2026年の上半期、家を建てるハウスメーカーの倒産が、前の年の2倍近くに急増しました。
「うちは住宅業界じゃないから関係ない」
そう思った社長にこそ、読んでいただきたい調査結果です。
倒れた会社の多くに、共通する特徴があったからです。
それは、業績不振が長引いているのに、立て直しの決断を先送りしてしまったこと。
ハウスメーカーの倒産が上半期9割増
2026年7月、東京商工リサーチから、ハウスメーカーの倒産についての調査が公表されました。
2026年上半期(1〜6月)のハウスメーカーの倒産は118件(前年同期比87.3%増)と急増し、上半期で100件を超えたのは2013年(106件)以来13年ぶりとなった。原因別では販売不振が85件(構成比72.0%)、赤字累積が20件(同16.9%)と、業績不振型が大半を占める。負債34億円を抱えて破産した愛知県のタイコウハウスや、負債11億円のハウスM21(岩手県)など億単位の倒産が相次ぎ、2026年7月16日には注文住宅のアエラホームが民事再生法の適用を申請した。コスト高や人手不足、住宅ローン金利の上昇による買い控え、マンション・リノベーション物件との競合激化が背景にあり、破産した企業には長引く業績不振という共通点が指摘されている。
— 東京商工リサーチの調査より(2026年7月17日公表)
この半年だけで、118社。
前の年の同じ時期から9割近く増えて、13年ぶりの高い水準に達しました。
しかも、負債が数十億円という規模の会社や、全国に名前の知られた会社まで倒れています。
体力があるはずの中堅クラスでも、持ちこたえられません。
倒産の原因も、7割以上が販売不振。
一時的な事故ではなく、業績の悪化がじわじわ続いた末の倒産が大半を占めています。
それが、いまの住宅業界で起きていることです。
実際に倒れた会社はどうなったのか?
数字だけではイメージしづらいので、実際の事例を見てみましょう。
岩手県盛岡市のハウスM21は、2026年1月に事業を停止し、破産申請の準備に入りました。
負債は約11億5,500万円。
従業員21人は、事業停止と同じ日に全員解雇されています。
この会社は1994年の設立で、東日本大震災の復興需要に支えられ、ピーク時には年商36億円を超えていました。
ところが復興需要が落ち着くと、コロナ禍や資材価格の高騰が重なって減収が続き、2023年3月期には債務超過に転落してしまいます。
そこから資金繰りの限界まで走り続けた末の、事業停止。
7月に民事再生法の適用を申請したアエラホームも、負債は61億円を超えています。
こうした会社に共通するのは、業績の悪化が始まってから倒れるまでに、数年単位の時間があったことです。
その間に抜本的な立て直しへ舵を切れていれば、結果は違っていたかもしれません。
増えているのはハウスメーカーの倒産だけではない
この数字を、住宅業界だけの話と受け取ってはいけません。
建設業全体の倒産も、2025年は2,014件と4年連続で増え、12年ぶりの高い水準に達しました。
全国の企業倒産にいたっては、2年連続で年間1万件を超えています。
つまり、ハウスメーカーの倒産急増は、住宅業界の特殊事情だけで起きているわけではないんです。
コスト高と人手不足という逆風は、どの業種にも同じように吹いている。
そのなかで、資材価格の上昇と金利の影響をまともに受ける住宅業界に、いちばん先にはっきりと数字で表れた。
そう見るべき調査結果です。
あなたの業界の倒産件数がまだ落ち着いていても、それは「大丈夫」の証明ではありません。
順番が来ていないだけかもしれないのです。
なぜハウスメーカーが追い込まれているのか?
