たちばなです。
いつもワタシの活動を支援して下さる紹介者から連絡があり、とある地域の30代男性のBさんとリモート面談した。
特定の食品を店頭で販売するFC店を二店舗運営している。
社員を置かず、数名のパートタイマーをシフトで廻しつつ運営しているようだ。
9月の「たちばなはじめ再始動」以来、リモート面談をしていて気づいた事がある。
自宅や事務所でなく、外に出て立ちながらのスマホでの面談であったり、クルマの中の面談などでワタシとの面談を実行する方は・・・「家族にナイショ案件」か「ヤバい案件」である比率が高い、という事。
コチラは実際に面談を実行してからでないと、先方がどこで面談に臨むのか解らないので経験上の話ではあるけれどね。
Bさんは、車の中でワタシとの面談に臨む姿勢である事は画面上でお目にかかって数秒で理解した。
なんとなーく・・・・ワタシの心の中に不穏なモヤモヤが出て来た事は否定できない。
事前にいただいていたメールでは2つのお悩みについての問い合わせであると把握していた。
相談受けた2つのいずれについても現状で出来る対応策は施せるし、ワタシの継続的なアドバイスで資金繰りに貢献できると踏んだ。
事業継続でも事業廃止でもどちらでも対応できる・・・なんてその時点では思っていた。
Bさんが「独身で身軽」だった事も、今回はプラスに作用しているとその時点では感じた。
その後にワタシはBさんからもう一つの悩みを訊いた。
頂いたメールとは違う内容だった。
それを聞いた時に、Bさんが事務所や自宅でなくクルマの中でリモート面談を実行した意味が解ったような気がした。
「実は・・・先ほど別の銀行から連絡があったんですけど、コロナ関連融資での融資が決まったんですが・・・」と言う話。
「お!それならそれを財源に、諸問題を先に潰して事業を継続しながら、また後に新たな融資に挑めば良い。少なくともそれで当面の問題は回避できる。コロナ融資の返済開始は二年後でしょう?これでしばらくは事業続けられるよ。良かったね。」
と、最初はワタシも目を細めた。
ワタシだって、何でもかんでも「返すな!」と言っているのではない。
「返せる人は返すのが理想」とは思っているんだよ。
一応はね(笑)
Bさんの事業規模は決して大きくない。
1000万円近い新規無担保融資は、彼にとってオイシイ話だと単純に思った。
こんな感じでアドバイスしたんだが・・・何となくBさんの顔が浮かない。
その後、いろいろ話を聞いていたんだけれど・・・ハッキリしないが、どうも少し決算書を「イジっている」らしい。
どの程度「イジって」いるのかまでは解らなかった。
初回面談だし、ましてやリモート。
さらにはBさんは車の中。
つぶさに決算書を確認できる環境にはない。
ワタシの印象では、Bさんは非常に会計に疎く、ワタシの数字上の質問に、いちいち明確に答えられない。
どうも本人の発案でなく、とあるセンセイの発案と指南によるみたいだ。
イジる程度にもよるんだけれど「ヤバい臭い」を感じたので、ワタシから指摘した。
「まだ間に合う。今回の融資は辞退しなさい。融資が実行されれば、その後万が一銀行が粉飾決算と判断すれば詐欺になる可能性があるよ。今からでも銀行に行って融資を辞退しなさい。ハンコ押さない限り融資実行されないから、まだ間に合うんだよ。少し前に、コロナ関連助成金の申請を改ざんして何人も逮捕された人が報道されたでしょう?助成金と融資の違いはあれ、今後そういう人が芋づる式にアゲられちゃう可能性を否定できない。まだ間に合うよ。辞退すべきです。
あなたがワタシの継続的なサポートを望んでいないのであればワタシからは何も言わないけれど、望んでいるのであればワタシはその融資を断らなければサポートできないよ。ワタシが不正に加担した、なんて思われかねないからね。」
そんな話をしつつ面談を終え、その後にBさんを心配しつつワタシに紹介した紹介者に電話報告した。
紹介者が言うんだ。
「ご対応ありがとうございました。それにしても・・・目先に一千万円ぶら下がっていてしばらくは返さなくて良い環境にあって・・・ハンコ一つ押せばそれを手に出来る環境にあって・・・まだ若いBさんは辞退できるだろうか・・・」と。
これ、本音だよね。
紹介者も、かつて資金繰りに困り5年ほど前にワタシのサポートを受けた方。
ワタシと同様に、資金的困窮者の気持ちを深く理解している。
客観的に見れば他人事だし
「詐欺まがいなんだから辞退すべき」とワタシでさえも指摘したし、本文読者もそう思っただろう。
でも実際に事業に携わり、いくらか「コロナ狂騒曲」の影響を受け資金に余裕が無い状況で・・・
目前に1千万円ぶら下げられた状況で30代の血気盛んな事業主が辞退できるだろうか?
