「相続」が「争族」に変わる前に…会社を持つ家庭が守るお金と不動産

会社を持つ家庭の相続は、ふつうのご家庭よりこじれやすいといわれます。

事業用の不動産、自社の株式、社長個人が背負っている保証。

分けにくい財産が、ふだんは見えないところに積み上がっているからです。

「うちは仲がいいから大丈夫」

そう思っていても、いざ相続が起きると、財産の分け方をめぐって家族の関係が崩れていく。

そんなふうに「相続」が「争族」へ変わってしまうケースは、決して珍しくありません。

だからこそ、社長が元気なうちに早めに見直しておきましょう。

目次

なぜ会社を持つ家庭は「争族」になりやすいのか

相続でもめる家庭には、ひとつの共通点があります。

それは、財産の多くが不動産で残っている家、いわゆる「家持ち・土地持ち」だということ。

たちばなはじめが繰り返し伝えているのは、とてもシンプルな話です。

不動産は割れない。

けれど、現金は割れる。

たとえば三人のお子さんに自宅と事業用の土地を遺しても、その建物をきれいに三等分はできません。

誰がその不動産を引き継ぐのか、引き継いだ人はほかの兄弟姉妹にいくら払うのか、そもそもその不動産にいくらの価値があるのか。

こうした答えの出にくい問題が、家族のあいだに持ち込まれてしまうんです。

会社を持つ家庭では、ここにさらに自社の株式が加わります。

ふだん売り買いされない株式は、いくらと評価するかで意見が割れやすい。

会社を継ぐ人と継がない人のあいだに、温度差も生まれます。

分けられない財産が多いほど、相続は「争族」に近づいていく。

遺された家族があとから直面すること

私たちのもとには、社長ご本人だけでなく、亡くなった社長のご家族やご兄弟からのご相談も寄せられます。

お話をうかがうと、生前は見えていなかった問題が、相続をきっかけに表に出てくることが少なくありません。

たとえば、こんなケース。

  • 配偶者が遺した借入を、財産と一緒に相続してしまっていた
  • 事業を引き継いで帳簿を確認したら、想定よりずっと傷んだ状態だった
  • 金融機関との関係がこじれていたことが後からわかり、修復に苦労している
  • 個人保証が会社の借入に残っていて、その負担が家族に及んできた

これらに共通するのは、亡くなった社長の頭の中にしかなかった情報が、引き継ぎのないまま遺されてしまったという点です。

とくに見落とされがちなのが、社長個人の保証です。

会社の借入に個人保証が残ったままだと、その返済義務まで、財産と一緒にご家族へ引き継がれてしまう。

督促が来て初めて保証の存在を知った、というご家族も少なくありません。

会社のお金まわりは、社長自身がいちばんよく把握しています。

というより、社長しかわからないことの方がほとんどです。

なので、社長がいなくなってしまうと、ご家族はなにもわからないまま相続を進めなければならなくなる。

追い込まれてからでは、落ち着いて考える余裕そのものが奪われてしまいます。

だから、元気なうちに手をつけておくことに意味があるということなんです。

不動産より現金と身軽さを遺す

相続の備えでは、「何を遺すか」も考えておきたいところです。

たちばなはじめが繰り返し伝えているのは、「不動産を残したいなら、まずお金を残せ」というシンプルな考え方。

不動産は、守ろうとすればするほど手間もコストもかさみます。

抱え込むほど、かえって身動きが取れなくなることもある。

一方で、ある程度を現金や分けやすい形にしておけば、ご家族はもめずに分けられます。

分けられない不動産を残すと、遺された家族はその扱いに悩むことになるんです。

もちろん、事業用の不動産は、すぐ手放せるものではありません。

すべてを現金に換えればいい、という単純な話でもない。

大事なのは、その財産が家族にとって分けやすいものなのか、それとも争いの火種になりやすいものなのかを、考えておくことです。

誰を守る相続なのかを決めておく

相続の準備というと、税金をどう抑えるかという話になりがちです。

もちろんそれも大事ですが、その前に決めておきたいことがあります。

それが「誰を、何を、どの順番で守るのか」という優先順位。

たちばなはじめが現場で大切にしているお金の優先順位は、次の5つです。

  1. 家族
  2. 従業員
  3. お客様
  4. 協力企業
  5. 銀行

家族・従業員・お客様・協力企業を守るのが先で、銀行への返済はいちばん最後。

これが、たちばなはじめが一貫してお伝えしているコンセプトです。

相続の場面でも、この考え方は変わりません。

会社や銀行との関係を最優先にして、ご自身やご家族の生活を後回しにしてしまう。

それでは、遺されたご家族の暮らしそのものが立ち行かなくなってしまいます。

守る順番を先に決めておくことが、相続を「争族」にしないための土台になるということなんですね。

元気なうちに書き出したい4つのこと

では、具体的に何から手をつければいいのか。

すべてを一度に片づける必要はありません。

まずは、次の4つを書き出してみてください。

  1. 会社の借入と、それにひもづく個人保証・連帯保証がどれだけ残っているか
  2. 事業用の財産と個人の財産の線引きが、あいまいになっていないか
  3. 自社の株式を誰がどれだけ持っていて、継ぐ人と継がない人のあいだで不公平が生まれないか
  4. 金融機関との取引の状況を、家族の誰かが説明できる状態になっているか

書き出してみて、ひとつでも気にかかる点があれば、早めに動く価値があります。

とくに個人保証や自社株、不動産の評価がからむと、論点は一気に広がります。

こうしたテーマこそ、ひとりで抱え込まないこと。

早めに動くほど、家族を守るための選択肢は多く残ります。

争族を防ぐ準備は元気な今しかできない

相続が「争族」になるかどうかは、亡くなったあとの家族の仲のよさだけで決まるものではありません。

分けにくい財産をそのまま遺すのか、分けやすい形に整えておくのか。

その準備を、誰が、いつ進めておくのか。

ここで先に動いておけるかどうかが、ご家族のその後を大きく左右します。

そして、いちばん落ち着いて動けるのは、何も起きていない今。

「人生の後片付け」は、自分のためというより、遺されるご家族のために進めておくものです。

資金繰りだけでなく、相続や承継にまつわるお金と不動産のご相談も受け付けています。

もし少しでも気にかかることがあれば、ひとりで抱え込まず、まずは一度ご相談くださいね。


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