2026年9月、茨城県の総合建設会社が、関係会社とあわせて負債約45億円で自己破産を申請したと報じられました。
国や県、市の公共工事を数多く手がけてきた会社です。
本業の仕事が途切れていたわけではありません。
重荷になったのは、赤字が続いていた関係会社に貸し付けた約9億円でした。
本業で稼いだお金で、別の事業の赤字を埋め続けている。
そんな会社は、建設業に限らず少なくないでしょう。
では、なぜ本業が動いている会社まで倒れてしまうのか。
建設会社と関係会社が負債45億円で破産に至った経緯
まず、報道の要点をまとめます。
茨城県の総合建設会社は戦後まもなく創業し、国や県、市などの公共工事を数多く手がけてきた。2026年3月にも地元の公共施設を完成させている。売上高は2021年6月期の約32億円から、2026年6月期は約20億円まで減少。関係会社は観光地で複合商業施設を運営していたが採算がとれず、債務超過に陥っていた。建設会社は貸し付けで関係会社を支えてきたが、貸付金約9億円の回収が難しくなり、有利子負債は年商を大きく上回った。取引先には手形払いの割合を増やすなど支払い条件の変更を求めていたが、9月24日に2社そろって自己破産を申請。負債は建設会社が約29億円、関係会社が約16億円。
— 2026年9月、帝国データバンク・東京商工リサーチの倒産情報をもとに要点をまとめて引用
貸付金の約9億円は、直近の売上高の4割を超える金額です。
売上が減っていく本業にとって、決して小さな額ではありません。
そして、このお金は本業の仕事ではなく、別の事業の赤字を支えるために出ていきました。

関係会社への貸付金はなぜ本業を苦しめるのか?
関係会社に貸したお金は、決算書の上では「貸付金」という会社の財産として残ります。
ですが、手元の現金ではありません。
赤字の会社に貸したお金は、その会社が自分で稼げるようにならない限り、返ってこないからです。
帳簿の上では資産でも、使えるお金としては手元にないのと同じ。
そのあいだも、本業の人件費や材料費、外注費の支払いは待ってくれません。
手元のお金が足りなくなれば、借入で埋めることになります。
借入が増えれば、当然、毎月の返済も重くなっていきます。
今回の会社も、有利子負債が年商を大きく上回るところまで膨らんでいました。
そして最後は、取引先に支払い条件の変更をお願いする段階に入っています。
ここまで来ると、本業そのものの信用が揺らいでしまうんですね。
もう一つ、見落としやすい点があります。
関係会社の借入に、本体の会社や社長個人が保証を入れているケースです。
その場合、関係会社が立ち行かなくなれば、返済の請求は本体の会社や社長にも回ってきます。
関係会社の赤字は、貸したお金が戻らないだけでは済まないということです。
地域の建設会社が別の事業をやめにくい事情
今回の会社が関係会社の事業を始めた経緯は報じられていませんが、地域に根ざした建設業は、地元の自治体や住民との結びつきが強い業種です。
公共工事を通じて、地域の顔になっている会社も多いでしょう。
地元の期待に応える形で、飲食や不動産賃貸、観光施設など、本業とは違う事業を始めるケースもあります。
一度始めた施設には、働く人がいて、取引してくれる地元の事業者がいて、訪れるお客さんがいます。
「地元のために始めたものを、自分の手で閉じるわけにはいかない」
「本業が回っているうちは、なんとか支えられる」
こう考えて、赤字の事業をやめる決断を先送りしてしまう気持ちは、本当によくわかります。
ただ、建設業には、材料費や外注費の支払いが先に来て、工事代金の入金は後になりやすいという構造があります。
そのぶん、手元のお金は薄くなりがちです。
そこへ別の事業の赤字の穴埋めが重なると、資金繰りの余裕は一気に削られてしまいます。
赤字の事業を本業のお金で支え続けてはならない
たちばなはじめが個別面談で向き合った社長の中にも、利益の出る事業のお金で、長年赤字が続く家業の穴を埋め続けている方がいました。
こうした相談で、たちばなはじめはこう伝えています。
赤字の事業に稼いだお金を入れ続けるのは、穴の空いたバケツに水を注ぐのと同じ。
「頑張っていればどうにかなる」「きっと前のように戻る」と考えたくなるところですが、それまで資金はもちません。
その苦しさに巻き込まれるのは、社長だけではなく、家族や従業員です。
本業で稼いだお金は、まず家族や従業員、そしてお客や協力してくれる取引先を守るためのお金のはず。
何かを残すためには、何かを手放す判断が欠かせません。
しかも、ためらっている時間にも代償は積み上がっていきます。
決断を先送りしたあいだに増えた借入と、減った手元のお金。
この合計が、ためらった分の代償です。
別の相談では、3年ためらっただけで、その額が数千万円にのぼった社長もいます。

本業のお金が残っているうちに手を引く
赤字の事業から手を引くにも、お金がかかります。
施設の閉鎖、契約の整理、働いている人への対応などなど。
手元のお金が尽きてからでは、やめ方を選ぶ余地も残りません。
逆に、本業のお金が残っているうちに動けば、やめ方次第で手元に残せるお金は大きく変わってきます。
やることは次の3つです。
- 関係会社や赤字の事業に、これまでいくら出してきたか、毎月いくら出ているかを書き出す(貸し付け・立て替え・保証も含めて)
- その事業が、自分の稼ぎで返せる見込みがあるのかを数字で確かめる
- 本業の手元のお金があと何か月もつかを出し、これ以上は出さないという線を決める
書き出してみて返ってくる見込みが立たないなら、それ以上お金を入れるのはやめる判断が必要です。
取引先に支払いを待ってもらうようになる前に、動き出しましょう。
とはいえ、すでに赤字の穴埋めで本業の手元が苦しくなっている方もいるかもしれません。
そんな状態からでも、倒産や破産をせずに解決できる可能性を最後まで探ることはできます。
大切なのは、これ以上お金を減らさないうちに、次の一歩を決めることです。
伸びていた事業が会社の資金繰りを苦しめた例や、赤字の事業から手を引く決め方については、次の記事でもくわしく取り上げています。
会社と社長にお金を残す考え方は、たちばなはじめが書き下ろした無料の電子書籍『会社と社長にお金を残す資金繰り改善の教科書』にまとめています(公式LINEを友だち追加するだけで届きます)。
教科書の内容を概論としてお伝えするセミナーも、定期的に開催しています。
たちばなスキームの全体像を、たちばなはじめが直接お伝えする場として、ぜひお越しください。
赤字の事業を続けるかどうか迷っているなら、まずは一度、無料の個別相談でいまの状況をお聞かせくださいね。
資金繰りの課題を抱える
あなたの選択肢を、

