この夏、大企業のボーナスは過去最高になったというニュースが流れました。
その明るい見出しの裏で、まったく違う景色を見ている社長が大勢います。
従業員には夏の賞与を出したけれど、自分の取り分はゼロ。
それどころか、足りない分を社長が自分の財布から埋めています。
そんな中小企業の実態を映した調査が、先日発表されました。
中小企業の経営者を対象にした2026年夏の賞与に関する調査で、自分自身の夏のボーナスが実質ゼロだと答えた社長が約7割にのぼった。従業員へは支給したものの、原資が足りず自分の役員報酬や個人の蓄えから補填したという回答も少なくない。物価高と人件費の上昇で利益が薄くなり、経営者が自分の取り分を最後に回して現場を支えている構図が浮かび上がっている。
— AIで「中小企業 社長 夏のボーナス 2026年」について調べた際の解説より引用
この数字を見て、うちのことだと感じた社長も多いはずです。
世間がボーナスで沸いている時期に、自分の賞与を口にできません。
その静かな我慢が、いま全国の中小企業で起きています。
なぜ社長は自分の賞与を後回しにするのか
自分の取り分を削ってでも従業員の給与や賞与を守る。
これは、多くの社長が自然にやっていることです。
人がいなければ会社は一日も回りませんし、苦しいときに賃金を減らせば人は離れていきます。
だから社長は、まず現場を守ります。
その判断そのものは、決して間違っていません。
ただ、ここで気をつけてほしいことがひとつある。
自腹での補填が毎月のように続いているなら、それは資金繰りが静かに傾いているサインです。
一度や二度なら、社長の踏ん張りで乗り切れます。
けれど、個人の蓄えを取り崩す状態が当たり前になってくると、いざというときに会社を支える体力が社長自身から失われていきます。
頑張って埋めているうちは、問題が表に出てきません。
だからこそ、気づいたときには手元の余力がほとんど残っていない、ということが起こります。
社長の個人資産は、いざというときに会社と家族を守る最後の砦。
その砦を、毎月の穴埋めで少しずつ削っていくことになります。
気づいたときには、会社を立て直す元手も、家族の暮らしを支える蓄えも、どちらも細っています。
これが、自腹での補填をふつうのことにしてしまう怖さです。
平常時の資金繰りと非常時の資金繰りは別物
資金繰りを良くするために会社ができることは、突き詰めると2つしかありません。
売上を伸ばすか、経費を減らすか。
たちばなはじめも、普段からそうお伝えしています。
ところが、物価高と人手不足が重なったいまの局面では、この王道がどちらも思うように効きません。
仕入れや光熱費が上がっても、その分をそのまま値段に乗せられる会社ばかりではありません。
人を増やそうにも、賃金の高いところに人が流れてしまい、募集しても集まりません。
売上も経費も思うように動かせないなかで、差額だけが社長の肩にのしかかる。
ここで知っておいてほしいのは、平常時の資金繰りと、苦しくなってからの資金繰りは、まったくの別物だということです。
余裕のあるうちなら通用する打ち手が、追い込まれた局面では効きにくくなります。
だから、まだ自分の財布で埋められているうちに、会社のお金の流れを見直しておくことが大切なんです。
まず社長が自分で数字を追いかける
こういう時期にこそ、社長にやってほしいことがあります。
会社の数字を、社長自身が追いかけることです。
儲かっているのか、いないのか。
これは、数字を見なければ分かりません。
売上はそれなりにあるのに、なぜか月末に手元のお金が残らない。
そういうことは、実際によく起きます。
現場の仕事は、信頼できる従業員に任せられます。
でも、お金をつなぐことと、最後に決めることだけは、社長にしかできない。
たちばなはじめは「事業の根幹は事業ではなく会計にあり」と繰り返し伝えています。
自分自身、数字から目をそらしたまま事業を続けて会社を傾けた経験があるからこそ、強くそう言うんです。
毎月の現金の動きを社長がつかんでいれば、苦しくなる前の小さな予兆に気づけます。
気づくのが早ければ早いほど、選べる道は多く残ります。
支払いに迷ったときの順番
資金繰りが厳しくなると、どの支払いを先にすればいいのか、頭を抱えます。
このとき、たちばなはじめがいつもお伝えしている順番があります。
- 家族
- 従業員
- お客
- 協力企業
- 銀行
家族、従業員、お客、協力してくれる取引先を守るのが先で、銀行への返済は一番最後です。
これが、たちばなはじめの考え方です。
ここで見落としがちなのが、一番上にある家族です。
従業員の賞与を守るあまり、社長が自分と家族の暮らしを際限なく削ってしまいます。
その状態が続けば、社長自身が倒れてしまい、守りたかった会社ごと立ち行かなくなります。
自分を犠牲にすることと、順番を守ることは違う。
まず、守るべきものを守ってください。
その順番を間違えないことが、苦しい時期を乗り切る土台になります。
銀行への向き合い方を見直すという選択
それでも毎月の返済が重く、自腹での補填が止まらないなら、見直すべき場所があります。
金融機関への向き合い方です。
返済が資金繰りを圧迫しているとき、金融機関との交渉方法を見直すことで、月々の負担を組み直せることがあります。
大切なのは、返済が苦しくなってから慌てて動くのではなく、まだ払えているうちに相談することです。
返済の組み直しは、早い段階ほど選べる幅が広い。
資金が尽きてからでは、金融機関の側も対応できる範囲が狭まってしまいます。
会社が破綻する前に手を打てば、選べる道はぐっと広がります。
たちばなはじめ自身、かつて自らの事業が立ち行かなくなり、返済に行き詰まった経験があります。
そのとき、金融機関との交渉方法を見直すことで、法的な手続きに頼ることなく再起した。
同じように追い詰められた景色を知っているからこそ、いまは顧問弁護士・宅建士・税理士など各分野のプロがチームとなって、社長と一緒に解決の道を探しています。
ひとりで抱え込む前に
自分の賞与をゼロにしてでも会社を守ろうとする社長の姿勢は、本当に立派です。
ただ、その頑張りを、たったひとりで背負い続けないでください。
いちばんいいのは、まだ少し余裕があるうちに動き始めることです。
すでに資金繰りが厳しくなっていても、道はまだ残っています。
倒産や廃業だけが、行き着く先ではありません。
大事なのは、ひとりで抱え込んだまま結論を出してしまわないこと。
資金繰りのことだけではなく、事業の立て直しのご相談も受け付けています。
もし少しでも気がかりなことがあれば、まずは一度ご相談くださいね。
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