取引先への支払いや銀行への返済が、月末ごとに重くのしかかる。
そんな中小企業が、静かに増えています。
その資金繰りの限界を映す数字のひとつが、「代位弁済(だいいべんさい)」です。
2026年、信用保証協会による代位弁済が5年連続で増え、専門家のあいだで「息切れ倒産」への警戒が広がっています。
聞き慣れない言葉かもしれませんが、代位弁済は会社の資金繰りがどこまで来ているかを示す先行指標。
この記事では、ニュースの中身を押さえたうえで、返済が重くなってきた局面で社長に知っておいてほしい仕組みと、銀行との向き合い方をお伝えします。
代位弁済が5年連続で増えている
はじめに、ニュースの中身を確認しておきます。
代位弁済とは、会社が銀行へ返済できなくなったときに、信用保証協会が会社に代わって銀行へ残りの借入を支払うことです。
その件数が5年連続で増え続けているというのが、今回の報道の中身です。
AIで「代位弁済 5年連続増 息切れ倒産」について調べてみると、次のような解説が出てきます。
中小・零細企業の倒産の先行指標とされる「代位弁済」が5年連続で増加し、警戒が広がっている。
コロナ禍の実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済本格化に物価高や人手不足が重なり、業績が回復しきらないまま資金繰りに行き詰まる「息切れ倒産」が今年度も続くおそれがあると専門家は指摘している。
— AI検索で「代位弁済 5年連続増 息切れ倒産」について調べた際の解説より引用
代位弁済が増えているということは、それだけ多くの会社が、約束どおりの返済を続けられない局面に近づいているということです。
数字の裏側には、月末の資金繰りに頭を抱える社長の姿が広がっています。
そもそも代位弁済とは何が起きることなのか
代位弁済という言葉は知っていても、その中身まで知る社長は多くありません。
とくに誤解されやすいのが、「誰のための保証なのか」という点。
信用保証協会が保証しているのは、お金を貸した銀行のほうです。
会社や社長本人ではありません。
協会が代位弁済をしても、会社の借入金そのものが消えるわけではないんです。
借入の相手が、銀行から信用保証協会へと移るだけです。
会社はそのあと、信用保証協会に対して残った債務を返していくことになります。
つまり「保証」とは、銀行にとっての保険であって、社長にとっての安全網ではない、という構造。
この仕組みを知っておくだけでも、資金繰りが厳しくなったときに、必要以上に慌てずに済みます。
なぜ代位弁済が「倒産の先行指標」なのか
なぜ代位弁済の増加が、倒産の先行指標として注目されるのか。
理由は、代位弁済が「正常な返済が止まった」というはっきりした事実だからです。
返済額を一時的に減らして耐えている段階は、まだ統計に表れにくい局面です。
けれど代位弁済まで進むと、その会社が約束どおりの返済を続けられなくなったことが、数字としてはっきり残ります。
だからこそ専門家は、代位弁済の動きを景気の先を読む手がかりとして見ています。
増加の背景にあるのは、いくつもの事情の重なり。
ひとつは、コロナ禍のゼロゼロ融資の返済が本格化してきたことです。
実質無利子・無担保で借りられた資金の返済が始まり、据置期間が終わった会社から順に、月々の負担が一気に増えてきました。
そこへ物価高と人手不足、仕入れ価格の上昇が重なります。
売上はあるのに、利益と手元の現金が削られ、返済の原資が残らない。
こうした「息切れ」が、いま多くの中小企業で起きている現実です。
代位弁済の手前で勧められやすい「リスケ」の落とし穴
返済が苦しくなった会社が、代位弁済の手前でよく勧められるのが、リスケジュールです。
リスケジュールとは、銀行と話し合って毎月の返済額を一時的に減らしてもらう、返済条件の見直しのことです。
月々の負担が軽くなるので、その場しのぎとしては有効に見えます。
ただし、ここには見落とされやすい問題が二つあります。
ひとつは、リスケに入ると、経営者保証を外す道が狭まるという点。
経営者保証を外せるかどうかには一定の要件があり、返済条件を変えた状態だと、その要件を満たしにくくなります。
もうひとつは、さらに根の深い話。
リスケジュールを実行し、一定期間をやり過ごしたあとに通常の返済に戻して、利益を出して存続している会社は、現場の経験則としてほとんど存在しません。
月々の負担を軽くした結果、経営の構造的な課題に手をつける時間とエネルギーが奪われ、リスケ期間が終わるころには次の延長を申し入れざるを得ない状態になっています。
そんな循環を、たちばなはじめは何度も現場で見てきました。
厳しい話に聞こえるかもしれませんが、これが現実です。
もし信じられないと感じる方がいらっしゃれば、お付き合いのある銀行員や税理士の方に、こう聞いてみてください。
「リスケから通常の返済に戻して、利益を出して存続している会社は、どのくらいありますか」と。
おそらく多くの方が、「ない」もしくは「ほとんどない」と答えるはずです。
とはいえ、すでにリスケに入っている方も、諦める必要はありません。
リスケのあとでも、取り得る選択肢は確かに残っています。
自宅や個人資産を守る保全の設計、金融機関との向き合い方の見直し、再生スキームの組み立て直し…
リスケ前と比べて選べる手は少なくなるとはいえ、まだ動ける余地は十分にあります。
代位弁済を恐れる前に銀行との向き合い方を考え直す
ここまで読んで、不安が増した方もいるかもしれません。
けれど、お伝えしたいのは、その逆です。
代位弁済や息切れ倒産という言葉におびえる前に、まだできることがあります。
その出発点になるのが、銀行との向き合い方を考え直すこと。
たちばなはじめは、かつて事業に行き詰まり、返済が立ち行かなくなった経験があります。
そのとき、金融機関との交渉方法を見直すことで資金繰りを立て直し、破綻を回避して再起しました。
法的な手続きに頼らず、事業を続ける道を選んできたんです。
同じように追い込まれた局面を経験しているからこそ、たちばなはじめが繰り返し伝えていることがあります。
それは、倒産や破産をせずに解決できる可能性を、最後まで探ってほしいということです。
銀行に勧められるまま返済条件を変える前に、本当にその選択でいいのかを、一度立ち止まって考える。
その立ち止まる時間が、会社と家族のその後を大きく左右します。
まとめ ひとりで抱え込む前に
代位弁済の増加は、多くの中小企業が資金繰りの限界に近づいているサインです。
だからこそ、自分の会社が今どの位置にいるのかを、早めに知っておきたいところです。
返済は今も正常に回っているか、それともリスケや代位弁済を考え始める手前まで来ているか。
その問いに、ひとりで答えを出さなくて大丈夫です。
返済がまだ正常に回っているうちなら、それだけ選べる手も多く残っています。
代位弁済や息切れ倒産という言葉が、人ごとに思えなくなってきた…もし少しでも心当たりがあれば、まずは一度ご相談くださいね。
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