後継者不在率が過去最低の今…承継支援に頼る前に社長が見直す自社の現在地

「後継者がいない会社」が、少しずつ減ってきました。

帝国データバンクが公表した2025年の全国の後継者不在率は50.1%で、調査開始以来の過去最低を記録しています。

前年から2.0ポイント下がり、これで7年連続の改善。

背景には、親族にこだわらない承継、つまりM&Aや第三者への引き継ぎが現実的な選択肢として広がってきたことがあります。

地方銀行が後継者の育成塾を開き、M&A仲介会社と地銀が提携し、自治体の引継ぎ支援センターが窓口を増やしています。

会社を渡すための「相談先」は、ここ数年で目に見えて増えてきました。

ただ、相談先が増えたことと、自分の会社をいい形で渡せることは、同じではありません。

支援の窓口がどれだけ整っても、「渡せる中身の会社にしておく」仕事だけは、社長の手元にしか残らない。

承継の支援に頼る前に、まずは「自社の現在地」を一緒に確かめてみましょう。

2025年の全国の後継者不在率は50.1%で、調査開始以来の過去最低となった。

前年比2.0ポイントの低下で、7年連続の改善。

後継者が「いない」または「未定」の企業は約13.8万社にのぼる。

親族内での承継にこだわらない「脱ファミリー」化が進み、第三者への承継(M&A)が現実的な選択肢として定着しつつある。

一方で地域差は大きく、後継者不在率がもっとも高い秋田県は73.7%で、全国で唯一70%を超えている。

— AI検索で「後継者不在率 2025年 帝国データバンク 過去最低」について調べた際の解説より引用

目次

後継者不在率が過去最低のいま承継の入口で起きていること

かつての事業承継は、息子や娘に継がせるか、継ぐ人がいなければ会社をたたむか、という二択で語られがちでした。

いまはそこにM&Aという三つ目の道が加わり、後継者がいなくても会社を残せるケースが増えています。

後継者不在率が下がってきた一番の理由は、この「脱ファミリー」の流れです。

支援する側の体制も厚くなりました。

地方銀行が取引先の後継者を集めて学びの場をつくり、M&A仲介会社と組んで譲渡先を探す。

自治体の事業承継・引継ぎ支援センターも、小規模な事業者向けのマッチングに力を入れ始めています。

「誰に相談すればいいか分からない」という入口の壁は、確かに低くなりました。

その一方で、この数字には地域差が色濃く残っています。

秋田県のように、いまも7割を超える会社で後継者が決まっていない地域もあります。

全国の平均が改善したからといって、自分の会社の足元まで安心できるわけではありません。

むしろ「周りは決まり始めているのに、うちはまだ」という焦りが出やすい局面。

焦って相談先に飛び込む前に、いったん立ち止まっていただきたいことがあります。

承継の窓口が用意してくれるのは、あくまで「渡す手続き」と「渡す相手探し」です。

肝心の「渡せる中身の会社にする」ところは、窓口の仕事の外側にあります。

入口が広がっても社長にしか見直せないものがある

M&Aの相手を探す会社も、地銀も、支援センターも、会社を磨き上げてくれるわけではありません。

買い手や後継者が見るのは、いまの会社の中身そのものです。

だからこそ、渡す前に社長が手元で点検しておくべきものがあります。

第一に、会社の数字を、社長以外の人も説明できる状態になっているかどうか。

社長の頭の中にしか売上の構造や取引の事情が入っていない会社は、引き継ぐ側から見ると「中身の見えない箱」になってしまいます。

月次の試算表や資金繰りの見通しを、後継者や買い手に同じ言葉で語れるかどうかが問われます。

ここが第一の関門。

第二に、会社の信用が「社長個人」に張り付いていないかどうか。

主要な取引先との関係が社長の個人的なつながりだけで成り立っていたり、重要な仕入れ条件が社長の口約束で動いていたりすると、社長が抜けた瞬間に会社の力が大きく目減りします。

