人手不足倒産が10年で5212件…求人より先に人件費と返済のバランスを見直す

求人を出しても応募が来ない。

来てくれても、しばらくすると辞めてしまう。

そんな状態が何年も続いている会社は、決して珍しくないでしょう。

ただ、人が集まらない原因を募集の出し方や採用の工夫だけに求めていると、もっと手前にある問題を見落としてしまいます。

2026年8月30日、人手不足による倒産を10年分集計した調査が公表されました。

そこで浮かび上がってきたのは、人手不足で倒れる会社が多い業種と、赤字の会社が多い業種が、きれいに重なっているという事実です。

目次

人手不足倒産は10年で5212件

まず、公表されたデータを見てみます。

2016年度から2025年度の10年間で、「従業員退職」「求人難」「人件費高騰」「後継者難」を要因とする「人手不足倒産」は5,212件。大企業と公務関連を除いた中小企業に絞った集計で、倒産件数に占める人手不足倒産の発生率は全体で6.44%となっている。

— 2026年8月30日、東京商工リサーチの調査より

10年で5,212件です。

年に平均して500件を超える会社が、人が足りないことを直接の引き金にして事業を終えている計算になります。

ここで注目したいのは、この調査が「ヒト」だけを見ているわけではないという点です。

業種ごとに、赤字の会社がどれくらいあるかという数字とあわせて分析されています。

人手不足倒産が多い業種は赤字が多い業種

調査で上位に挙がった業種を、赤字企業の比率とあわせて見てみます。

学校教育は赤字企業比率18.08%に対し人手不足倒産発生率11.76%。社会保険・社会福祉・介護事業は赤字企業比率16.41%に対し発生率9.88%。道路旅客運送業は赤字企業比率14.28%に対し発生率13.70%。いずれも労働集約型の業種で、両方の数値が高い傾向にある。

— 2026年8月30日、東京商工リサーチの調査より

全体の人手不足倒産発生率が6.44%ですから、これらの業種はその1.5倍から2倍以上ということになります。

そして、どの業種も赤字の会社の割合が高いのです。

人手が足りずに倒れる会社が多い業種と、そもそも儲かっていない会社が多い業種は、ほとんど同じ顔ぶれなんですね。

これは偶然ではありません。

人が辞めるのは業績が傾いたあと

介護、運送、教育。

どれも人がいなければ売上が立たない仕事です。

そして、どれも価格を自由に決めにくい業界でもあります。

報酬の単価が制度で決まっていたり、荷主や元請けとの力関係で運賃が決まっていたりします。

その結果、人件費が上がっても、その分を価格に転嫁できないまま利益が薄くなっていきます。

利益が薄くなると、どうなるか。

給与を上げられません。

賞与も出せません。

設備も古いまま、休みも取りにくいままです。

そうやって条件が悪くなった会社から、人はどんどん離れていきます。

つまり多くの場合、人が採れないから業績が悪くなったのではなく、業績が悪くなったから人が採れなくなっているのです。

順番は逆。

そして、ここから悪循環が始まります。

人が減った会社では、残った社員の負担が増えます。

負担が増えれば、また誰かが辞めていきます。

受けられる仕事の量が減り、売上がさらに落ちて、赤字が深くなっていきます。

この循環に入ってしまうと、求人広告をいくら出しても状況は変わりません。

経費削減で人件費に手をつけない

赤字が続くと、多くの社長がまず考えるのは経費の削減です。

ですが、経費というのは無制限に削れるものではありません。

電気代を削れば店舗が暗くなります。

通信費を削れば電話対応が悪くなります。

そして人件費を削れば、当然のように人手不足になります。

経費削減は「我慢できるところ」と「我慢できないところ」の折り合いをつける作業であって、削れば削るほど良くなるものではないということですね。

特に労働集約型の事業で人件費に手をつけるのは、自分で自分の首を締めるのと同じです。

削るべきは、事業を回すために我慢できない部分ではありません。

求人を出す前に確かめておきたい3つの数字

では、人が足りないと感じたとき、募集をかける前に何を見ておけばいいのでしょうか。

次の3つを順に確認しておきましょう。

  1. いまの売上に対して、人件費がどれくらいの割合を占めているか
  2. 社員をひとり増やしたら、給与と社会保険料を合わせて毎月いくら固定費が増えるか
  3. その増えた分を、いまの毎月の返済と並べて、無理なく払い続けられるか

1つ目と2つ目は、多くの社長がなんとなく把握しています。

問題は3つ目。

人を増やすということは、毎月出ていくお金がそのまま増えるということです。

その増加分を、いまの借入の返済と一緒に背負えるかどうかを見ないまま採用に踏み切ると、数か月後に資金繰りが行き詰まります。

逆に言えば、返済の負担さえ軽くなれば、いまの売上のままでも人を雇い続けられる会社は少なくありません。

ここが、人の問題をお金の側から解くという発想の入口です。

給与を守るために銀行返済の順番を見直す

たちばなはじめのお金の優先順位は、次の5つです。

  1. 家族
  2. 従業員
  3. お客
  4. 協力企業
  5. 銀行

家族・従業員・お客様・協力企業を守るのが先で、銀行への返済は一番最後にする。

これがたちばなはじめのコンセプトです。

「銀行への返済を後回しにしたら、取引を切られて事業が続けられなくなる」と思われるかもしれません。

でも、考えてみてください。

返済を続けるために給与を我慢させて、社員が辞めて、仕事が回らなくなって、結局事業そのものが立ち行かなくなる、、、

それでは本末転倒です。

返済を組み直せば資金が回る。

資金が回れば、いまいる社員の雇用を維持できます。

雇用が維持できれば、家族も養えます。

そうなるのであれば、その事業は続ける価値があります。

そのために私たちがお伝えしているのは、金融機関との交渉方法を見直すという考え方です。

たちばなはじめ自身、かつて自らの事業で返済が立ち行かなくなった経験があります。

そこから法的な手続きに頼ることなく再起し、その実体験をもとに組み立ててきたのが、独自の再生スキーム。

交渉の主体はあくまで社長ご自身ですが、顧問弁護士・宅建士・税理士など各分野の専門家と一緒に、その交渉を伴走することができます。

すでに社員が辞め始めていて、来月の給与が払えるかどうかも危ういかもしれません。

そんな局面に立っている社長もいらっしゃるでしょう。

そういう状況からでも、倒産や破産をせずに解決できる可能性を最後まで探ることはできます。

どうか、ひとりで結論を出さないでください。

資金繰りは我慢してはいけません

人手不足という言葉は、外から降ってきた災難のように聞こえます。

ですが、10年分のデータが示していたのは、儲かっていない会社ほど人に去られているという現実でした。

採用の工夫をする前に、まずは自社の数字を確認しましょう。

人件費と返済を見比べて、どちらを先に手当てすべきかを決めることが先決です。

それだけで、来年の採用の結果は変わってきます。

資金繰りは、我慢してはいけません。

早めに対処すればするほど、選べる道は広がり、立て直しも早くなります。

人件費と返済のバランスをどう組み直すか、といったご相談も受け付けています。

もし少しでも心当たりがあれば、ひとりで抱え込まず、まずは一度ご相談くださいね。


この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次