東京商工リサーチが発表した2025年の倒産統計で、「調剤薬局」の倒産件数が38件と、過去最多を更新しました。
前年比は35.7%増。
負債総額は44億8,400万円と前年から大幅に減ったものの、件数だけを見れば2年連続で記録更新。
そのうち29件、率にして76.3%は負債1億円未満の小規模倒産で、地域に根ざしてきた独立系の薬局ほど経営が立ちゆかなくなっている実態が浮かびます。
一方で同じ業界では、大手の再編が加速しています。
2025年8月には大手のアインホールディングスが「さくら薬局」を買収。
薬剤師不足のなかでの賃金引き上げ競争、ドラッグストアチェーンの調剤併設店舗の拡大、そして2026年度の調剤報酬改定をめぐる議論…小さな薬局を取り巻く環境は、ここ数年で一気に変化してきました。
この記事では、調剤薬局の倒産が過去最多に至った構造的な背景を見つめつつ、小規模薬局の経営者が事業承継・M&A・自主再生といった選択肢にどう向き合えばよいのかを、私たちの経験をもとにお伝えします。
調剤薬局の倒産が過去最多に至った構造的な背景
38件という数字の中身を読み解くと、業界に重なって押し寄せている3つの波が見えてきます。
薬剤師不足と賃金上昇
薬剤師の有資格者は決して少なくない一方で、調剤薬局の現場で実際に働ける人材は地域差・年齢構成・労働条件で大きく偏っています。
大手チェーンが採用力にものを言わせて賃金を引き上げ、人材を吸い上げていく構造。
小規模な独立薬局にとっては、薬剤師の確保が経営の最重要課題になりつつあります。
一人欠けただけで処方の受付体制が回らなくなる薬局も多く、人件費の上昇が利益を直接圧迫しています。
それでも採用を諦めると、開局時間の短縮や処方枚数の制限を強いられ、結果として売上の天井が下がっていきます。
ドラッグストアの調剤併設化が進む
ドラッグストアチェーンが調剤併設店舗の比率を高めてきたことで、医療機関の門前や住宅街にあった独立系薬局の処方箋取扱枚数が、徐々に減っているケースが増えています。
生活動線のなかで日用品とまとめて受け取れる利便性は、患者さんからすると魅力的。
一方で、地域に根ざしてきた独立系薬局は、その流れと正面から向き合わざるを得ません。
2026年度の調剤報酬改定をめぐる議論
2026年度の調剤報酬改定では、「門前薬局」のあり方が改めて論点になると言われています。
点数の見直しが議論される過程で、小規模な門前薬局の収益構造がどう変わるのか。
経営者の方々の多くが、半年〜1年先の試算をしながら今を耐えている状況です。
倒産の中身──小規模ほど追い込まれている
2025年の38件のうち、29件は負債1億円未満。
倒産原因の内訳は「販売不振」が25件で全体の65.7%。
手続き別では破産が33件、率にして86.8%を占めます。
事業再生型の手続きに進むケースは少なく、ほとんどが清算に至っているという読み方ができます。
言い換えると、経営者の方々が「再生の選択肢を見渡す前」に、あるいは「見渡してみたが踏み切れないうちに」、破産に進まざるを得なくなっている可能性が高い。
情報の非対称性が大きい業界だからこそ、相談する相手と相談する時期によって、結末が大きく変わる構造が現れています。
大手の再編と小規模の淘汰──薬局経営者が立たされる分岐点
大手チェーンの再編は、業界の地殻変動を加速させる方向に進んでいます。
アインホールディングスのさくら薬局買収はその象徴。
他にも、地域ブロック単位で薬局グループを傘下に収める流れや、ドラッグストア大手による調剤事業の拡大が続いています。
こうした流れのなかで、小規模独立薬局の経営者の方が今直面している分岐点は、おおむね次の3つに分けて見ていけます。
分岐①──大手とのM&A・グループ入りを検討する
後継者がいない、あるいは薬剤師の確保が今後ますます難しいと判断したケースでは、大手チェーンとのM&Aによる事業承継が現実的な選択肢になります。
地域に根づいた屋号や患者さんとの関係を守りつつ、運営は大手のリソースに委ねる形。
条件交渉のポイントは、譲渡価格そのものよりも、薬局名の継続、スタッフの雇用条件、後継者となる薬剤師の確保といった「無形の論点」にあることが多いです。
分岐②──地域連携・小規模統合で自主再生を目指す
同じ地域の独立系薬局同士で、共同仕入れ・スタッフのシェア・在庫融通といった連携を組み、規模のデメリットを補う取り組み。
完全なM&Aには進まずに、自店の独立性を保ちつつ、業界の波に耐えていく形です。
長く取引のある医療機関との関係を維持できる利点があります。
分岐③──廃業・清算を組み立てて進める
後継者がおらず、譲渡相手も見つからない場合、廃業・清算に進む選択もあります。
