2026年8月、太陽光発電システムの販売会社が、行政処分をきっかけに売上が細り、借入金の返済負担で資金繰りがひっ迫して破産したと報じられました。
この経緯は、太陽光業界に限った話ではありません。
売上というのは、お客様の都合や世の中の流れでいくらでも変わります。
ですが、借入の返済は売上がどうなろうと毎月同じ額で続いていくんです。
今回は、この破産の報道をもとに、「売上が減っても返済は減らない」という仕組みと、返済が重くなってきたときに社長が考えるべきことをお伝えします。
太陽光発電の販売会社が破産
まず、報道の内容を確認しておきましょう。
愛知県を主体に営業所を展開していた太陽光発電システム販売会社と関係会社が、破産手続きの開始決定を受けた。負債は2社合計で約3億6000万円。2024年3月に景品表示法違反で行政処分を受け、課徴金の納付命令も出されていた。その後は収益の低迷が続き、過去の累積損失と借入金の返済負担で資金繰りがひっ迫し、事業継続を断念した。
— 2026年8月、太陽光発電システム販売会社の破産に関する報道より
注目してほしいのは、破綻までの流れです。
行政処分を受けたことが直接のとどめになったわけではありません。
処分によって会社の信用が傷つき、売上が伸びなくなりました。
それでも、それまでに積み上げた借入金の返済は毎月続いていきます。
この二つに挟まれて、手元の現金が少しずつ削られていったんですね。
信用を揺るがす出来事は、行政処分だけではありません。
主要な取引先を失う、悪い評判が広がる、業界全体への風当たりが強くなる。
どんな会社にも、売上が急に細る局面は起こりえます。
そのとき会社を追い込むのは、売上の減少そのものよりも、減らない返済のほうなのです。
売上が減っても借入の返済は減らない
借入金の返済額は、あなたの会社の売上とはまったく連動していません。
お金を借りたときの契約で、毎月の返済額と期日が決まっているからです。
売上が半分になっても、返済額は1円も減らない。
ここで、多くの社長が見落としている会計の事実があります。
「利益=売上−経費」という計算式に、借入金の元金返済は含まれていないということです。
経費になるのは利息だけで、元金の返済は帳簿の上の利益を1円も減らしません。
その代わり、減っていくのは手元の現金だけ。
利益が出ているのにお金が残らない会社の多くは、この元金返済に現金を吸い取られているんです。
利益が出ていてもそうなのですから、売上が減った会社はなおさらです。
入ってくる現金が細るなかでも、出ていく返済額はそのままです。
だから、売上の落ち込みが軽いうちは「なんとか回っている」ように見えても、実際には毎月の返済のたびに手元の現金が削られ、気づいたときには残りわずかになっているのです。
苦しいときの売上挽回は資金の先食い
売上が落ちたとき、多くの社長がまず考えるのは「売上を取り返すこと」です。
広告を増やす、営業を強化する、新しい商品を投入する。
気持ちはよくわかりますが、ちょっと待ってください。
売上を増やす施策には、必ず先にコストがかかります。
広告費も、人件費も、仕入も、お金が出ていくのは売上が入ってくるより前です。
資金繰りが苦しい会社が売上挽回策に走ると、ただでさえ少ない手元の現金をさらに先食いすることになるんですね。
挽回策が当たればいいですが、外れたら傷は倍になります。
もうひとつ危険なのが、返済を続けるために新しく借りるという選択です。
資金調達といえば聞こえはいいですが、実際には返すお金を借りて返しているだけです。
借入の総額は膨らみ、毎月の返済額はさらに増えていきます。
そのまま進めば、仕入先への支払いを遅らせ、従業員の給与に手をつけ、どんどん資金が流出して、どうしようもなくなっていく。
結果的に、会社だけでなく家族の生活まで危うくしてしまうケースは多いのです。
返済が重いと感じたら支払いの優先順位を見直す
では、売上が減って返済が重くなってきたとき、何から考えればいいのか。
私たちがお伝えしているのは、支払いの優先順位を明確にすることです。
たちばなはじめが現場で繰り返し伝えているお金の優先順位は、次の5つです。
- 家族
- 従業員
- お客
- 協力企業
- 銀行
家族・従業員・お客様・協力企業を守るのが先で、銀行への返済は一番最後にします。
これがたちばなはじめのコンセプトです。
「銀行を後回しにしたら会社が続けられなくなる」と思われるかもしれません。
が、順番は逆です。
従業員や仕入先を犠牲にして返済を続ければ、事業そのものが回らなくなり、返済の原資である売上まで失っていきます。
事業を続けるために欠かせない相手への支払いを守り、そのうえで金融機関には返済条件の見直しを含めた交渉方法を検討していく。
この順番で考えるべきなんです。
たちばなはじめ自身、かつて6億円の負債を抱えて返済に行き詰まった経験があります。
「どうやって返すか」だけを考えて悩み続けましたが、状況は悪くなる一方。
最終的には、金融機関との交渉方法を見直すことで資金繰りを立て直し、法的な手続きに頼ることなく再起しています。
そのときに痛感したのが、「もっと早く動いていれば」ということでした。
返済のために現金を使い切ってしまってからでは、選べる道はどんどん狭くなります。
手元にお金が残っているうちに動くことです。
それだけで、その後の展開は大きく変わるんですね。
資金繰りは我慢してはいけない
売上は世の中の状況で変わりますが、返済は契約で決まったまま続きます。
だからこそ、売上が減り始めたら、返済とのバランスを最初に確認してください。
症状が軽いうちに手を打てば、早く改善しますし、痛手も小さくて済みます。
我慢して返済を続けることは、経営の努力ではない。
すでに返済が苦しく、支払いを遅らせ始めている方もいるかもしれません。
そんな状況でも、まだやれること、打ち手はたくさんあります。
私たちは、どんな状態でも倒産や破産をせずに解決できる可能性を最後まで探る、という姿勢を一貫して大切にしています。
資金繰りだけでなく、借入返済の見直しに関するご相談も受け付けています。
もし少しでも心当たりがあれば、ひとりで抱え込まず、まずは一度ご相談くださいね。
資金繰りの課題を抱える経営者の方へ3つのご案内
あなたの選択肢を、一緒に考えませんか?

