2026年10月、神奈川県藤沢市の自動車販売会社が、横浜地裁から破産手続きの開始決定を受けたと報じられました。
東京商工リサーチによると、1990年に設立され、新車の販売を中心に、中古車の販売や車検、整備も手がけてきた会社です。
2025年4月期には約6億550万円の売上がありましたが、採算は悪化していました。
売上の規模を大きく上回る債務が重荷となり、資金繰りは少しずつ苦しくなっていったとみられています。
整備や修理を担っていた関連会社も、同じく破産手続きの開始決定を受けています。
2社あわせた負債は、約10億5,000万円。
帝国データバンクによると、2026年5月には静岡県三島市の中古車販売会社が、自己破産を申請しました。
7月には長野県佐久市の中古車販売会社も、事業を停止して自己破産の申請に向けた準備に入りました。
藤沢市の会社のように、数億円の売上がある会社でも、資金繰りが続かなくなることはあります。
では、小さな車屋がこの先も店を続けていけるのは、どんな場合なのか。
中古車販売店やディーラーの倒産は2025年に137件
東京商工リサーチは、2025年の自動車販売の倒産について、次のように発表しています。
2025年の「自動車販売」倒産(四輪自動車のみ)は137件(前年比26.8%増)で、2016年以降の10年間で過去最多となった。
新車・中古車別では、「中古自動車販売」が101件と全体の73.7%を占め、過去10年で初めて100件台に乗せた。「新車販売」も36件(同20.0%増)まで増え、過去10年で最多となった。
— 東京商工リサーチ「TSRデータインサイト」(2026年1月20日)より一部抜粋
中古車販売店だけでなく、新車を扱うディーラーなどの倒産も増えていることが分かります。
倒産した中古車販売店のうち、9割近くは資本金1,000万円未満の会社でした。
倒産のほかに自ら事業をやめる「休廃業・解散」も、新車販売で262件、中古車販売で128件と、どちらも前の年より増えています。
車の販売から退く会社が、それだけ増えているということです。

売上が伸びても中古車販売の利益率は2.1%
とはいえ、同じ調査で決算を比べられた会社を見ると、車の値段が上がったことで、新車中心の会社も中古車中心の会社も売上は伸びています。
差が出ているのは、売上のうち、どれだけが利益として残っているかです。
一方、利益率の推移は明暗がくっきりと分かれている。
最新期の「新車販売」は3.1%(前年2.6%)で、2022年の1.7%を底に3年連続で改善した。これに対し、「中古車販売」は2.1%(前年2.2%)にとどまり、2年連続で悪化している。
— 東京商工リサーチ「TSRデータインサイト」(2026年1月20日)より一部抜粋
利益率2.1%とは、100万円を売り上げても、利益として残るのは2万円ほどということです。
仕入れの値段や光熱費、人件費が少し上がるだけで、その2万円は削られてしまいます。
東京商工リサーチは、こうしたコストの上昇に加えて、金利の上昇で借入の負担が重くなっていることも、財務の弱い中古車販売店の経営を悪くしていると分析しています。
売上の数字が伸びていても、それだけで店が安全だとは言えません。
仕入れは取り合いで売るときは大手と競う
車屋の商売には、ほかの小売とは少し違う難しさもあります。
1つ目は、仕入れの取り合い。
東京商工リサーチの同じ調査によると、海外からの引き合いが強く、オークションでの値段は高い状態が続いています。
売れ筋の車ほど手に入りにくく、高く仕入れた分を、そのまま売値に上乗せできるとは限りません。
2つ目は、売るときの競争。
2025年10月の東京商工リサーチの調査では、メーカー系のディーラーや独立系の大手も加わった競争のなかで、街の中古車屋さんが生き残るのは難しくなっていると分析されています。
そこへ、この商売ならではの気持ちも重なります。
「長く車検や修理を任せてくれているお客さんを、放り出すわけにはいかない」
「親の代から続けてきた店を、自分の代で閉めたくない」
こう考えて、店をこの先どうするかの決断を、つい先に延ばしてしまう社長も多いでしょう。
