テレビ制作会社の倒産が今年14件…発注元1社に頼る会社の資金繰りの守り方

発注元1社に頼る、資金繰りの守り方。たちばなはじめの解説

「今期は予算が2割減ります」

発注元の担当者からそう告げられた瞬間に、自社の売上の大半が決まってしまいます。

そんな会社は、テレビ番組の制作会社に限らず、運送・建設・システム受託など、あらゆる下請け型の商売にあります。

2026年9月、東京商工リサーチが、テレビ番組制作会社の倒産が過去最多に並んだと公表しました。

数字と分析を見ていくと、倒れているのは番組を作る力がない会社ではなく、値段と量を自分で決められない会社だと分かります。

では、発注元の予算に売上を握られている会社は、どこから崩れていくのか。

まずは、公表された数字から見ていきます。

目次

テレビ番組制作会社の倒産が過去最多タイ

東京商工リサーチが公表した数字は、次の通りです。

2026年1-8月の「テレビジョン番組制作業」の倒産は14件で、同期間では2007年以降の20年間で最多だった2010年に並んだ。このペースで推移すると、年間では2009年と2012年の21件を抜き、過去最多を更新する可能性が高い。原因別では販売不振が12件(85.7%)、負債1億円未満が9割超、従業員5人未満が12件(85.7%)を占め、14件すべてが破産だった。

