介護事業の売却か撤退か…一度傾いた事業所は資金が残るうちに出口戦略を立てる

介護施設を背景に立つたちばなはじめ

YouTubeチャンネル「社長の資金繰り相談室」の第14回のテーマは、介護事業の出口戦略です。

介護事業者の倒産が過去最多を更新したというニュースを受けて、事務局の谷本がたちばなはじめに聞きました。

利用者がいるから、やめられない。

そう言って資金をすり減らしながら続けている社長に向けて、たちばなはかなり率直に語っています。

資金が残っているうちに、次の手を打つ。

動画の冒頭で、たちばなはまずそう語っています。

お時間のないときは、このまま記事だけでもお読みいただけます。

目次

一度傾いた介護事業は立て直らない

本編に入り、谷本が「介護事業、結構倒産が増えていますよね」と切り出すと、たちばなは「相談も多い」と返しています。

実際に、介護事業者の倒産は増え続けています。

2025年の「老人福祉・介護事業」の倒産は176件で、2年連続で過去最多を更新した。「訪問介護」が91件と突出し、全体を押し上げている。

— 東京商工リサーチの調査(2026年1月発表)より

この状況を、たちばなはどう見ているのか。

たちばなの見立ては、「一度斜陽化してしまった介護事業は、もう立て直らない」です。

理由は、許認可事業だから。

許認可事業は、業績が劇的に回復することがない、とたちばなは言います。

借入金の負担が大きくても、売上を伸ばす環境がそもそもありません。

仮に伸びる環境があっても、事業所のキャパは決まっているので、それ以上は増えようがないのです。

今の法人のまま回していく前提で考えれば、リスケジュールをするしかない。

そして「リスケジュールをすると資金が詰まる」と、たちばなは断言しています。

どのみち、いい環境になりようがない、というのが動画での見立てです。

もうひとつ、介護に携わる方が思い込みがちな点にも触れています。

高齢者がこれからどんどん増えていくのだから、自分の仕事も増えていくはずだ、という考え方です。

ですが、商売は需給バランスだ、とたちばなは別の回でも繰り返してきました。

需要に対して供給が多ければ儲からず、需要に対して供給が少なければ儲かる。

高齢者が増えても、それ以上に事業所が増えれば儲からないのです。

この理屈は、介護事業に限らずどの商売も同じです。

飲食であれば、とっぴなメニューやSNSでバズったシェフで収益を上げる店もあります。

一方、介護は業界の中で優劣がつきにくい。

接客がいいから、悪いからという理由で、利用者が事業所を移ることは基本的にないからです。

だから、一度傾いた事業体は元には戻らないのです。

車椅子がある介護施設の共用室

資金繰りと人繰りのダブルパンチ

さらに先を見れば、収益が上がるのは大手や中堅に集中していく、というのがたちばなの見方です。

介護は、人が鍵になる業界です。

一人ではできず、スタッフを何人も抱えなければ、売上が伸びる環境は作れない。

ところが、介護の現場で働く方の待遇は、もともと良くありません。

重要でつらい仕事なのに、びっくりするほど給料が低い、とたちばなは動画で話しています。

そうなると、働く側は少しでもいい条件を探します。

必然的に、大手や中堅に人が集まらざるを得ません。

これは市場の特性です。

中小の傾いた介護事業者は、資金繰りにも詰まり、人繰りにも詰まる。

このダブルパンチに見舞われるため、「基本的にはお続けにならないほうがいいのではないですか」と伝えることが多い、と語られています。

続けるなら大手に売却して残る

それでも続ける前提で考えるなら、どうするか。

動画で示された道は、ひとつだけです。

大手や同業の類似業者に事業を売却し、その事業体で中間管理職やスタッフとして残って収入を得る道です。

今の法人のまま続ける道は、もう残っていない、とたちばなは言います。

介護報酬は行政から入ってくると、金融機関にも分かりきっています。

だから返済をやめれば、その売掛金が差し押さえられ、事業体としての息の根が止まってしまう、と動画では説明されています。

そこまで追い込まれて我慢するくらいなら、資金がある程度残っているうちに、買ってくれる相手を探す。

あるいは、次の人生を歩む。

そういう策を講じ、模索するべきだ、というのが動画の主張です。

