もし来週、あなたの会社が1か月止まったとしたら。
従業員の給与や家賃、リース料、借入の返済といった支払いは、売上がゼロになっても止まってくれません。
手元の現金だけで何か月もちこたえられるか、パッと答えられる社長は少ないでしょう。
2026年8月、事業継続計画(BCP)の策定状況をまとめた調査結果が公表されました。
BCPとは、災害や事故で事業が止まったときに、誰が何をどう動かすかをあらかじめ決めておく計画のことです。
その数字を見ると、備えが進んでいる会社とそうでない会社の差が、はっきり出ていました。
では、いま中小企業の備えはどこまで進んでいるのでしょうか。
BCPを作っている中小企業は2割に満たない
公表された調査結果は、次のような内容でした。
BCPの策定率は21.4%で、前回調査から1.0ポイント増加し、過去最高となった。一方で「策定していない」企業は40.7%にのぼる。企業規模別にみると、大企業の39.9%に対して中小企業は18.3%にとどまり、規模間の格差は依然として大きい。策定していない理由としては、スキル・人材・時間の不足が挙げられている。
— 2026年8月に公表された、帝国データバンクの調査より
中小企業の策定率は、わずか18.3%です。
5社に1社にも届いていません。
とはいえ、作っていない理由を責める気にはなれない内容です。
スキルがない、人がいない、時間がない。
日々の資金繰りと現場を回すだけで手一杯という会社に、分厚い計画書を作る余裕はありません。
それが実際のところでしょう。
ですが、何も決めないまま日々を過ごしてしまうのは、やはり危険なんです。
計画に「お金」の項目が入っているか?
BCPと聞いて多くの社長が思い浮かべるのは、避難の段取りや連絡網ではないでしょうか。
従業員の安否確認、取引先への連絡手順、代わりの作業場所や在庫の置き場といったところでしょう。
どれも欠かせません。
ただ、ここで一つ気をつけていただきたいことがあります。
その計画に「お金」の項目は入っているでしょうか。
事業が止まるというのは、入ってくるお金が止まるということです。
一方で、出ていくお金は止まりません。
給与、家賃、リース料、水道光熱費、社会保険料、そして借入の返済などなど。
売上がゼロの月でも、これらは容赦なく引き落とされていきます。
ここに手当てがないまま数週間が過ぎると、どんどん現金が減っていきます。
そして気づいたときには、事業を再開するための体力そのものが残っていない、、、
そんな事態にもなりかねません。
復旧の段取りがどれだけ緻密でも、現金が尽きてしまえば会社は動けなくなってしまいます。
うちは何か月もちこたえられるか
では、何から決めればいいのでしょう。
難しい計画書は要りません。
まずは、次の3つを順番に出してみてください。
- 1か月に必ず出ていくお金(給与・家賃・リース料・借入の返済など)はいくらか
- いま自由に動かせる現預金はいくらあるか
- 現預金を1か月分の支出で割ると、何か月分になるか
3つ目で出た数字が、売上が止まったときに会社がもちこたえられるおおよその期間です。
この数字が1.5か月なのか6か月なのかを知っているかどうかで、非常時の初動はまるで変わります。
なぜ、そこまで現金の数字にこだわるのか。
たちばなはじめは、かつて燃料油の卸・小売を中心に複数の事業を営んでいた時期があります。
もともと会計は経理まかせで、自分で細かく数字を追ってはいませんでした。
売上と利益さえ見えていれば事業は回る。
そう思い込んでいたのです。
ところが、自社の資金繰りが少しずつ苦しくなってきたことをきっかけに、自分で会計を学び始め、数字を直接把握するようになりました。
ですが、その努力は実らず、結果的には6億円の負債を抱えて、事業は破綻してしまいます。
この経験から、たちばなはじめが繰り返し説いているのが、「事業の根幹は事業ではなく会計にあり」という教えです。
利益は、結果として後から出てくる数字。
現金は、いま手元にあるかどうかを示す動かしがたい事実です。
非常時に会社を支えてくれるのも、間違いなく後者のほうなんですね。
手元の現金は借入とセットで見る
ここで、もう一つお伝えしておきたいのが、現金の額だけを見て安心しないでほしい、ということです。
たとえば、現預金が1億円ある会社が2社あり、片方は借入が8,000万円、もう片方は3億円だとします。
同じ1億円でも、この2社の余裕はまったく違います。
前者は手元の現金で返済をまかなえる範囲ですが、後者は現金だけでは返しきれません。
数字は、単体で眺めていると、時にウソをつく。
ですから、手元の現金は必ず借入の残高とセットで確認するのが基本です。
そのうえで、毎月の返済が利益をどれだけ吸い上げているかも見ておきたいところです。
非常時にいちばん重くのしかかってくるのが、この毎月の返済だからです。
準備と実行は平常時にしかできない
たちばなはじめには、「平常時のうちから非常時に備えよ」という考え方があります。
計画を立てることも、実際に手を入れることも、基本的には平常時にしかできない。
非常時に入ってしまうと、判断に使える時間もお金も限られます。
選べる手段は、驚くほど少なくなってしまうんです。
逆に、業績や時間に余裕があるうちなら、できることは複数あります。
- 借入の組み方や、金融機関との交渉方法を見直す
- 事業用の資産と個人の資産の切り分けを確認しておく
- 個人保証がどの借入に付いているかを把握しておく
どれも、資金繰りが苦しくなってから動こうとすると、選べる範囲が一気に狭まる領域です。
災害がいつ来るのかは、誰にも分かりません。
だからこそ、来る前提で構えておきましょう。
「大丈夫だろう」ではなく「起きるかもしれない」で考えておくことが、結局いちばん安く済む備えになります。
現金の厚みが非常時の選択肢を決める
BCPというと、身構えてしまう社長も多いでしょう。
でも、最初の一歩は紙1枚で十分なんです。
1か月に出ていくお金と、いまの現預金。
この2つから、何か月もつのかを出してみてほしいのです。
それだけで、備えの中身はまるで変わります。
非常時に会社を守ってくれるのは、立派な計画書ではありません。
手元に残っている現金の厚み。
そして、その厚みは平常時にしか作れません。
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たちばなスキームの全体像を、たちばなはじめが直接お伝えする学びの場としてご活用ください。
すでに資金繰りが厳しく、非常時どころか今月の支払いが不安だという方も、諦める必要はありません。
いまの状況で何が残されているかを、一緒に整理するところから始められます。
もし少しでも心当たりがあれば、無料の個別相談で、まずは一度ご相談くださいね。
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