と言う紹介者の気持ちは、ワタシには良く解る。
当事者だって人間である以上
「バレなきゃ大丈夫・・・バレなきゃ・・・」という感情が湧いてくる事もあるだろうしね。
ワタシとしてはこれ以上関われないし、関わるのであれば「融資の辞退」が前提でのお付き合いになる。
こんな話を紹介者にしつつ、電話を切った。
コロナ禍で助成金の虚偽申請で何人もの人が捕まった事は、読者の記憶にも新しいだろう。
WEB上で「バカだ」「迂闊だ」などという指摘や投稿が多かったし、テレビコメンテーターもそれを指摘していたんだが・・・・そんなの答えが出てからなんて何とでも言える。
ワタシは良くも悪くも、コロナ禍の影響を受けていないのでその環境にはなかったが、もし自分がその環境にあり「答え」が出る前に「簡単に返さなくていいカネが調達できる」などと士業に指南を受けたら・・・絶対に乗らない、とは言い切れない。
ワタシだって、自分で自分を馬鹿だと思ったことは無いが、賢いなどと思ったことも無いし、偏差値が高かったわけでもない。
ワタシなど現役の多重債務者でしかなく「しくじり先生」に過ぎない。
Bさんに一丁前に講釈を垂れながら「自分もイロイロ気を付けよう」などと思いつつ、個別面談と紹介者への報告を終えた。
今、ワタシは思っている。
「Bさんからその後の連絡が来ないと良いな・・・」と。
・追加融資受けた上で依頼受けたら断らざるを得ないから恨まれる。ワタシがそれに加担したと思われちゃうから。
・追加融資受けないで依頼受けたらワタシのビジネス上のメリットは多くない。そもそも資金的に余裕のある状態では無いから。
ワタシも一応、「人助けとビジネスの両立」を謳ってはいるが、同じ仕事ならより儲けたいと思うのはみんなと同じ。
どっちに転んでも、双方にメリットは多くないのだ。
ましてや、Bさんがたった一度の面談でワタシに全ての事を話したとも思えないので、後になって
「他にも叩けばまだ“ほこり”出てくるかもしれない」なんて疑念もワタシには浮かんでくる。
いずれにしても・・・・来たるべき有事に先立ち「備える」という概念は、「事業を商うリスク」を負う以上は、常に心掛けておかなければいけない。
自らの人生の失敗を重ねた、たちばなはじめは強く思うのであります。
コロナ禍のどさくさに紛れ、
「融資基準が甘い」
「返済猶予期間がある」
などと、安易適当な事業計画や不正会計などで融資を受ける人が増加しているように感じていますし聞いています。
皆さま、よくよくお気をつけあそばせください。
若いころに自動車教習所で言われませんでしたか?
「だろう運転はダメ、かもしれない運転をしなさい」と。
事業の「運転」も同じと考えます。
「大丈夫だろう」ではなく「大丈夫でないかもしれない」と考えながら、事業運営をおススメくださいませ。
ワタシのようにならない為に(笑)