属人的な信用を、少しずつ「会社のもの」へ移しておく作業が要ります。

第三に、会社と社長個人の財布が、はっきり分かれているかどうか。

役員貸付や個人名義の資産が会社の事業に混ざったままだと、引き継ぐ側はそれだけで身構えます。

金融機関が経営者保証を外すかどうかを考えるときも、会社と個人の資産や経理がきちんと分かれていること、財務の状況を適時に開示できることを見ています。

承継のためだけでなく、保証の重さを軽くするうえでも、この線引きは効いてきます。

こうした点検は、どれも外部の支援機関に丸投げできるものではありません。

社長が自分の会社の現在地を直視するところからしか始まらないのです。

たちばなはじめが言い続けてきた「真の事業承継」

たちばなはじめは、事業承継について一貫して同じことを言い続けてきました。

「”承継される側”が安心して承継できるように、事業だけを引き継がせて、負債は引き継がせないように取り計らうことこそが、真の事業承継ではないか」。

会社の歴史や看板を次の世代に渡すこと以上に、引き継ぐ人に重荷を背負わせない形をつくることを大切にしています。

この視点が抜けると、承継はかえって進まなくなります。

後継者の立場からすれば、親の連帯保証や個人保証まで一緒に背負うとなれば、「それなら継ぎたくない」という気持ちが先に立つのも当然です。

実際に、保証の引き継ぎを嫌って後継者が継承を断り、会社をたたむ判断に傾く例は珍しくありません。

後継者不在率の裏側には、こうした「保証ごと渡される不安」も隠れている。

つまり、会社を渡すという仕事は、看板や株式を移すだけでは終わりません。

引き継ぐ人がその先で身動きを取れるように、借入金や保証の重さをできるかぎり軽くしてから渡す。

ここまで含めて考えるのが、たちばなはじめの言う事業承継です。

M&Aの相手が見つかったかどうか、という入口の話とは、見ている景色がまるで違います。

会社と個人を分けて考える発想も、ここに直結します。

事業に必要なものは会社に残し、社長個人の生活や資産はきちんと切り離しておく。

この線引きができている会社ほど、渡す相手にとっても引き継ぎやすく、社長自身の暮らしも守られます。

最後に決めるのは社長自身

たちばなはじめは、事業主にとって最も優先される仕事を二つに絞っています。

ひとつは資金を途切れさせないこと。

もうひとつは、自分で決めることです。

資金を保たせ、借入金や保証の重さを軽くしておくこと自体が、そのまま「渡せる会社」をつくる土台になります。

そのうえで承継でいえば、「誰に」「どんな状態で」「いつまでに」会社を渡すのかを、社長自身が決めるということになります。

支援窓口やM&A仲介は、その決断を実行に移す手助けはしてくれます。

けれども、何を残し、何を整理し、どの相手に託すのかという肝心の判断まで肩代わりしてはくれません。

ここを誰かに預けてしまうと、後になって「こんなはずではなかった」というずれが生まれてしまうんですね。

決めるにあたっては、ひとりで抱え込む必要はありません。

たちばなはじめがすすめているのは、家族や後継者、顧問の専門家と早い段階で情報を共有し、同じ材料を見ながら検討を重ねることです。

とくに承継は、社長の頭の中だけで進めると、家族や後継者との温度差が後から噴き出します。

共有してから決める。

この順番が、承継の納得感を大きく左右します。

そして、いったん方向を決めたら迷わないことです。

やると決めたなら腰を据えて進め、見送ると決めたなら別の道を用意します。

中途半端に揺れ続ける時間こそが、会社の体力をいちばん削っていきます。

相談先が増えたからこそ社長の役割が際立つ

後継者不在率が過去最低まで下がり、会社を渡すための窓口は確かに増えました。

これは、長く会社を守ってきた社長にとって、間違いなく追い風です。

ただ、窓口が増えたぶんだけ、社長にしかできない仕事の輪郭もはっきりしてきました。

数字を見えるようにし、社長個人に張り付いた信用を会社へ移し、借入金や保証の重さを軽くしてから渡す。

そのうえで、誰にどう託すかを自分で決める。

ここは、どんなに優れた支援機関でも代わりにやってはくれません。

私たちは、これまで多くの社長と一緒に、会社を次へ渡すまでの道筋を考えてきました。

承継を意識し始めたものの、何から手をつければいいのか、自社のいまの状態をどう見ればいいのか、迷っておられる段階でも構いません。

もし少しでも心当たりがあれば、まずは一度ご相談くださいね。


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