— 東京商工リサーチ「テレビ番組制作会社」の倒産動向調査(2026年9月11日公表)より

背景にあるのは、テレビ離れです。

電通の調査によると、2025年の総広告費は8兆623億円と4年連続で過去最高を更新した一方、テレビメディアの広告費は1兆7,556億円で前年より減りました。

10年前の2015年と比べると、1,767億円の減少。

インターネット広告の構成比は50.2%と初めて半分を超え、テレビは21.8%まで下がっています。

広告費が減れば、テレビ局の番組予算も横ばいから削減へ向かいます。

そのしわ寄せを受けるのが、番組を受託で作っている制作会社です。

東京商工リサーチは、倒産が「価格交渉力の弱い従業員10人未満の零細企業に集中している」と分析しています。

14件のうち12件が従業員5人未満。

そして、14件すべてが破産でした。

小さな映像制作スタジオのカメラと照明のイメージ

発注元の予算がそのまま自社の売上になる構造

番組制作会社の商売は、テレビ局から番組の制作を請け負い、決められた制作費の中で人と機材を手配して納品するのが基本です。

制作費を決めるのは、発注元です。

物価高で機材や外注費が上がり、人件費も上がっているのに、その分を制作費に上乗せしてもらうのは簡単ではありません。

売上の上限は発注元が決め、コストの上昇は自社がかぶる。

これが、東京商工リサーチの言う「価格交渉力が弱い」の中身です。

さらに厄介なのは、売上の大半を1つか2つの発注元に頼っている点なんですね。

特定の局の特定の番組を長年担当してきた会社ほど、その番組が終わったり予算が削られたりした瞬間に、売上の柱が消えてしまいます。

自社の営業努力や番組の出来とは関係のないところで、売上が決まってしまうのです。

これは、テレビ業界だけの話ではありません。

元請けの工事量で売上が決まる建設の下請け、大手荷主の物量で売上が決まる運送会社、特定のメーカーからの受託だけで回っているソフト開発会社や部品加工の工場などなど。

発注元の「今期は予算が減る」「発注を減らす」の一言で自社の売上が決まってしまう会社は、日本中にあります。

この記事を読んでいるあなたの会社も、売上の半分以上を1社が占めているなら、同じ構造の中にいます。

売上が減っても固定費と返済は減らない

発注元の予算が減ったとき、会社はどこから崩れていくのか。

順番は決まっています。

まず、売上が減ります。

ですが、スタッフの給与や事務所の家賃、機材のリース料といった固定費は、翌月からすぐには減りません。

借入の返済額も、売上が減ったからといって減ってはくれません。

つまり、入ってくるお金だけが減り、出ていくお金はそのまま。

その差額が、毎月、手元の現金から消えていきます。

数字で見てみましょう。

たとえば月商1,000万円、外注費などを除いた固定費が800万円、借入の返済が100万円の会社があるとします。

発注元の予算が2割減れば、売上は800万円。

固定費と返済の900万円に対して、毎月100万円の現金が足りません。

手元に1,200万円あっても、1年で底をつきます。

そして現金が減り始めると、外注先や協力会社への支払いが少しずつ遅れ始めます。

たちばなはじめが繰り返し伝えているのは、取引先への支払いがきつくなった時点で、その会社はもう非常時に入っているということです。

「まだ何とかなる」と我慢している間に、現金はどんどん減っていきます。

取引先の事情ひとつで会社が傾く怖さ

たちばなはじめは、かつて燃料油の卸・小売を営んでいました。

2005年、大手の取引先だった企業が破綻し、6,500万円の手形が焦げ付いて回収できなくなりました。

それをきっかけに事業はジリ貧が続き、返済が立ち行かなくなっていきます。

自社の商品や仕事ぶりに問題があったわけではない。

頼っていた相手の事情ひとつで、会社の資金繰りは根元から崩れます。

その怖さを身をもって知っているからこそ、たちばなはじめは、売上の柱を1社に預けている社長に早めの備えを呼びかけているんです。

取引先への依存を大きさの異なる箱で表したイメージ

発注元に資金繰りを預けないための3つのポイント

では、発注元の予算に会社の命運を握られないために、何をしておけばいいのか。

ポイントは3つあります。

1. 売上の依存度を数字で把握する

まず、売上の上位3社の比率を出してください。

1社で5割を超えているなら、その発注が2割減ったときに毎月いくらの現金が足りなくなるかまで計算しておきます。

「なんとなく頼っている」と「頼っている額が数字で見えている」とでは、手を打つ早さがまるで違います。

2. 現金が何か月持つかを知っておく

次に、いまの手元の現金で、売上が減った状態を何か月しのげるかを計算します。

この月数が、発注元と条件を話し合う時間であり、新しい取引先を探す時間であり、金融機関に相談する時間です。

月数が見えていれば、慌てて条件の悪い仕事を受けたり、金利の高い借入に走ったりせずに済みます。

3. 苦しくなったら支払いの優先順位を見直す

そして、実際に現金が減り始めたら、支払いの優先順位を決め直します。

ここで多くの社長がやってしまうのが、外注先や協力会社への支払いを遅らせて、銀行への返済を先に守ることです。

が、これは順番が逆です。

外注先への未払いは相手の資金繰りを直撃し、連鎖倒産を招きかねない。

次の仕事を一緒にやってくれる相手を失えば、売上を戻す手段まで失ってしまいます。

たちばなはじめのお金の優先順位は「家族、従業員、お客、協力企業、そして最後に銀行」です。

一緒に仕事をしてくれるスタッフや外注先への支払いは、銀行への返済より先です。

そのうえで返済の負担が重いなら、金融機関との交渉方法を見直します。

売上が減ったのは、発注元の事情。

その穴を、自分の家族や協力会社を犠牲にして銀行に返すことで埋めてはいけません。

発注元の予算で会社の寿命を決めさせない

テレビ番組制作会社の倒産は、番組を作る力の問題ではなく、値段と量を相手に握られた商売の資金繰りの問題です。

下請け型の商売なら、業種を問わず同じ構造。

発注元の予算が減るのは、あなたの会社の責任ではありません。

ですが、減ったときに現金が何か月持つのか、誰への支払いを先に守るのかを決めておくのは、社長にしかできない仕事です。

すでに発注が減り、外注先への支払いが遅れ始めている社長もいるでしょう。

そんな状態でも、できることはまだある。

倒産や破産をせずに解決できる可能性を最後まで探る。

それが、私たちの仕事です。

会社と社長にお金を残す考え方の全体像は、たちばなはじめが書き下ろした無料の電子書籍『会社と社長にお金を残す資金繰り改善の教科書』にまとめています(公式LINEを友だち追加するだけで届きます)。

教科書の内容を概論としてお伝えするセミナーも、定期的に開催しています。

そして「うちも売上の大半を1社に頼っている」と思い当たるなら、まずは一度、無料の個別相談で現状を確かめてくださいね。

発注元の予算に、会社の寿命を決めさせてはいけません。


発注元1社に頼る、資金繰りの守り方。たちばなはじめの解説

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