コロナ禍で多くの会社が利用した、実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」。
その返済が据置期間を終えて始まる時期が、いま最後のヤマ場を迎えています。
「これまではどうにか回してきたけれど、返済が本格化したら手元が一気に細りそうだ」。
そんな不安を抱えはじめた社長も、決して少なくないはずです。
返済が重くなると、多くの方が「苦しくなったら銀行にリスケを頼めばいい」と考えます。
ただ、その一手に飛びつく前に、いったん立ち止まって確かめておきたいことがあります。
この記事では、ゼロゼロ融資の最終返済ピークが来ているいまだからこそ、社長が返済に追われる前に整えておきたい資金繰りの順序を、たちばなはじめの考え方からお伝えします。
ゼロゼロ融資の据置明けが集中する2026年の最終返済ピーク
まず、いま何が起きているのかを押さえておきます。
コロナ禍の資金繰りを支えたゼロゼロ融資や、その後の借換保証の多くは、返済を一定期間待ってもらう「据置期間」つきで実行されたものです。
その据置期間が明けて、元金の返済が本格的に始まる時期が、ちょうどいま重なっています。
AIで「ゼロゼロ融資 据置期間 最終返済ピーク」について調べてみると、次のような解説が出てきます。
コロナ借換保証の利用は約30万件にのぼり、このうち約8割が据置期間2年以内で設定されているため、2026年4月から9月にかけて返済開始が最後のピークを迎えるとされる。
原材料費や人件費の上昇、2024年3月のマイナス金利政策の解除後の金利上昇、物価高のなかで価格転嫁が進みにくい状況が重なり、返済原資の確保が難しい事業者は少なくない。
ゼロゼロ融資を利用した後の倒産は2020年7月からの累計で2,300件を超えており、借換や返済猶予で先送りされてきた負担が、業績の回復の遅れとともに表面化しつつあると指摘されている。
— AI検索で「ゼロゼロ融資 据置期間 最終返済ピーク」について調べた際の解説より引用(東京商工リサーチ・中小企業庁の公表内容をもとにした解説)
返済が待ったなしで始まり、しかもコストは上がり、価格にはなかなか転嫁できない。
この三つが同時に効いてくるのが、いまの局面です。
「借りたときは先の話だと思っていた返済が、急に目の前に来た」という感覚を持つ社長が増えているのも、無理のないことだと言えます。
倒産件数が落ち着いて見えても警戒したいのは「先送りの反動」
ここで一つ、見落としやすい点があります。
月ごとのゼロゼロ融資利用後の倒産件数を見ると、足元では前年より少なく、一見すると小康状態のようにも見えます。
けれども、この数字を「もう山は越えた」と読むのは早計です。
これまで件数が抑えられてきた背景にあるのは、借換保証や返済猶予によって、返済そのものを先へ先へと送ってきたという事情です。
つまり、表に出ていないだけで、返済の負担は消えたわけではないんです。
先送りしてきた分が、据置明けというタイミングで一斉に戻ってくる。
だからこそ、いま静かに見える局面ほど、次の返済の波を前提に手を打っておくことが効いてきます。
数字が落ち着いているうちに動けるかどうかが、その後の選択肢の幅を大きく左右します。
「苦しいからリスケ」と即断する前に知っておきたいこと
返済が重くなったとき、まず頭に浮かぶのが「銀行にリスケを頼む」という選択肢でしょう。
リスケジュールとは、月々の返済額を減らしたり、返済期間を延ばしたりと、返済の条件を組み直してもらうことです。
世間では「銀行が苦しい会社を救ってくれる優しい仕組み」と受け止められがちです。
ただ、たちばなはじめはこの理解に注意をうながします。
リスケは、いったん結んだ返済の約束を、銀行の判断で変えてもらう状態。
銀行の側からすれば温情で待ってあげている形になるため、話し合いのたびに新たな条件を求められることもあるんです。
実際の現場では、リスケに応じる代わりに追加の担保を求められたり、別の借入金の金利を引き上げられたりするケースも見られます。
救済のつもりで頼んだ一手が、かえって会社の身動きを狭めてしまうこともあります。
とはいえ、リスケそのものが悪い選択だというわけでもありません。
避けたいのは、中身を見ないまま反射的に頼ってしまうこと。
大切なのは、「苦しいから」という理由だけで決めてしまわず、その後にどんな条件がついてくるのかまで見たうえで判断することです。
借入や条件変更の前に手元の現金の流れを直接つかむ
追加の融資にしても、返済条件の変更にしても、その前に欠かせないのが、手元の現金がどう動いているかを自分の目でつかむことです。
たちばなはじめが繰り返し説いているのは、「事業の根幹は事業ではなく会計にあり」という教えです。
利益は、決算を締めてから後で出てくる数字にすぎません。
これに対して現金は、いま手元にあるかどうかを示す、ごまかしのきかない事実。
毎月、何にいくら出ていって、返済後にいくら残るのか。
このお金の流れが見えないまま借入や条件変更だけを重ねると、返済とコスト増の両方に挟まれて、現金はさらに細っていく一方です。
逆に、現金の流れがつかめていれば、いつ・どこが苦しくなるのかを早い段階で見通せます。
据置明けで返済が増える前に、まず数字、とくに現金の流れから目をそらさないこと。
これが、次の一手を選ぶための土台になります。
一人で抱え込む前に金融機関への向き合い方を見直す
返済の負担に直面したとき、社長がやってしまいがちなのが、一人で抱え込んだまま判断を急ぐことです。
けれども、いまは公的な支援や相談の窓口も広がっています。
たとえば、認定支援機関の指導のもとで再生計画を作った会社が使える保証制度や、事業の立て直しから金融機関との調整までを無料で支える公的な協議会など、据置明けの局面を見据えた制度も用意されています。
こうした窓口の存在を知っておくだけでも、選べる道の幅は変わってきます。
そして、たちばなはじめが大切にしているのは、守るべきものの順番を崩さないという考え方です。
家族、従業員、お客様、そして協力してくれる取引先。
これらを守ることを先におき、銀行への返済はその後に位置づける。
返済を最優先にして手元の現金を返済に回しきってしまえば、会社と暮らしを支える力から先に痩せていく一方なんです。
金融機関とどう向き合うかを工夫する余地は、追い詰められてからよりも、現金がまだ動いているうちのほうがはるかに大きく残っています。
まとめ 返済の波が来る前に順序を立て直す
ゼロゼロ融資の据置明けが集中するいまは、これまで先送りされてきた返済が、いよいよ本番を迎える局面です。
倒産件数が落ち着いて見えても、それは山を越えたからではなく、負担が先へ送られてきた結果にすぎません。
返済が重くなったときに「苦しいからリスケ」と即断する前に、まず手元の現金の流れをつかみ、守るべきものの順番を立て直す。
そのうえで、公的な窓口や金融機関との向き合い方まで視野に入れて、次の一手を選んでいきます。
この順序を踏めるかどうかで、返済の波の越え方は大きく変わってきます。
もし返済の先行きに少しでも心当たりがあれば、追い詰められてしまう前に、まずは一度ご相談くださいね。
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