事業承継の相談が過去最多…会社を渡す前に決着させたい負債と個人保証

会社を誰に、どう引き継ぐか。

この問いに向き合う中小企業の社長が、年々増えています。

2026年5月、事業承継の公的な相談窓口の実績が公表されました。

新規の相談も、第三者への承継、いわゆるM&Aの成約も、そろって過去最多。

「そろそろ自分の代をどうするか」と考えて、まず公的な窓口の戸を叩く社長が、それだけ増えてきたということです。

ただ、その窓口に足を運ぶ前に、社長自身の手で確かめておきたいことがあります。

会社の借入金と、社長個人の保証。

ここを後回しにしたまま話を進めると、せっかくの承継が思わぬところでつまずきます。

目次

事業承継の相談が過去最多の水準に

まず、今回のニュースの中身から見ていきましょう。

全国にある事業承継・引継ぎ支援センターは、後継者がいない、あるいは引き継ぎ方に悩む中小企業の相談を、無料で受けてくれる公的な窓口。

2026年5月に公表された令和7年度の実績で、その相談の規模がこれまでで最も大きくなりました。

AIで「事業承継・引継ぎ支援センター 令和7年度 実績」について調べてみると、こんな解説が出てきます。

令和7年度の事業承継・引継ぎ支援センターへの新規相談者数は2万4000者を超え、平成23年度の開設以来はじめて、過去最多となった。

第三者への承継(M&A)の成約件数も2,265件と過去最多を更新している。

後継者の不在に悩む中小企業からの相談が、引き続き高い水準で寄せられている。

— AI検索で「事業承継・引継ぎ支援センター 令和7年度 新規相談者数 M&A成約 過去最多」について調べた際の解説より引用

相談が増えているのは、それだけ多くの社長が「このままでは会社をうまく引き継げないかもしれない」と感じはじめている裏返しでもあります。

なぜ今これほど相談が増えているのか

背景には、いくつかの事情が重なっています。

ひとつは、社長の高齢化。

中小企業の社長の平均年齢は年々上がり、引退を考える時期に差しかかった方が、一斉に増えてきました。

もうひとつは、後継者の不在。

かつてのように子どもが家業を継ぐケースは減り、「継がせたいが、継ぐ人がいない」という悩みが広がっています。

そうしたなかで、親族以外の第三者へ会社を引き継ぐM&Aが、特別な選択肢ではなくなってきました。

公的な窓口が引き継ぎ先のマッチングを後押しし、成約件数も伸び続けている。

「もう会社をたたむしかない」と思っていたのに、引き継いでくれる相手が見つかった。

そんなケースも、以前より現実的になってきたんです。

相談窓口に行く前に見落とされやすいのが負債と保証

公的な窓口が広く使われるようになったのは、中小企業にとって心強い変化です。

とはいえ、私たちのもとに寄せられる相談を見ていると、承継の話が「会社をどう渡すか」ばかりで進んでしまい、肝心なところが後回しになっているケースは少なくありません。

それが、借入金と個人保証の扱い。

多くの中小企業では、会社の借入に対して、社長個人が連帯保証、つまり経営者保証を負っている。

株式や事業そのものは後継者に渡せても、この個人保証まで一緒に引き継がせてしまうと、後継者は会社の借入を、自分の家族の人生ごと背負うことになりかねません。

後継者が承継をためらういちばんの理由が、この保証の重さなんです。

「継いでほしい」と願う側と、「親の保証まで背負うのは怖い」と感じる側。

その気持ちが、ここですれ違ってしまいます。

第三者へM&Aで引き継ぐ場合も、事情は同じ。

借入金が重く残ったままの会社は、引き受け手から見れば、どうしても魅力が下がってしまいます。

だからこそ、承継を本格的に進める前に、負債をどう手当てし、個人保証をどう外していくかの道筋をつけておく。

それが、じつは承継を成立させる近道。

ここで一つ、気をつけていただきたいことがあります。

経営者保証を外せるかどうかを分けるのは、いつ動き出すかという時期。

返済の条件を変えるリスケジュールに一度入ってしまうと、「返済能力がない」と見なされ、保証を外すための要件を満たしにくくなってしまいます。

つまり、リスケに入ったあとでは、保証を外す道はぐっと狭まる。

承継を考えはじめた段階、まだ返済が正常に回っているうちに負債と保証へ手をつけるほうが、打てる手はずっと多く残されています。

会社を渡す前に社長が確かめておきたいこと

公的な窓口に相談する前でも、社長自身でできる準備があります。

次の4点を、紙にメモする程度でかまわないので書き出してみてください。

  1. 会社の借入が今どれだけ残っていて、誰がその保証人になっているか
  2. その借入を、後継者や引き受け手に引き継がせる前提のまま、話が進んでいないか
  3. 自宅や事業用の不動産が、会社の借入の担保に入っていないか
  4. 返済は今も正常に回っているか、それともリスケを考えはじめる手前まで来ているか

書き出してみて、ひとつでも気にかかる点があれば、それは承継の話を進める前に決着させておきたいところです。

会社の値段や引き継ぎ先を探すより先に、借入と保証が今どうなっているかを、はっきりさせておく。

そのひと手間が、後悔の少ない承継につながります。

負債を残さない承継を一緒に組み立てる

事業承継は、株式の評価、契約書の作成、税務の扱い、不動産の名義、そして借入と個人保証の手当てまで、論点が一気に広がるテーマです。

これを社長おひとりで、しかも引退の時期が迫ってから一度に片づけるのは、なかなか現実的ではありません。

なかでも見落とされやすいのが、ここまで見てきた借入と個人保証。

たちばなはじめは、後継者に負債を引き継がせない承継の設計を支援してきました。

顧問弁護士・宅建士・税理士といった専門家がチームになり、株式の評価から借入と個人保証の手当てまで、契約や法律の面も含めて一緒に進めます。

たとえば、資金繰りに不安のある会社を息子さんに継がせるのをためらっていた社長。

負債を次の世代に持ち越さず、法人も個人も資産をできるだけ残したまま、クリアな形で引き継げたケースもあります。

会社をどう渡すかと同じくらい、何を後継者に残し、何を残さないか。

これからの承継では、そこが問われるんです。

健全な中核だけをきれいな形で引き継ぎ、借入や保証は次の世代に背負わせない。

それが、ご家族にとっても後継者にとっても、いちばん納得のいく引き継ぎ方です。

会社の引き継ぎを考えはじめたものの、借入や個人保証の扱いに不安が残る。

もしあなたがいま、そう感じているなら、承継の話を本格化させる前に、一度ご相談くださいね。


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