「人を採りたくても採れない」
「やっと採った人も、給料を上げないと辞めてしまう」
こんな悩みを抱えている社長さんは、本当に多いですよね。
2026年5月の倒産件数は、全体で見ると6カ月ぶりに前の年を下回りました。
数字だけ見れば、少し落ち着いたかのよう。
が、その裏側で、人手不足を理由にした倒産は5月として過去最多を更新したんです。
この食い違いの中に、いまの中小企業が置かれている本当の景色があります。
倒産は減ったのに人手不足倒産は5月で最多
東京商工リサーチによると、2026年5月の全国の企業倒産は780件で、前の年の同じ月より8.9%減りました。
ところが、人手不足が引き金になった倒産だけは、まったく逆の動きをしています。
2026年5月の「人手不足」倒産は37件(前年同月比60.8%増)で、5月としては2013年の調査開始以降で最多を更新した。
原因別では「人件費高騰」が19件(同137.5%増)と約2.4倍に急増。
「従業員退職」も9件(同80.0%増)と増えている。
資本金1千万円未満が25件(同92.3%増)と小・零細企業に被害が広がり、倒産形態は破産が36件と大半を占めた。
— 東京商工リサーチ「2026年5月の『人手不足』倒産」の調査より
注目したいのは、苦しんでいるのが資本金1千万円未満の小さな会社に偏っている点。
そして、その大半が破産という形で終わっているという事実です。
全体の数字が落ち着いても、体力の小さい会社ほど、人の問題で追い込まれているということなんですね。
人件費が上がっても価格に転嫁できない
なぜ、人手不足が倒産にまで直結してしまうのか。
いちばんの理由は、出ていくお金は増えるのに、入ってくるお金が増えないからです。
物価高で仕入れ値は上がる。
人を引き留めるために給料も上げる。
でも、その分をそのまま値上げできるかというと、現実はそう簡単ではありません。
「値上げしたら、お客さんが他に逃げるんじゃないか」
「同業がまだ上げていないのに、うちだけ上げられない」
こう考えて値上げに踏み切れない気持ちは、痛いほどわかります。
その結果、売上はそこそこあるのに、手元にお金が残らない。
東京商工リサーチは、2026年5月の「物価高」倒産も64件と前の年より4割以上増え、半年連続で前年を上回っていると指摘しています。
人件費高騰と物価高は、別々の問題ではなく、同じ「お金が残らない構造」の表と裏なんです。
この状態を放っておけば、利益はじわじわ削られ、ある日とつぜんの資金ショート。
だからこそ、ここで慌てて手を打つ前に、考えておきたいことがあります。
人手不足だからと人を増やすと資金繰りはもっと苦しくなる
ここで、ひとつ気をつけていただきたいことがあります。
「人が足りないなら、お金をかけてでも人を採ればいい」
「給料を上げれば、人は残ってくれるはずだ」
資金繰りに余裕がないときに、この発想で動くのは、とても危険です。
たちばなはじめは、資金繰りに余裕がないときの増販策やコスト削減策を「打ってはいけない手」と位置づけています。
売上を伸ばそうとすれば、先に広告費や人件費といったコストが出ていってしまう。
逆にコストを削りすぎれば、今度は事業そのものが回らなくなる。
高い給料で人を採ること、無理な賃上げに走ることも、これと同じ。
苦しい資金繰りに、さらに高いコストを注ぎ込むようなものなんです。
穴の空いたバケツに、急いで水を足しても、底から漏れ続けます。
まず塞ぐべきは穴のほうで、水を足すのはそのあと。
順番を間違えると、人を増やしたことが、かえって会社の寿命を縮めてしまいます。
苦しいときこそお金を使う順番を間違えない
では、人件費が重くのしかかってきたとき、社長は何から考えればいいのか。
答えは、お金を使う順番を決めておくことです。
資金繰りが苦しくなると、多くの社長はまず自分の役員報酬を下げ、次に従業員への支払いや取引先への支払いを削っていきます。
それでも、金融機関への返済だけは止めずに続けようとする。
たちばなはじめから見れば、この順番こそが逆。
限られたお金で全員を守りきれないとき、たちばなはじめがお伝えしているお金の優先順位は、次の5つです。
- 家族
- 従業員
- お客
- 協力企業
- 銀行
家族、従業員、お客様、協力企業を守るのが先で、銀行への返済は一番最後にする。
これが、たちばなはじめのコンセプトです。
人手不足のいま、この順番こそが会社の生き死にを分ける分かれ道。
給料の遅配や未払いが起きれば、残ってくれていた従業員まで、いっせいに離れていくからです。
従業員を守るために、金融機関への返済より先に、手元のお金を回す。
この順番を先に決めておくだけで、苦しい局面でも判断がぶれません。
倒産や破産をせずに立て直せる道はある
人手不足倒産の大半が破産という形で終わっている。
このデータを見て、不安になった社長さんもいるかもしれません。
でも、破産しなければならない会社など、本当はひとつもないんです。
たちばなはじめ自身、かつて自らの事業が立ち行かなくなり、大きな負債を抱えて行き詰まった一人。
自己破産しようと弁護士事務所を訪ねたものの、破産費用すら払えず、いったんは路頭に迷った過去があります。
そこから立て直す決め手になったのが、金融機関との向き合い方を見直すという一手。
法的な手続きに頼らずに、資金繰りを立て直して再起しました。
その実体験があるからこそ、たちばなはじめは「事業の再生より、社長の人生の再生のほうが大事だ」とお伝えしています。
会社を残すか、たたむか。
どちらを選ぶにしても、お金と家族の暮らしを守った状態で次に進めるかどうかが、その後を大きく左右します。
だからこそ、資金繰りは我慢してはいけません。
症状が軽いうちに手を打てば、立て直しは早く、痛手も小さい。
人件費の重さに耐えて、自分の報酬を削り、家族を犠牲にして、それでも返済を続ける。
その我慢を続けているうちに、選べる道はどんどん狭くなっていきます。
資金繰りや人件費だけではなく、事業再生や廃業のご相談も受け付けています。
もし少しでも心当たりがあれば、ひとりで抱え込まず、まずは一度ご相談くださいね。
資金繰りの課題を抱える経営者の方へ3つのご案内
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