事業承継を前倒しする社長が増加…後継者へ負担をかけない事前準備の整え方

事業承継を、これまでより早めに進めようと考える社長が増えています。

きっかけは、来年に向けた税制の見直しの動きです。

「制度が変わる前に、いまのうちに動いたほうがいいのではないか」

そう考えて、売却や引き継ぎの時期を前倒しする中小企業のオーナーが、実際に半数を超えているという調査が出ました。

ですが、ここで一つ、気をつけていただきたいことがあります。

時期を急ぐ気持ちばかりが先に動いて、肝心の中身の準備が追いついていない社長が、とても多いんです。

まず、その調査の中身から見ていきます。

今後5年以内に事業承継を検討している中小企業オーナー111名のうち、52.4%が事業承継M&Aの時期を前倒しする意向を示した。「2026年内へ早める予定」が22.3%、「早めるか検討中」が30.1%。一方で、税務・法務論点の整理(39.6%)、非事業資産・遊休資産の棚卸し(37.8%)、役員・幹部の引き継ぎ計画(35.1%)は、いずれも約4割が未着手だった。「売却時期への意識が動いていても、論点整理や資料整備、体制設計が追いついていない層が存在しており、スケジュール先行で進めることの難しさがうかがえる」と分析されている。

— オーナーズ株式会社が2026年に公表した、事業承継に関する調査より

目次

なぜいま事業承継を急ぐ社長が増えているのか?

調査では、M&Aを考える理由の上位3つが挙がっていました。

  1. 自身の年齢や健康上の理由
  2. 後継者がいないこと
  3. 税負担への懸念

年齢や後継者不在は、以前から変わらない事情です。

とくに後継者がいないという悩みは、いまの中小企業にとって、もっとも根の深いテーマのひとつでしょう。

そこに最近加わってきたのが、税負担への不安。

「制度が変わる前に動いておきたい」という気持ちが、時期を早める引き金になっているわけです。

この気持ち自体は、よくわかります。

でも、税金の話を入口にして時期だけを先に決めてしまうと、足元の大事な準備が後回しになりやすいのです。

ここに、見落とされがちな落とし穴があります。

時期だけ先に決めても会社の中身は片づかない

調査でいちばん引っかかったのは、この点です。

売る時期への意識は動いているのに、税務や法務の論点の洗い出し、遊休資産の棚卸し、幹部の引き継ぎ計画は、どれも4割前後の社長で手つかずのままでした。

時期は決まっていく。

でも、会社の中身は片づいていない。

この状態のまま承継の話を進めると、どうなるか。

買い手や後継者から会社の中身を細かく見られたとき、整理されていない借入や資産が次々と出てきます。

そうすると評価は下がり、話そのものが途中で止まってしまうこともあるんです。

そしていちばん怖いのは、引き継いだ後継者に、思わぬ負債がそのまま残ってしまうケースです。

会社は渡せても、借入と個人保証だけが次の世代に重くのしかかってしまいます。

これでは、なんのための承継かわかりません。

そもそも、なぜ中身の準備だけが後回しになってしまうのか。

多くの社長は、取引先への対応や現場のやりくり、月末の支払いといった、日々の仕事や資金繰りに追われています。

そんな毎日のなかで、「会社の借入をすべて洗い出す」「使っていない資産を棚卸しする」といった地味な作業は、どうしても先延ばしになりがちです。

でも、その先延ばしのあいだにも、借入の利息は積み上がり、社長の年齢も一つずつ上がっていきます。

準備が遅れるほど、選べる道はどんどん狭くなってしまいます。

だからこそ、時期を考え始めたいまが、中身を片づける合図でもあるんです。

後継者にきれいな会社を渡すために

たちばなはじめが事業承継で何よりも大切にしているのは、後継者に負債を引き継がせないことです。

借入が残ったまま会社を渡すのではなく、承継の前に負債とお金まわりに決着をつけて、健全な中核だけを引き継いでもらうという考え方です。

そのために、まず確かめておきたいことがあります。

  1. 会社にどれだけの借入が残っているか
  2. 社長個人が負っている連帯保証は、どこまで及んでいるか
  3. 事業に使っていない資産や遊休不動産はないか
  4. 毎月の数字が、後継者にも見える形になっているか

とくに最後の「毎月の数字が見える形になっているか」は、後回しにされがちなところです。

「自分の頭のなかには全部入っているから大丈夫」

そう思っている社長ほど、ちょっと待ってください。

会社の数字が社長の頭の中にしかない状態では、引き継いだ後継者は必ず苦労します。

どこにいくら借入があり、どの資産が会社のものなのかが見えないまま渡されても、後継者は判断のしようがありません。

たちばなはじめが繰り返しお伝えしているのは、「事業の根幹は事業ではなく会計にあり」という考え方。

数字、とくに現金の流れがはっきり見えていることが、きれいな承継の土台になります。

こうした負債やお金まわりの片づけを、社長おひとりで抱え込まなくていいんです。

後継者に負債を引き継がせない事業承継の設計を、私たちは顧問弁護士・宅建士・税理士など各分野のプロとチームを組んで、これまで多くのケースで重ねてきました。

事業承継で急ぐべきは時期より中身

事業承継で本当に急ぐべきなのは、売る時期を決めることではありません。

会社の中身、とくに負債とお金まわりを片づけておくこと。

ここが片づいていれば、いざ時期が来たときに、落ち着いて話を進められます。

逆に、時期だけを先に決めてしまうと、準備に追われて足元が見えなくなってしまいます。

まずは、自社の借入と個人保証、それから毎月の数字を、一度棚卸ししてみてください。

その一手間が、後継者に負担を残さない承継の出発点になるんです。

承継の前にお金と負債をどう片づけておくかという基本的な考え方は、たちばなはじめの無料の電子書籍『会社と社長にお金を残す資金繰り改善の教科書』にまとめています。

会社と社長にお金を残す基本的な考え方を、たちばなはじめが直接お伝えするセミナーも、定期的に開催しています。

たちばなスキームの全体像を学びたい社長に、おすすめの学びの場です。

すでに承継の時期や進め方で迷っているなら、無料の個別相談で、いまの状況を一緒に棚卸しするところから始めましょう。

もし少しでも心当たりがあれば、まずは一度ご相談ください。


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