事業承継の準備は5年以上が約半数…後継者が決まったら最初にやるべき3つのこと

事業承継は準備から。たちばなはじめの解説

「後継者は息子に決めている」

「だから、うちの事業承継は大丈夫」

そう考えている社長は多いでしょう。

ですが、後継者が決まっていることと、事業承継の準備が進んでいることは別の話です。

2026年9月、日本商工会議所が「事業承継に関する実態アンケート」の結果を公表しました。

全国の商工会議所の会員企業から3,033件の回答を集めた調査です。

そこから見えてきたのは、後継者がいても、事業承継の計画を作っていない会社が7割を超えるという実態でした。

では、後継者が決まったら、何から始めればいいのでしょうか。

目次

事業承継の準備に5年以上かけた会社が約半数

まずは、調査結果の要点です。

先代から見た現代表者との関係は、子どもや配偶者などの親族が79.1%。後継者(候補)との関係も77.4%が親族で、親族内承継が大半を占める。

自分が後継者だと認識してから代表に就任するまでの準備期間は、47.9%が「5年以上」と回答。一方、円滑に事業承継できなかった企業の約4割(39.3%)は、1年未満で承継していた。

代表者が60歳以上で後継者(候補)がいる企業でも、7割超(71.8%)が事業承継の計画を作成していない。

— 日本商工会議所「事業承継に関する実態アンケート」調査結果(2026年9月公表)の要点をまとめたもの

注目したいのは、準備にかかった時間です。

約半数の会社が、5年以上かけて代替わりをしています。

反対に、うまく引き継げなかった会社の約4割は、1年未満の短い期間で代替わりしていました。

事業承継は、思い立ってすぐに終わるものではないんですね。

それなのに、後継者がいる会社の7割超が、計画すら作っていません。

「後継者がいるから大丈夫」という安心感が、準備を後回しにさせているのかもしれません。

会社模型と鍵と整理された書類

後継者が決まっても事業承継が進まない理由とは?

同じ調査では、事業承継の課題として「後継者への株式移転」や「後継者教育」が多く挙がっています。

自社株の評価や税金の話は、顧問の税理士と時間をかけて進めていく領域です。

ただ、課題はそれだけではありません。

実際に会社を引き継いだ社長が挙げた課題の中には、「借入金・債務保証の引継ぎ」も入っています。

会社を継ぐということは、会社の借入金もそのまま引き受けるということ。

金融機関から、後継者も保証人になるよう求められるケースは少なくありません。

しかも、今回の調査でも後継者の約8割は親族です。

子どもに会社を継がせるなら、会社の借入金と保証は、そのまま子どもの家族の将来に関わってきます。

継ぐ側からすれば、これほど重い話はないでしょう。

私たちのもとにも、こんなご相談がありました。

60代半ばの社長で、後継者は30代の息子さん。

ところが、その息子さんが会社を継ぐことに二の足を踏んでいるというのです。

事業は赤字で、金融機関からの借入金も残っています。

その状態で「継いでくれ」と言われても、ためらうのは当然ですよね。

たちばなはじめがお伝えしたのは、負債は息子さんに背負わせず、社長が元気なうちに自分の代で片づけるべきだということでした。

実はこの社長、3年前にも同じ相談をされていたんです。

そのときは何も手をつけないまま、3年が過ぎてしまいました。

その3年で借入金は増え、手元の資金は減り、合わせて数千万円を失っていたそうです。

事業承継が進まない原因は、後継者のやる気でも、株や税金でもなく、会社の借入金にあった。

そういうケースは実際によくあります。

しかも、赤字の会社に限った話ではありません。

黒字の会社でも、借入金と保証の中身を後継者が知らないままなら、いざ引き継ぐ段になって「そんな話は聞いていない」と話が止まりかねません。

三つの無記名ファイルとノートとペン

後継者が決まったら最初にやるべきこと

やることは次の3つです。

  1. 会社の借入金と保証の状況を書き出す
  2. 書き出した内容を後継者と共有する
  3. 借入金を誰の代でどうするのか方針を決める

1つ目は、会社の借入金と保証の状況を書き出すことです。

どの金融機関からいくら借りていて、毎月いくら返しているのか。

誰が保証人になっていて、自宅や会社の不動産が担保に入っているのかも、あわせて書き出します。

経理にまかせきりで、借入金の残高をすぐに答えられない社長は意外と多いものです。

ですが、ここをつかんでおくのは社長自身の仕事です。

2つ目は、書き出した内容を後継者と共有することです。

いい話だけを聞かされて会社を継ぎ、あとから借入金や保証の中身を知る。

これでは、後継者があまりにも気の毒です。

継いでから知るのと、知ったうえで継ぐのとでは、まるで違います。

そして3つ目が、借入金を誰の代でどうするのか、方針を決めることです。

社長の代で返し切るのか、後継者が引き継ぐのか、それとも事業だけを渡すのか。

事業そのものは採算が合っているのに、借入金の返済のせいでお金が残らないのなら、なおさら負債を後継者に背負わせるべきではありません。

負債は社長の代で決着をつけ、後継者には事業だけを渡す。

これが、私たちの基本的なスタンスです。

たちばなはじめ自身、新潟で先代から会社を継いだ世襲社長でした。

当時抱えていた負債のほとんどは、先代が残したもの。

先代が亡くなったあとの後片づけには3年ほどかかったと、YouTubeチャンネル「社長の資金繰り相談室」で語っています。

継ぐ側の苦労を知っているからこそ、継ぐと言ってくれた人に負債を押しつけるのはあってはならない話だと、強く訴えています。

「負債を残さずに事業だけを渡すなんて、できるのか」と思われるかもしれません。

ですが、その方法はあります。

会社をそのまま継がせるのではなく、事業を継がせるという考え方。

ただし、それには時間がかかります。

だからこそ、社長が元気で、会社にお金が残っているうちに始めなければならないのです。

事業承継は今日言って明日終わる話ではない

もう1つ、考えておきたいのが時間です。

何歳で準備を始めて、何歳で終えるのか。

始める目安は、年金が視野に入ってきたころです。

今回の調査でも、準備に5年以上かかった会社が約半数でした。

65歳で始めて5年かかれば、終わるころには70歳です。

その間に社長が体調を崩したり、会社の業績が傾いたりすれば、、、

後継者は、準備も情報もないまま、借入金ごと会社を背負うことになってしまいます。

先ほどの社長のように、赤字のまま迷っていれば、その間にも借入金は増え、資金は減っていきます。

後継者が決まっているなら、それは準備を始める合図です。

まずは、会社の借入金と保証の状況を書き出すところから始めてみてください。

資金繰りだけではなく、後継者に負債を引き継がせない事業承継のご相談も受け付けています。

もし気になることがあれば、お気軽にご相談くださいね。


事業承継は準備から。たちばなはじめの解説

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