地域のお客さんと長く付き合ってきた店ほど、手を引くという決断は重いものです。
需給バランスで見ると車屋は供給過多
ここからは、ニュースの会社を離れて、車屋という商売そのものの話です。
たちばなはじめのもとには、相談が多く寄せられる業界があります。
飲食店、整体、美容、工務店、介護や福祉の事業、そして中古車販売や車両整備です。
たちばなはじめはメルマガで、これらはいずれも、需給バランスで考えると「供給過多」と言わざるを得ない、と書いています。
「需要に対して供給が多ければ儲かりません」
仕入れる車は取り合いなのに、売る側の店は多い。
小さな車屋は、その間に挟まれているのです。
では、こうした業界で生き残れるのは、どんな店なのか。
たちばなはじめは、次の2つのどちらかがあれば、生き続けることもできるだろうと言います。
- 一部に突出した「売り」がある
- 一部に優良かつ好条件の客先がある
ただ、そうした強みは、多くの場合、中堅以上の大企業がすでに押さえている、とも続けています。
そのうえで、小さな資本の会社がこうした業界で生き残り続ける環境は、まったくのゼロではないものの、ほとんど残っていないと言い切っています。
残ったお金を一発逆転に賭けない
こう聞くと、「だからこそ、ここで巻き返したい」と考える社長もいるでしょう。
ですが、たちばなはじめは、「まだ資金が残っているからここで一発逆転」という考え方は、経済成長期や好景気のときに持つべき発想だと書いています。
いまの日本の経済のなかでは、「いたずらに傷口を広げただけ」となってしまうことがほとんどだ、というのです。
たとえば、借入を増やして仕入れる台数を増やせば、売上は増えるかもしれません。
ただ、売れたとしても、業界の平均どおりなら、利益として残るのは売上の2%ほどです。
売れ残れば、仕入れに払ったお金は車のまま店に置かれ、借りたお金の利息は払い続けることになる。
しかも、その判断を背負うのは社長ひとりではありません。
わずかな可能性に賭ける判断は、家族や従業員、その家族の暮らしまで巻き込むと、たちばなはじめは指摘しています。

あなたの店に2つの条件はあるか?
まずは、たちばなはじめの挙げた2つの条件に、あなたの店が当てはまるかを確かめてください。
- 大手やほかの店ではなく、この店が選ばれる理由になるほど突出した売りがあるか
- よい条件で取引してくれる、優良な客先があるか
長く通ってくれるお客さんがいることは心強いものの、それだけでどちらかの条件に当てはまるとは限りません。
どちらかにはっきり当てはまるなら、続けていく余地もあります。
当てはまらないなら、お金が残っているうちに、この先を決めることです。
店を小さくするのか、事業を誰かに引き継いでもらうのか、店を閉めるのか。
どれを選ぶにしても、手元のお金が多いほど、選べる道は広がります。
早めに決めれば、車検や修理を任せてくれているお客さんの、次の行き先を考える時間も持てます。
決めるまでのあいだも、無理な返済で手元のお金を減らさないことが肝心。
私たちのもとには、一度相談に来られたあと、しばらくしてもう一度相談に来られる社長が少なくありません。
その間に、リスケジュールも含めて無理な返済を続け、手元のお金を減らしてしまっているのです。
返済の条件を変えてもらっても、軽くなるのは毎月の返済額だけ。
本業で返す力が戻らないまま払い続ければ、お金は出ていく一方です。
すでに資金繰りが苦しくなっていても、倒産や破産に頼らずに、店を小さくしたり、引き継いでもらったり、閉めたりする道を一緒に考えることはできます。
手元にお金を残す基本的な考え方は、無料の電子書籍『会社と社長にお金を残す資金繰り改善の教科書』で読めます(公式LINEを友だち追加するだけで届きます)。
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店をこの先どうするか迷っているなら、無料の個別相談も受け付けています。
お客さんの車を最後まで見届けたいと思うなら、なおさら、お金が残っているうちに声をかけてください。
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