YouTubeチャンネル「社長の資金繰り相談室」の第8回のテーマは、事業資金の借り方です。
インターネットを見ていると、「とにかくお金を借りなさい」「こうすればもっと借りられます」という発信が目立ちます。
では、そんなに借りて返せなくなったらどうするのか。
そう問うと、返ってくるのは「そうならないように頑張りましょう」という答えだけです。
融資ありき、借入ありきの風潮をどう見ているのか。
事務局の谷本が聞き手となり、たちばなはじめに聞きました。
お時間のないときは、このまま記事だけでもお読みいただけます。
子どもには「貯めて買いなさい」と言うのに
たちばなが最初に立ち返ったのは、原理原則です。
子どもに欲しいものがあれば、親は「お小遣いを貯めて買いなさい」と言います。
「借りて買ってきなさい」と言う親はいない。
ところが大人になると、借りることが当たり前になってしまいます。
まず、ここに違和感を持たなければいけない。
動画は、ここから始まります。
たちばなは「フルローン」という言葉も、よくない言葉だといいます。
事業を始めるのに1,000万円が必要なら、全額を貯めろとは言いません。
ただ、半分、せめて3分の1は貯めてから、足りない分を借りる。
そう考えるべきだと話しています。
理由は、貯めたお金と借りたお金では、使い方がまるで違うからです。
たちばな自身、貯めたお金で仕事をしていたころは、新幹線は自由席、ときにはバスに乗り、ホテル代を惜しんで漫画喫茶に泊まったこともあるといいます。
質素倹約という言葉のとおり、自分で貯めたお金は簡単には使えません。
借りたお金には、その重さがないんです。
あなたが貸す側なら自分に貸しますか?
「どうやったらお金が借りられますか」
たちばなのもとにも、こんな相談が来ることがあります。
答えはいつも同じです。
「あなたが貸す側の人間だったとして、あなたにお金を貸そうと思いますか?」
貸そうと思うと答えた人には、では貸したくなる計画を作りなさいと伝えます。
貸そうと思わないと答えた人には、あなた自身が貸したくないのだから、ほかの誰もあなたには貸さないでしょう、と伝えます。
融資は投資だからです。
そもそも事業の採算が合っていないのに、資金を入れれば何とかなると考えるのは無意味だと、たちばなは言い切ります。
そして、その無意味さを教えてくれる人が周りにいない社会環境は、中小零細の社長にとって不幸なことだとも語っています。
資本性劣後ローンなら借りられる、という話も同じこと。
会計上の扱いが変わるだけで、返さなければならないことに変わりはありません。
実際に、何年か前に劣後ローンで大きな金額を借り、返せなくなったという相談も来ているそうです。
破産させる側と破産させられる側では見え方が違う
借りて返せなくなったとき、「破産して楽になろう」という言葉をかけられることがあります。
動画の中でたちばなは、この言葉に強い違和感を示しています。
手続きを進める側から見れば、それは大したことではなく、人生を立て直す一環に見えるかもしれません。
ですが、させられる側の立て直しは壮絶です。
動画では、官報に名前が載る、何年も融資を受けられない、手元に残せる現金には上限がある、不動産は維持できない、といった現実が挙げられています。
その状態で「さあ頑張れ」と言われても、どう頑張ればいいのか。
たちばなは、させる側とさせられる側では、破産に対する見識そのものが違うといいます。
ここで持ち出されたのが、車選びのたとえです。
トヨタの車と日産の車で迷ったとき、トヨタの人に聞けばトヨタがいいと言い、日産の人に聞けば日産も負けていないと言います。
どちらがいいかを聞くなら、ホンダやダイハツの人に聞くべきだという話です。
すすめる側の意見、させられる側の考え、そして破産回避を考える立場。
この3つを掛け合わせて、自分で取捨選択するわけです。
そうした発想を持つことが大事だと、たちばなは話しています。
たちばな自身は、かつて破産に追い込まれそうになり、結果的に法的な手続きに頼らずに立て直せた経験を伝える立場です。
だから、破産しないほうがいいのではないかと伝えています。
それぞれの立場の答えを並べたうえで、自分で選んでほしい。
これが、動画の趣旨です。
借りて返すの繰り返しは自分が年を取らない前提
日本の会社は、コロナ融資やゼロゼロ融資で、すでに大きく借りています。
それでもまだ借りようとし、借りては少し返し、また借りる会社が少なくありません。
この繰り返しは解決策とは言い難いと、たちばなは指摘します。
その間に、社長はどんどん年を取っていく。
借入金を残したまま亡くなれば、その後始末をするのは配偶者や子ども、兄弟やその子どもです。
財産を相続すれば負債も相続し、相続放棄をすれば財産も相続できません。
これが日本のルールであり、残された家族にとってどれほど不満や軋轢の種になるかを、亡くなった当事者は永久に知ることがない。
動画では、昨年末に亡くなったたちばなの義理の父の話も紹介されました。
余命宣告を受けてから7か月、宗教家として最後まで振る舞いを崩さなかった姿を見て、人は身ぎれいに人生を終えるべきだと強く思ったといいます。
だからこそ、50歳、60歳を過ぎたら、返済をやめるか身ぎれいにするかの準備をしておくべきだ、というのがたちばなの主張です。
誰もが余命宣告どおりに亡くなるわけではない。
ある日突然ということも、当然あります。
たちばな自身は、自分に何かあったときのためのファイルをパソコンに残し、毎年1月1日に更新して「俺に何かあったらこれを開け」と妻に伝えているそうです。
50歳、60歳を過ぎた社長が、何千万円も借りるために誰かの指導を受けているのが現状です。
そんな社会はおかしいと、たちばなは言い切っています。
出口を決めてから借りる
お金の借り方を教える人はたくさんいます。
ですが、返せなくなったらどうするのか、その出口を伝えないまま「とにかく借りなさい」と言うのは無責任だ。
これが、動画のタイトルにもなった核心です。
返せなくなったとき、多くの社長が思い浮かべる手段は2つです。
何とか返して終わらせようと頑張るか、返済負担を軽くするためにリスケジュールをするか。
ですが、たちばなの見立てはこうです。
「返し続けても借金は終わらない。リスケジュールしても借金は終わらない。破産したらお金が残らない。どれもダメだから、破産しないで返すのをやめたら終わるよね、という終わらせ方を僕は言っている」
その出口戦略は、置かれた環境によってまったく変わってきます。
ひとつの例を挙げると、それがすべてだと思ってしまう視聴者が多いため、動画では具体的な個別の案件には踏み込んでいません。
だからこそ、個別のご相談を受けているんです。
借りるなとは言わない。
ただ、借りるなら返せる前提で事業を管理する発想がないと、無謀な借入になり、必ずそのあおりを食います。
そのとき、借入を指南した人は「破産して楽になろう」と言ってくるはずだ、とたちばなは警告しています。
家族に、従業員に、お客様に、取引先に迷惑をかけないための策として、金融機関にある程度は泣いてもらう。
これが大事な発想だと、たちばなは話しています。
返せなくなったときにどう終わらせるかまで考えてから借りる。
それが、出口を決めてから借りるということです。
「とにかく借りなさい」という言葉に流される前に、一度立ち止まってほしいところです。
その他、資金繰り改善や事業再生に関する情報はチャンネル「社長の資金繰り相談室」でご覧いただけます。
借入の出口や返済の見直しに関するご相談も受け付けています。
もし少しでも思い当たることがあれば、まずは一度ご相談くださいね。
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