フィットネスジム倒産が最多ペース…会費の安売り競争に巻き込まれてはいけない

あなたの会社の近くにも、24時間営業の小型ジムが次々にできていませんか。

2026年8月、帝国データバンクから「フィットネスクラブ」の倒産動向(2026年1-7月)が公表されました。

今年1月から7月までのフィットネスクラブの倒産は23件にのぼりました。

前年の同じ時期を上回り、このままいけば年間で初めて40件に到達する可能性があると指摘されています。

2026年1-7月の「フィットネスクラブ」の倒産は23件と、前年同期の19件を上回った。倒産した企業は設立「10年未満」が全体の6割超を占め、パーソナルジムの倒産も6件と高水準。コンビニジムの出店拡大による供給過剰や、「入会金無料」など割引キャンペーンの常態化、人件費・光熱費の上昇が背景にあるとされる。

— 帝国データバンクの調査より

注目したいのは、倒産したジムの6割超が開業から10年未満の会社だという点です。

健康志向の高まりで市場そのものは伸びているのに、新しいお店から先に倒れているのです。

その理由を追いかけていくと、ジム業界に限らない、中小企業すべてに共通する「安売りの怖さ」が見えてきます。

目次

なぜフィットネスジムの倒産が増えているのか?

いちばん大きな背景は、供給過剰です。

低価格・24時間営業のコンビニジムが駅前に次々と出店し、同じエリアにジムがひしめき合う状態になりました。

パーソナルジムは開業資金が比較的少なくて済むため、参入のハードルが低く、新規開業が相次いでいます。

マシンを置いて場所を貸すという業態は、正直なところ差別化が難しい商売です。

お客さまから見れば「近くて安いほう」を選べばいい。

だから競争は自然と価格に向かい、「入会金無料」「初月半額」といったキャンペーンが当たり前になっていきました。

そこに人件費と光熱費の上昇が重なります。

インストラクターの確保には給与を上げるしかなく、マシンと空調を動かし続ける電気代も膨らむ一方です。

会費は下がり、経費は上がる。

利益が残らなくなるのは、当然の結果なんですね。

安さで集めた会員は安さで離れていく

もうひとつ、見落とされがちな問題があります。

割引キャンペーンで入会した会員は、正規の料金に戻ったタイミングで退会しやすいのです。

「安いから」という理由で選んだ人は、もっと安いジムができれば、そちらへ移っていきます。

値引きで会員数を増やしても、定着しない。

定着しないから、また次のキャンペーンで集める。

集めるたびに客単価が下がっていく。

この繰り返しが、じわじわと会社の体力を奪っていきます。

しかも会費のような月額の商売では、一度下げた料金を元に戻すのは簡単ではありません。

既存の会員全員に値上げを通知することになるからです。

「それなら他のジムに移ります」と言われるのが怖くて、苦しい料金のまま我慢を続けてしまうんですね。

安売りは始めるのは簡単でも、やめるのが難しいんです。

会費商売の弱点は固定費にある

ジムの経費は、家賃、マシンのリース料、人件費、光熱費と、そのほとんどが固定費です。

会員が減っても、毎月ほぼ同じ金額が出ていきます。

だから、会員数と会費で決まる売上が損益分岐点を割り込むと、赤字がそのまま固定化してしまいます。

ここで割引キャンペーンに頼ると、どうなるでしょうか。

会員数は一時的に戻っても、客単価が下がっているので、分岐点はさらに遠のきます。

赤字を埋めるつもりの安売りが、逆に赤字を深くしてしまうのです。

そうやって迷っている間にも、現金はどんどんすり減っていきます。

これは月謝や会費で成り立つ商売、たとえば学習塾やスクール、サブスク型のサービスにも、そっくり当てはまる構造です。

売上があっても現金が残らない商売

たちばなはじめは、かつて燃料油の卸・小売やレンタルショップのFC運営など、利幅の薄い商売を営んでいた時期があります。

「今月は売上3,000万円を超えました」と従業員から嬉しい報告があった月でも、翌月に届く仕入れの請求は2,870万円。

売上の数字がどれだけ大きくても、手元に残る現金はごくわずかでした。

売上高は、会社の安全を保証してくれません。

大事なのは、売上から経費を引いて、最後に現金がいくら残るかです。

安売りとは、この「残る現金」を自分から削りにいく行為にほかなりません。

だからこそ、たちばなはじめは「数字、とくに現金の流れから目をそらしてはいけない」と繰り返しお伝えしているのです。

会費を下げる前にやるべき3つのこと

では、競争が激しいなかで、どうすればいいのでしょう。

値下げを考える前に、この3つを確認してみてください。

1つ目は、自社の数字を把握することです。

会員1人あたりの粗利はいくらか、毎月の固定費はいくらか、損益分岐点となる会員数は何人か。

この数字がわからないまま料金を下げてしまうと、いくら会員を集めても赤字から抜け出せなくなってしまいます。

2つ目は、「誰に選ばれたいか」を絞ることです。

安いから来るお客さまではなく、価値を認めて通い続けてくれるお客さまは誰かを考えることです。

設備、指導、通いやすさ、雰囲気。

価格以外の選ばれる理由を磨けば、相場より高い会費でも会員は定着します。

薄利多売ではなく、適正な利益をきちんといただく商売への転換です。

そして3つ目は、資金繰りが苦しいときに、安売りで売上を挽回しようとしないことです。

苦しいときの値引き集客は、将来の利益を先食いする行為です。

売上づくりに走る前に、固定費の見直しや返済計画の組み直しなど、出ていくお金の側から手を付けるのが先決です。

価格を守ることは会社を守ること

フィットネスジムの倒産増加が教えてくれるのは、安売り競争に巻き込まれた会社から順に倒れていくという現実です。

市場が伸びていても、価格を守れない会社には現金が残りません。

これはジム業界だけの話ではなく、飲食店でも、美容室でも、どの業種でも同じです。

会費や料金の値下げを考え始めたら、その前に一度、自社の数字と資金繰りを確認してみてください。

会社と社長にお金を残す基本的な考え方は、たちばなはじめが書き下ろした無料の電子書籍『会社と社長にお金を残す資金繰り改善の教科書』にまとめています。

教科書の内容を概論としてお伝えするセミナーも、定期的に開催しています。

すでに赤字が続いていて、返済や支払いに不安がある方も、諦めないでください。

私たちは、どんな状態でも倒産や破産をせずに解決できる可能性を最後まで探るというスタンスで、支援にあたっています。

もし少しでも心当たりがあれば、無料の個別相談で、お気軽にご相談くださいね。


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