美容室の倒産が2026年度上半期も高水準…経営難に陥る原因と小さな店の対処法

美容室の経営が苦しいときにお金が残るうちの行動を呼びかけるたちばなはじめ

2026年10月25日、東京商工リサーチが、美容室の倒産についての集計を公表しました。

2026年度上半期(4-9月)に倒産した美容室は54件で、年度上半期としては、この20年で2番目に多い件数です。

倒産した店の多くは、負債が数千万円ほどで、従業員が5人に満たない小さな美容室でした。

ニュースになる大きな会社の倒産と比べれば、ずっと小さな金額に見えるかもしれません。

ですが、店主にとっては、毎月の返済が暮らしに直接のしかかってくる金額です。

小さな美容室は、なぜ立ち行かなくなるのか。

そして、売上が落ちてきたとき、店主は何を守り、何から手をつければいいのでしょうか。

目次

美容室の倒産は2026年度上半期に54件

東京商工リサーチは、今回の集計について次のように伝えています。

店舗数が全国で27万店以上と言われる美容室の倒産が高止まりしている。2026年度上半期(4-9月)の「美容業」倒産は54件(前年同期比6.8%減)で、年度上半期では4年ぶりに前年を下回った。

ただ、2年連続の50件台で、2007年度以降の20年間では、前年(58件)に次ぐ2番目の高水準だった。

— 東京商工リサーチ「年度上半期の『美容室』倒産 54件の高水準」(2026年10月25日)より

倒産の原因でいちばん多かったのは「販売不振」で、54件のうち41件と、全体の75.9%を占めました。

売上が思うように上がらずに行き詰まった店が、4件のうち3件ほどということです。

人手不足による倒産も5件あり、年度上半期としては過去最多になりました。

調査では、美容室を取り巻く状況について、次のようにも指摘しています。

美容室は、比較的少ない資金で開業でき、新規参入が相次ぎ、生存競争が激しい業界になっている。低価格店舗もジワリと広がるなか、人気の美容師やデザイン力などで固定客の確保を進め、ブランド力と高付加価値の創出で差別化を図れるかが問われている。

— 東京商工リサーチ「年度上半期の『美容室』倒産 54件の高水準」より

倒産した美容室の9割以上は負債1億円未満

今回の集計で目を引くのは、倒産した店の規模です。

  • 負債1億円未満:51件(全体の94.4%)
  • このうち負債1千万円以上5千万円未満:39件(72.2%)
  • 資本金1千万円未満:48件(88.8%)、このうち個人企業など:22件(40.7%)
  • 従業員5人未満:48件

調査でも、過小資本の美容室の淘汰が進んでいると分析されています。

ここからは、こうした小さな美容室の事情とお金の話です。

美容室は始めやすく人で売上が決まる商売

美容室は、比較的少ない資金で開業できる商売です。

美容師として腕を磨き、自分の店を持つことを目標に独立した店主も多いでしょう。

ただ、始めやすいということは、ライバルの店も増えやすいということ。

そのうえ、低価格の店もじわじわと広がっています。

美容室の売上は、美容師の腕と、その美容師を指名してくれるお客さんで決まる部分が大きいものです。

腕のいいスタッフが辞めると、その美容師を指名していたお客さんまで来なくなることもあります。

お客さんとの関係も、スタッフとの関係も、店主がひとつずつ積み上げてきたもの。

店を守りたい一心で、売上が落ちても、毎月の支払いをこれまでどおり続けようとする店主もいるでしょう。

月額の試算例として売上200万円から180万円への減少で残るお金が20万円から2万円になる比較

売上が1割減ると手元に残るお金はもっと減る

美容室の支払いのうち、カラー剤などの材料費は、売上に合わせて増えたり減ったりします。

一方、家賃や設備のリース料、スタッフの給料、借入の返済は、売上に関係なく毎月決まって出ていきます。

たとえば、月の売上が200万円で、材料費などの売上に応じて変わる支払いが20万円、決まって出ていく支払いが160万円の店があるとします。

この店の手元に毎月残るのは、20万円です。

売上が1割減って180万円になると、材料費などは18万円に減りますが、決まった支払いの160万円は変わりません。

手元に残るのは、2万円。

売上は1割しか減っていないのに、残るお金は10分の1になってしまうのです。

個人で営む店なら、この残ったお金が、店主と家族の暮らしを支えるお金でもあります。

個人の店では、店の借入は店主個人の借入です。

会社にしている店でも、店主が連帯保証人になっていれば、店が返せなくなったときに店主個人が返済を求められます。

あなたの店でも、毎月決まって出ていく支払いの合計と、売上が1割、2割減ったときに手元に残るお金を、一度紙に書き出してみてください。

家族の暮らしより銀行への返済を先にしていないか?