出口を作るリスケは有効でも手の内は見せない

ここで、リスケジュールの話に戻ります。

続けるためのリスケは資金が詰まると言い切る一方で、出口を作るためのリスケは有効だ、とたちばなは話しています。

半年や1年、リスケジュールで資金の流出を抑え、その間に売却先を探すなどして目鼻を立てる。

期間を区切った動きであれば、意味があるという整理です。

ただし、条件があります。

その動きを、金融機関に話さないこと。

脇の甘い人は、こういうことを考えていると金融機関に話してしまう、と動画では指摘されています。

金融機関の仕事は回収だ、というのがたちばなの前提です。

「この人の返済は危ないかもしれない」と受け取られれば、一気に回収に走ることはよくある、と語られています。

手の内をさらしすぎる。

何でもかんでも正直に話しすぎる。

たちばなはこれを、戦国時代に「やあやあ我こそは」と名乗ってから戦った武士にたとえています。

名乗っている間に、西洋の騎士ならバサッと切ってしまいます。

お腹を見せて服従の姿勢を取る犬のように、金融機関へ向き合う社長が多いといいます。

だからこそ、言葉を選ばずに言えば「身ぐるみ持っていかれる」状況になる、と話しています。

そうなってから相談に来られても、「魔法使いじゃないんだから無理」。

残酷な言い方かもしれない、と断ったうえでの本音です。

白紙の事業計画書とペンが置かれた相談机

残る道は3つしかない

資金繰りに詰まり、たちばなのような相談先に話を持ち込む段階の介護事業者は、選べる道が3つに絞られる、と語られています。

  • 事業を売却して、そこに残る
  • 全く新しい人生として、勤めに出るか新しい事業を始める
  • 早くやめる

額に汗して働けばどうにかなる、というレベルの話ではありません。

従業員と家族を路頭に迷わせないために、次の策を打つ。

その発想に切り替えられるかどうかです。

介護のような許認可事業は、債権者や金融機関の動きが早い、というのがたちばなの経験則です。

だからこそ、後手に回らず先手先手で手を打つことが肝要だ、と強調されています。

「やめられない」は思い込み

介護や老人ホームは、公共性が高い仕事です。

そう言って頑張ろうとし、自己資金まで投じ、あちこちから資金を調達してしまう社長がいます。

頑張っている自分は気持ちいいものです。

ですが、付き合わされる従業員も家族もたまったものではない、とたちばなは手厳しく語っています。

いよいよ資金が枯渇して、ある日突然事業が止まれば、結果的に利用者に迷惑をかけることになります。

だから、後々に大きな迷惑をかけないために、金融機関などに今のうちから小さな協力を依頼する。

先ほどの期間を区切ったリスケジュールは、この小さな協力の一例と読めます。

出口の計画そのものを金融機関に明かすのとは、別のことです。

大きな傷を作らないために、小さな問題をあえて起こしておく。

たちばなはこれを「毒をもって毒を制す」と表現しています。

最後に、収益が取れていないのにやめられずに続けている社長へのメッセージです。

利用者がいるからやめられない、と言い訳をして相談に来る方は多い、とたちばなは言います。

その答えは明快です。

「やめられないんじゃないんです。やめられるんです」

あなたではなく、他の人がやってくれる環境を作ればいいだけの話です。

やめられないというのは思い込みだ、と言い切っています。

資金がすっかりなくなるまで我慢すると、立て直しが遅くなったり、立て直しができなくなったりします。

ある程度資金が残っているうちに、次の手を打つ。

この先を見る戦略を持つことが、介護業界では特に重要だ、というのが動画の締めくくりです。

続けるなら続けるなりの、やめるならやめるなりのアドバイスを用意している、とも語られています。

介護事業の資金繰りについては、次の記事でも取り上げています。

その他、資金繰り改善や事業再生に関する情報はチャンネル「社長の資金繰り相談室」でご覧いただけます。

介護事業を続けるか、売却するか、やめるかで迷っている方のご相談も受け付けています。

資金が残っているうちに、まずは一度ご相談くださいね。


介護施設を背景に立つたちばなはじめ

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次