願いしたり、手形やファクタリングに頼ったりしています。
昇給ができず、人が辞めていく。
家族に入れる生活費を、減らそうかと迷い始めています。
毎月の返済が重く、リスケジュール(返済条件の変更)を考え始めています。
どれか1つでも当てはまれば、景気が上向いていようがいまいが、あなたの会社は非常時に入っています。
「うちはまだ大丈夫」と思っていた社長ほど、この5つを確かめてみると2つも3つも当てはまっていることが少なくありません。
ただ、ここで1つ気をつけていただきたいことがあります。
銀行がまだ貸してくれるから大丈夫という落とし穴
「銀行はまだ普通に貸してくれている。だからうちは平常時だ」
そう考える社長は多いです。
今回の調査でも、金融機関の融資姿勢DIは54.0と、貸す側の姿勢はまだ積極的寄りの水準にあります。
景気が良いと言われる時期ほど、銀行は「借りてください」と頭を下げてでも貸したがるものです。
ところが、ひとたび雲行きが怪しくなれば、手のひらを返して「返してください」「担保を出してください」「家族の保証を付けてください」と迫ってくる。
これは、たちばなはじめが日々の発信で繰り返し伝えている銀行の実態です。
だからこそ、油断してほしくないのです。
資金繰りが苦しくなってきたとき、借入で穴を埋めて平常時の形を保とうとする社長は少なくありません。
ですが、借入は非常時をなくしてくれるわけではなく、非常時を見えなくするだけです。
5つの条件のどれかが欠けているのに、借入で数字をつないでいる会社は、すでに非常時のただ中にいます。
銀行の担当者の表情や言葉が変わり、リスケジュールを勧められるようになったとき。
そこが、銀行側から見た平常時と非常時の境目です。
ただ、あなたの会社の非常時は、5つの条件が欠け始めた時点でとっくに始まっています。
銀行がそれに気づくのは、いつも後からなのです。
ですから、銀行の態度が変わってから初めて気づくのでは遅いんですね。
担当者の変化を感じ始めたころが、相談のぎりぎりのタイミングです。
予防で動くなら、もっと早いに越したことはありません。
たちばなはじめ自身、かつて売上と利益さえ見えていれば事業は回ると思い込んでいた時期があります。
資金繰りが少しずつ苦しくなっていることに気づくのが遅れ、多額の負債を抱えて行き詰まった経験があるのです。
その経験があるからこそ、気づきの早さにこだわっています。
非常時に平常時と同じ手を打ってはいけない
自社が非常時だと分かったら、次に大事なのは打ち手の選び方です。
平常時であれば、売上を伸ばす、経費を減らす、客数を増やす、客単価を上げるという活動が正しい打ち手です。
ですが、非常時に同じことをやると、先にお金が出ていきます。
売上を伸ばそうとすれば、広告費や人件費、仕入れが先に必要になる。
経費を減らそうとしても、非常時に入っている会社は削れるものをすでに削っていることがほとんどで、これ以上削れば事業そのものに支障が出てしまいます。
たちばなはじめが「平常時の資金繰りと非常時の資金繰りは、考え方と手段を徹底的に変えないと乗り切れない」と言い切っているのは、このためです。
非常時にまずやることは、手元の現金を守ることに尽きます。
そして、限られたお金で誰を守るのかを決めることです。
たちばなはじめの優先順位は、家族、従業員、お客、協力企業、そして銀行の順。
ところが、資金繰りが苦しくなった社長の多くは、まず自分の給料を下げて家族に負担をかけ、次に従業員や取引先への支払いを削り、それでも銀行への返済だけは続けようとします。
これでは、守りたい順番と実際の行動が逆になってしまっているんです。
返済のために家族や従業員を削るのではなく、家族や従業員を守るために金融機関との交渉方法を見直す。
この順番に切り替えられるかどうかで、その後に残るお金も、選べる道の幅も大きく変わってきます。
非常時だと早く気づいた会社ほど、残せるものは断然多いのです。
違いは気づくのが早いか遅いかだけ
景気が上向いていても、銀行がまだ貸してくれていても、5つの条件が1つ欠ければ非常時です。
非常時に入った会社のうち、立て直せる会社とそうでない会社の違いは、気づくのが早いか遅いかだけ。
すでに複数の条件に心当たりがある方も、諦める必要はありません。
非常時には非常時の考え方と手段があります。
その基本は、たちばなはじめが書き下ろした無料の電子書籍『会社と社長にお金を残す資金繰り改善の教科書』にまとめています。
会社と社長にお金を残す基本的な考え方を、たちばなはじめが直接お伝えするセミナーも、定期的に開催しています。
すでに支払いや返済がきつくなっている方は、無料の個別相談で、いまの状況を一緒に確かめるところから始めましょう。
5つの条件に1つでも心当たりがあれば、まずは一度ご相談くださいね。
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