問題は、「いつ・どう畳むか」を平常時のうちに組み立てられているかどうか。
手元資金、賃貸契約、リース、調剤機器、在庫、雇用、そして個人保証──こうした要素を棚卸ししないまま業績悪化のなかで畳もうとすると、家族の生活基盤まで巻き込みかねません。
今後の生活のことを考えると、いかにお金や資産が残る形で終わらせるか、という観点が重要になってきます。
「破産が86.8%」の数字が示すもの──残せたはずの資産はどこへ
倒産38件のうち、破産が33件で86.8%。
事業再生型の手続きに進むケースは少なく、ほとんどが清算に至っている計算です。
この数字が意味するのは、事業の終わりだけではありません。
破産という手続きを取った瞬間、薬局の経営者が長年積み上げてきた手元資金・自宅・個人資産は、生活の再出発のためにほとんど残らない形で処理されていきます。
家族のこれからの生活を考えたとき、本当に大切なのは「いかにお金や資産を残した形で終わらせるか」という観点です。
事業を立て直すにしても、整然と畳むにしても、その先の生活基盤をどれだけ守れるかが、経営者ご自身とご家族のその後を大きく左右します。
経営者の方が「もう破産しかない」と感じる瞬間、まわりの専門家から提示される道筋がほぼ破産一択だった、という現場の声もよく聞きます。
専門領域の構造上、提案される選択肢は相談先の得意分野に寄りやすいもの。
だからこそ、相談する側が「他にどんな道があるのか」を先に知っておくことが重要です。
たちばなはじめの体験から──「破産せずに済む道」を最後まで探る支援の出発点
たちばなはじめ自身、かつて事業の失敗から、返済が立ち行かなくなった経験があります。
当時、まわりの専門家から提示された道筋はほぼ「破産」一択でした。
それでも本人は、金融機関との交渉方法を見直すアプローチを選び、法的な手続きに頼ることなく事業を再生させた経験を持っています。
家族の生活と再起の足場を、お金や資産を残した形で守り抜いた経験です。
追い詰められた景色を知っている立場として、たちばなはじめは現在も「どんな状態でも、破産せずに解決できる可能性を最後まで模索する」というスタンスで支援活動を続けています。
事業を立て直すにしても、整然と畳むにしても、お金や資産を残せる形を最後まで探る。
これが、現場で一貫して大切にしてきた姿勢です。
地域に根ざした医療系の小規模事業者の方々を含め、これまで多くのケースで「破産以外の選択肢」を一緒に組み立ててきました。
薬局事業の承継・廃業・自主再生は、薬機法や調剤報酬制度との関わりが深く、法務・税務・不動産の論点が複合的に絡みます。
顧問の専門家と連携しながら、ひとつずつ詰めていく支援です。
「もう資金繰りが回らない」「廃業しかないと言われている」──そんな切羽詰まった状況にある方も、どうかひとりで結論を出さないでください。
理想は業績の谷が来る前に踏み出すことですが、追い詰められた局面に立たされている方にも、まだ打てる手は残されています。
どんな状態でも破産せずに解決できる可能性を最後まで探る、という姿勢で支援を組み立てる。
タイミングを問わず、まずはご相談ください。
まとめ──分岐点を「自分の手で」迎えるために
調剤薬局業界の構造変化は、ここから数年でさらに加速していくと見られています。
大手の再編は止まらず、薬剤師不足も解消には時間がかかる。
だとすれば、小規模独立薬局の経営者の方が選びたいのは、「業績の谷に追い込まれてから決断する」のではなく、「業界の波が来る前に、自分の手で分岐点を選ぶ」ことではないでしょうか。
後継者の有無、薬剤師の確保、医療機関との関係、家族の生活基盤、個人保証の状況。
押さえる項目は多いものの、順番に揃えていけば、必ず取れる手は見えてきます。
理想は、業績が比較的安定しているうちに3〜4の選択肢を手元に揃えておくこと。
とはいえ、すでに資金繰りが厳しく、廃業や破産を口にされている方もいらっしゃるかもしれません。
そんな局面でも、まだ打てる手は残されています。
どんな状態でも破産せずに解決できる可能性を模索する、お金や資産を残せる形を最後まで探る──それが、たちばなはじめが一貫して大切にしてきた姿勢。
早く踏み出せるのが理想ですが、いつのタイミングでも、まずはご相談ください。
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長年地域で積み上げてきた薬局の価値を、ご家族と次の世代にどう残していくか。
今日できる一歩を、一緒に組み立てていきましょう。
資金繰りの課題を抱える経営者の方へ3つのご案内
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