背景には、いくつもの逆風が重なっています。
木材や住宅設備といった資材の価格は、ここ数年で大きく上がりました。
職人さんの人手不足で、人件費や外注費も膨らんでいます。
コストが上がった分、1棟あたりの価格は値上げが続いてきました。
ですが、ここに住宅ならではの難しさがあるんです。
価格を上げれば、こんどは住宅ローンの金利上昇もあいまって、買い手が減ってしまう。
マンションや中古のリノベーション物件など、競合も増えています。
つまり、コスト上昇分を価格に乗せても、そのぶんお客さまが離れてしまう構造なんです。
値上げだけでは、守りきれないところまで来ているわけです。
そしてもうひとつ、住宅は完成までの期間が長い商売です。
着工から引き渡しまでのあいだも、資材の支払いや人件費は先に出ていく。
受注が細った状態で資金繰りが崩れ始めると、立て直しの時間がほとんど残されていないケースが多いんです。
立て直しの決断を先送りしない
今回の調査には、重い指摘があります。
破産した会社には長引く業績不振という共通点があり、早めに抜本的な立て直しへ舵を切っていれば、結果は違った可能性があった、、、という分析です。
私たちのもとに寄せられるご相談でも、同じことを感じる場面が少なくありません。
では、なぜ決断が遅れてしまうのか。
売上がまだ立っているうちは、「もう少し頑張れば戻るはず」と思えてしまうからです。
長年続けてきた事業のかたちを変えることには、痛みも伴います。
その気持ちは、痛いほどわかります。
ですが、業績不振が長引くほど手元の資金は減り、選べる道はどんどん狭まっていきます。
大事なのは、「傷が浅いから、この程度でいいだろう」ではなく、「傷が浅いからこそ、今のうちに抜本的な手を打つ」という考え方です。
まだ余力があるうちなら、事業の絞り込みも、返済の組み直しも、金融機関との交渉も、幅を持って検討できる。
資金が尽きる直前では、その幅がなくなってしまうんです。
そして、決断の材料になるのは、やはり数字です。
手元の現金がいくらあって、このままの業績なら、あと何か月もつのか。
ここが見えていれば、「まだ頑張れるはず」という感覚ではなく、事実にもとづいて判断できます。
とくに、返済条件を変更するリスケジュールに入る前は、大事な分かれ目です。
リスケの前であれば、金融機関との交渉も、個人保証への備えも、選べる道が多く残っています。
一度リスケに入ると、その後にとれる手が狭まってしまうケースがあるからです。
会社の倒産はお客さまと取引先も巻き込む
もうひとつ、ハウスメーカーの倒産で忘れてはならないことがあります。
建築の途中で会社が倒れると、家の完成を待っている施主や、協力してくれた工務店・職人さんまで巻き込んでしまうことです。
建築代金の一部をすでに支払っている施主にとっては、人生を左右する出来事になりかねません。
建築途中の家はどうなるのか、支払ったお金は戻ってくるのか。
今回の民事再生の事例でも、施主への対応が大きな注目を集めました。
裏を返せば、ぎりぎりまで粘ってから倒れると、それだけ多くの人を巻き込んでしまうということ。
たちばなはじめは、家族、従業員、お客、協力企業を守るのが先で、銀行への返済は一番最後、という順番を大切にしています。
守るべき人たちを守るためにも、余力を残した状態で立て直しに踏み切ってほしいんです。
手遅れになる前に舵を切る
ハウスメーカーの倒産が9割増えたというニュースは、住宅業界だけの話ではありません。
コスト高、人手不足、金利の上昇、競合の激化。
同じ逆風は、どの業種にも吹いています。
たちばなはじめ自身、かつて業績の不振を長引かせ、多額の負債を抱えて行き詰まった経験があります。
そこから金融機関との交渉方法を見直すことで、法的な手続きに頼ることなく再起しました。
その経験から言えるのは、立て直しの決断は早いほど、守れるものが多いということです。
「まだ大丈夫」と感じているいまが、いちばん選択肢の多いときです。
業績の不振が長引き始めているなら、数字から目をそらさず、早めに手を打ちましょう。
資金繰りはもちろん、事業の立て直しのご相談も受け付けています。
もし少しでも思い当たることがあれば、ひとりで抱え込まず、まずは一度ご相談くださいね。
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