「負債が4000万円くらいなら、うちはまだ大丈夫」
ニュースで倒産した会社の負債額を見て、そう感じたことはありませんか?
2026年9月、島根県の広告代理店が破産手続きの開始決定を受けたと報じられました。
負債総額は約4000万円。
数億円規模の倒産が珍しくないなかで、決して大きな額ではありません。
ですが、この会社は年間の売上が3000万円でした。
年商より大きな負債を抱えたまま、競合が増えて売上が減り、資金繰りが限界に達したんです。
負債の額だけを見て「多い」「少ない」と判断していると、自社の危険に気づくのが遅れてしまいます。
返せるかどうかを分けるのは、借入の額ではなく手元の現金。
なぜそう言えるのか、順にお伝えします。
年商3000万円の会社が負債4000万円で破産
まず、何が起きたのかを確認しておきます。
島根県出雲市の広告代理店が、8月21日に松江地方裁判所出雲支部から破産手続開始決定を受けた。負債総額は約4000万円。同社はWEBデザインやグラフィックデザインを手掛け、女性ならではの視点を強みに事業を展開していた。2025年5月期の売上高は3000万円を計上していたが、同業他社との競合が激しくなるなど経営環境は厳しく、売上減少から損益も悪化し、資金繰りが限界に達した。
— 2026年9月、山陰地方の広告代理店の破産を伝えた報道より
売上高3000万円に対して、負債総額は4000万円でした。
1年分の売上をすべて返済に回しても、まだ足りない状態だったということです。
そこに競合の増加が重なり、売上が減っていきました。
売上が減れば、当然、手元に残る現金も減ります。
ところが、返済は待ってくれない。
4000万円の負債も、売上に合わせて減ってはくれません。
だから、売上の減少がそのまま資金繰りの限界につながっていったんです。
この構図は、広告代理店やデザイン会社に限った話ではありません。
年商より大きな負債を抱えて、売上が少しずつ減っている会社は、業種を問わず山ほどあります。

負債4000万円は多いのか少ないのか?
「4000万円」と聞いて、あなたはどう感じますか?
「大金だ」と感じる社長もいれば、「その程度で行き詰まるのか」と感じる社長もいるでしょう。
その差は、いま手元にいくら現金を持っているかで決まります。
手元に100万円しかない社長にとって、4000万円は途方もない額です。
手元に5000万円ある社長にとっては、返せる範囲の額。
同じ4000万円でも、感じ方はまったく違います。
そして、この感覚は返せるかどうかの実態とも重なります。
返済に回せるのは、結局、手元に残っている現金だからです。
負債の額そのものを見るのか、手元の現金と比べて見るのか。
たちばなはじめがくり返し伝えているのは、この見方の違いです。
返せる人か、返せない人かを決めるのは、手元の現金との関係なんです。
もちろん、毎月の利益から返済がまかなえているうちは別です。
売上が減り、利益からの返済が回らなくなったとき、たちばなはじめはこう線を引いています。
- 手元に1億円あって借入が5000万円なら、返せる人
- 手元に1億円あって借入が2億円なら、返せない人
- 手元に100万円あって借入が50万円なら、返せる人
- 手元に100万円しかなくて借入が4000万円なら、返せない人
負債の額を単独で見ていても、自社が危ないかどうかはわからない。
手元の現金、そして年商と並べてはじめて、返せる側にいるのか返せない側にいるのかが見えてきます。
売上が減り始めた会社で借入残高が年商を超えていると、売上が戻るより先に現金が尽きてしまいます。
これは、たちばなはじめが多くの相談を受けてきたなかで確かめてきた経験則です。
今回の広告代理店は、まさにこの状態でした。
売上が減っても毎月の返済額は減らない
年商より大きな負債が、なぜそれほど危ないのか。
理由は、返済額が毎月固定されているからです。
負債の多くが借入だったとして、仮に4000万円を7年で返すとすると、元金だけで毎月およそ48万円です。
年商3000万円の会社なら、月の売上は平均250万円です。
そこから仕入れや外注費、給与、家賃を払い、残った現金の中から48万円を返し続けることになります。
売上が順調なうちは、なんとか回ります。
ですが、競合が増えて売上が2割減ったらどうなるか。
月の売上は200万円に落ちます。
外注費が多少減ったとしても、給与や家賃は変わらず、返済の48万円も変わりません。
