担当者の口調が、ある日急によそよそしくなった。
電話の折り返しが、なんだか遅い。
融資の打診を、やんわりかわされた。
「あれ?最近なんだか対応が以前と違うような、、、」
こんなふうに感じたことはありますか?
銀行の対応に違和感を感じ始めているなら、それはなにかのサインかもしれません。
手遅れにならないよう、その違和感の原因をつきとめ、早めに対処しておきましょう。
メインバンクとの関係は「片思い」だった
ある社長さんのお話です。
祖父の代から付き合いのある信用金庫を、長年メインバンクだと思ってきた。
融資シェアもいちばん大きい。
担当者もよく訪ねてくる。
会社の歴史も人間関係も、その金庫に紐づいていると考えていました。
ところが、業績が苦しくなって、リスケの相談に出向いた途端、担当者の口から出たのは、、、
「当金庫はサブなんで、メインの銀行さんと先に話してください」
後日届いた支店長名義の手紙には、自分の名前が違う名字で「○○社長」と書かれていたと。
「親しい関係」だと思い込んでいたのは、社長の側だけ。
銀行から見れば、たくさんある融資先のひとつに過ぎなかったというわけです。
その社長さんは、こう言いました。
「メインバンクだと思っていたのは私だけ。結局は片思いだったんですよ」
銀行との関係が「片思い」だったと気づくのは、たいてい業績が傾いてから。
なので、まだ余力があるうちに、金融機関との向き合い方を整理しておくことが大切です。
銀行が発する小さなサイン
銀行が取引方針を見直しているとき、最初に表に出てくるのは取引条件じゃありません。
担当者の振る舞いです。
社長が「あれ?」と感じる場面には、いくつか共通したサインがあります。
- 担当者の訪問が間遠になり、来ても短時間で帰る
- 新規融資の打診に対し、回答が遅れる・条件が出てこない
- 追加担保や追加保証を、雑談のなかでさりげなく持ち出される
- これまで触れなかった当座貸越の利率や枠について「見直したい」と言われる
- 後継者・株主構成・資産背景についての質問が増える
一つひとつは小さなサインかも知れません。
ですが、複数のサインが見えるようになってきたら、要注意。
すでに与信判断が変わり始めていると考えて、ほぼ間違いありません。
社長からすれば「最近リアクションが悪いな」くらいの感覚でも、銀行のなかではそれ以上のことが起こっている。
この温度差に気づけるかどうかが、銀行との向き合い方を大きく左右します。
平常時にやっておきたい銀行関係の棚卸し
雲行きが怪しくなってきたからといって、すぐに別の銀行へ走るのは早すぎます。
まずは、今の銀行関係の棚卸しをしておくことが先決です。
確認したいのは、次の3つ。
① 銀行ごとの借入残高と内訳
各行ごとの借入残高、保証協会付きとプロパーの内訳、当座貸越や手形貸付の枠。
これを一覧にして書き出してみてください。
社長の感覚で「あそこがメイン」と思っていても、実際の数字を並べてみると、順位が違うことが意外と多いんですね。
複数行が拮抗していたり、思っていたよりシェアが分散していたり。
シェアが大きい銀行が、必ずしも「親身に支えてくれる銀行」とは限らない。
そう考えて、まずは各銀行の数字を冷静に眺めてみてください。
② 担保・根抵当の状況
自宅、事業所、機械設備、売掛金。
これらの担保権者と、根抵当の極度額がいくらに設定されているか。
登記簿を取れば、すぐに確認できます。
融資残高は少ないのに、自社の主要資産をがっちり押さえている銀行があったら、、、
その銀行の発言力は、数字以上に強くなります。
逆に、融資残高が大きいのに無担保の銀行があれば、有効な交渉のカードとして使えます。
③ サブバンク・新規候補との距離感
サブバンクとの関係性、その他の銀行も含め、関係性を構築できそうな銀行をピックアップします。
申し込むかどうかは別にして、平常時のうちに接点だけでもつくっておきましょう。
これだけで、資金繰りの選択肢がぐっと増えます。
「メインを切り替えるべきか」。
「サブの位置づけを引き上げるべきか」。
「現状のまま別の手を打つべきか」。
金融機関の選択肢を増やすことで、資金繰りの選択肢もおのずと増えるということです。
「お願い」から「交渉」へ
銀行との関係に違和感を覚えると、多くの社長は「もう少しお願いしてみよう」「窮状をアピールしてみよう」と、こちらが下手に回りがちです。
が、それでは交渉はうまくいきません。
「資金が詰まりそうなので、至急融資してほしいんです」と頭を下げる社長。
「他行からこういう条件をいただいているのですが、貴行ではどうお考えですか?」と問う社長。
銀行の立場で考えて、どちらに融資したくなるか。
答えは、圧倒的に後者です。
前者はお願い、後者は交渉。
同じ事業状態でも、伝え方が違うだけで、銀行のなかでの評価がガラッと変わります。
それなのに、ほとんどの社長は「交渉」ではなく「お願い」をしてしまっているんですね。
これでは、思うように融資を引き出すことはできません。
自社の数字を、自分の言葉で語る。
複数行と並行して話を進める。
お願いではなく交渉をするというスタンスで臨むことが重要です。
違和感を放置せず原因をつぶす
メインバンクの方針変化を察知した社長が、まず迷うのが「誰に、どう相談するか」。
同業の知人に話せば、噂が広がるかもしれない。
税理士・会計士は、銀行との関係には踏み込みにくい。
弁護士に相談すれば、倒産や破産をすすめられるかもしれない。
そう感じて、結局一人で抱え込んでしまう社長は少なくありません。
そして、どんどん資金が流出し、どうしようもなくなっていくんですね。
銀行の対応に違和感を感じたら、裏でなにかが起こっている可能性が高いです。
早急にその原因を特定し、対処しておきましょう。
資金繰りは、我慢してはいけません。
早めに対処すればするほど、選択肢は広がり、立て直しも早くなります。
一人で抱え込まずに、ぜひ一度ご相談くださいね。
資金繰りの課題を抱える経営者の方へ3つのご案内
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