売上が足りない月が続いたとき、店主はどこからお金を持ってくるのか。

資金が苦しくなると、事業主の行動は次のようになりがちだと、たちばなはじめは指摘しています。

  • まず自分の給料を下げ、家族に我慢をさせる
  • 従業員の給料を下げ、従業員とその家族に我慢をさせる
  • 取引先への支払いを遅らせる
  • 強引に値上げをして、お客さんに負担をかける
  • そうしてつくったお金で、無理な返済を続ける

口では「家族が第一」と言いながら、行動では銀行への返済が第一になっている、ということです。

たちばなはじめが伝えているお金の優先順位は、次の5つです。

  1. 家族
  2. 従業員
  3. お客
  4. 協力企業
  5. 銀行

家族、従業員、お客さん、協力企業を守るのが先で、銀行への返済は一番最後にする、というのがたちばなはじめの考え方です。

美容室の場合、優先順位の2番目にある従業員は、売上をつくる美容師そのものです。

返済のために給料を削れば、スタッフが店を離れ、指名のお客さんも一緒に減っていきかねません。

返済を守るために、家族の暮らしと、売上を生む人を削っていく。

それでは、無理な返済を続けるほど、守りたかったものから先になくなってしまいます。

家族や従業員への支払いを削りはじめたら、いまの返済をこのまま続けてよいのかを考えるときです。

お金が残るうちに毎月の支払い、売上減少時の残り、家族とスタッフの暮らしを確認する三つの項目

借入の金額にかかわらずお金が残っているうちに動く

「この程度の借入で相談するなんて、大げさではないか」

負債が数千万円ほどの店を営む店主のなかには、そう考えて、誰にも話さずに返し続けている方もいるでしょう。

ですが、たちばなはじめは、借入の問題について次のように伝えています。

「借金問題は、1円でも1万円でも1億円でも適用される法律やルールは変わりません。みんな同じ」

店の借入が数百万円でも、ニュースになる大きな会社の借入でも、向き合い方の基本は変わりません。

それぞれの店の状況と、店主がどこを目指すかによって、とるべき対応が変わるだけ。

美容室を営む方からのご相談について、たちばなはじめはメルマガのなかで「これまでも美容院経営者のクライアントは少なくないし、事業再生も人生再生もそれほど難しくない」と書いています。

立て直すために欠かせないのが、手元にお金が残っているうちに動くこと。

以前、ある事業主の方が、リスケジュールでしのいできたものの、それも難しくなってから、私たちのもとへ相談に来ました。

その方は、迷っていた2年のあいだに多くのお金を失ってしまった、と話していました。

迷っているあいだにも、毎月の返済と決まった支払いは出ていき、手元のお金は減っていきます。

たちばなはじめは、「『遅すぎる事』はあっても『早すぎる事』は無い」と何度も伝えています。

お金の優先順位と給料の守り方については、次の記事でも取り上げています。

売上が落ちたときのお金の守り方は、無料の電子書籍『会社と社長にお金を残す資金繰り改善の教科書』でもお伝えしています(公式LINEを友だち追加するだけで届きます)。

会社と社長にお金を残す基本的な考え方を、たちばなはじめが直接お話しするセミナーも定期的に開いています。

無料の個別相談では、店のお金と家計の両方を見ながら、これからの進め方を考えます。

店の借入は、金額が大きくても小さくても、店主と家族の暮らしにつながっています。

通帳の残高にまだ余裕があるうちに、一度、店の数字を私たちと一緒に見てみませんか。


美容室の経営が苦しいときにお金が残るうちの行動を呼びかけるたちばなはじめ

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