減った売上の分は、ほぼそのまま手元の現金から消えていきます。
半年続けばおよそ300万円。
1年続けば600万円近い現金が、じわじわと会社から流出していく計算です。
売上が減っているのに返済だけは同じ額を続けている。
この状態が、いちばん現金を失うんです。
そして、手元の現金が尽きたとき、、、会社は止まります。
赤字だから止まるのではありません。
現金がなくなるから止まるんです。

借入の額ではなく手元の現金で判断する
たちばなはじめ自身、かつて多額の負債を抱えて返済が立ち行かなくなった経験があります。
額だけを見れば、今回の広告代理店とは桁が違います。
それでも、手元の現金を守ることを優先し、金融機関との交渉方法を見直すことで、法的な手続きに頼ることなく再起しました。
一方で、数千万円の負債で行き詰まり、相談に来られる社長もたくさんいます。
桁違いの負債でも再起できる人がいて、4000万円で行き詰まる人がいる。
この違いを分けるのは、負債の額ではありません。
手元にいくら現金が残っているか、そして残った現金をどう使うかです。
だからこそ、自社が危ないかどうかを判断するときは、借入残高の大小ではなく、次の3つを並べて確かめる必要があります。
- 手元の現金が、毎月の返済額の数か月分を切っている
- 借入残高が年間の売上を超えていて、しかも売上が減り始めている
- 毎月の返済を毎月残る現金ではまかなえず、手元の現金を取り崩している
ひとつでも当てはまるなら、負債の額が小さくても危険信号です。
逆に、負債が大きくても3つとも当てはまらなければ、慌てる必要はありません。
数字を見なければ、この判断はできません。
「数字は昔から苦手で」「経理に任せているから」と言っている間に、手元の現金はどんどん減っていきます。
月に一度でいいので、通帳の残高と借入残高、毎月の返済額を自分の目で確かめてみてください。
手元の現金を削ってまで返済を続けてはいけない
ここで、気をつけていただきたいことがあります。
返せるかどうかが手元の現金で決まるのなら、手元の現金を減らしてまで返済を続けるのは本末転倒です。
返済を放り出すという話ではありません。
金融機関と話し合って、返済の組み方を見直す道があるということです。
ところが、多くの社長は逆をやってしまいます。
「銀行にだけは迷惑をかけられない」
「返済が遅れたらもう借りられなくなる」
そう考えて、他の支払いを削ってでも銀行への返済を優先してしまうんですね。
その気持ちは本当によくわかります。
が、ちょっと待ってください。
金融機関がお金を貸したいのは、手元に現金がある会社です。
律儀に返済を続けて手元の現金を使い果たした会社には、金融機関は追加の融資にまず応じてくれません。
返済を優先した結果、手元の現金が尽き、給与や仕入れの支払いが止まります。
そうなれば、事業そのものが続けられなくなります。
たちばなはじめのお金の優先順位は、家族・従業員・お客・協力企業を守るのが先で、銀行への返済は一番最後です。
売上が減ってきたのなら、返済を続けるために現金を削るのではなく、手元の現金を守るために金融機関との交渉方法を見直す。
この順番を間違えなければ、年商より大きな負債を抱えていても、立て直す道は残ります。
とはいえ、すでに手元の現金が底をつきかけている社長も、諦める必要はありません。
現金が残っているうちに動くのが理想ですが、どんな状態でも倒産や破産をせずに解決できる可能性を最後まで探る、というのがたちばなはじめの姿勢です。
手元の現金から目をそらしてはならない
負債4000万円で行き詰まった広告代理店は、決して特別な会社ではありません。
あなたの会社でも、明日起こりうる話です。
「4000万円くらいなら大丈夫」
もしそう感じたのなら、その感覚こそが危険信号かもしれません。
返せるかどうかは、借入の額では決まらない。
手元にいくら現金があるか、そしてその現金を何に使うかで決まります。
返済のために我慢して手元の現金を削るのではなく、金融機関と話し合って返済の組み方を見直してください。
現金が残っているうちに手を打てば、選べる道は大きく広がります。
資金繰りだけではなく、金融機関との交渉方法の見直しについてのご相談も受け付けています。
もし少しでも心当たりがあれば、まずは一度ご相談くださいね。
資金繰りの課題を抱える
あなたの選択肢を、

