クリニックの倒産と後継者不足が深刻化…医院を廃業で終わらせない承継準備

「うちの医院は、自分の代で終わりかもしれない」

そんな思いを抱えながら、日々の診療を続けている院長は、決して少なくありません。

目の前の患者さんを診ることに追われて、承継の話はつい後回しになりがちです。

そうこうしているうちに、少しずつ体力の衰えを感じ始めて、、、

実はいま、クリニックをはじめとする医療機関の倒産・廃業が増え続けています。

では、医院を「自分の代で終わり」にしないためには、何をしておけばいいのでしょうか。

目次

クリニックの倒産が過去20年で最多を更新

2026年7月、東京商工リサーチから気になる調査結果が公表されました。

2026年上半期(1-6月)の「医療機関」(病院・クリニック・歯科医院)の倒産は38件(前年同期比15.1%増)で、過去20年間では2009年の39件に次ぐ2番目の水準となった。なかでもクリニックは19件と過去20年で最多を更新。後継者不在が一因となった「後継者難」倒産は11件と、上半期では最多となった。

— 東京商工リサーチ「2026年上半期『医療機関』倒産」の調査より

患者数の減少や人手不足に加え、光熱費や医療材料の高騰が、医院の採算を圧迫しています。

ここで注目していただきたいのは、倒産のうち約3割が「後継者難」によるものだという点です。

業績だけの問題ではなく、「継ぐ人がいない」ことが、医院を閉じる直接の引き金になっています。

大きな病院というより、地域の身近なクリニックや歯科医院でこうした事態が起きている、というのが今回の調査のポイントです。

実際、私たちのもとへも、歯科医院やクリニックの先生からのご相談が増えてきています。

なぜ医院は後継者が見つかりにくいのか?

一般の会社と比べても、医院の承継はハードルが高いと言われています。

まず挙げられるのが、資格の壁。

医院を継げるのは、医師や歯科医師の資格を持つ人だけです。

お子さんが別の道に進んでいれば、親族への承継はその時点で選択肢から消えてしまいます。

仮にお子さんが医師だったとしても、専門の診療科が違うかもしれません。

都市部の病院で勤務医をしていて、地元に戻る予定がないケースも珍しくありません。

次に、「院長ありき」で成り立っている経営。

医院の経営は、院長個人の技術と、患者さんとの信頼関係で成り立っています。

「院長先生だから通っている」という患者さんが多いほど、代替わりは難しくなってしまいます。

そして、院長自身の責任感です。

地域の患者さんを長年診てきた院長ほど、「自分が診続けるしかない」と一人で抱え込んでしまいがちです。

その結果、承継の準備が手つかずのまま、時間だけが過ぎていきます。

院長が倒れたら診療も収入も止まる

考えたくないことですが、院長が病気やケガで診療できなくなる可能性は、誰にでもあります。

医院の売上は、院長が診療することで生まれています。

診療が止まれば、収入はその日からゼロ。

でも、家賃や人件費、医療機器のリース料、借入の返済は待ってくれません。

ご家族に資格がなければ、代わりに診療を続けることもできません。

スタッフは職を失い、患者さんは行き場をなくし、ご家族には借入と個人保証だけが残ってしまう、、、

これは決して大げさな話ではなく、現場では実際によくある話なんです。

クリニックや歯科医院は、開業時の内装や医療機器で数千万円単位の借入をしていることが多い業態です。

そして、その借入は、最終的に院長個人が背負う形になっているケースがほとんどです。

閉院すれば収入はなくなりますが、借入がなくなるわけではありません。

だからこそ、医院の承継は「元気なうちに始められるか」がすべてなんです。

医院を残すために考えておく3つの承継準備

では、何から始めればいいのでしょうか。

考えておいていただきたいのは、次の3つです。

1つ目は、院長自身の方針を明確にすることです。

親族に継がせたいのか、第三者への承継を探すのか、それとも自分の代で閉じるのか。

どの道を選ぶにしても、決められるのは院長だけです。

2つ目は、医院の数字を把握しておくことです。

月々の採算、借入の残高、リース契約の残り期間、スタッフの雇用条件などなど。

承継するにも閉じるにも、判断のもとになるのは数字です。

承継の話を進める相手にとっても、数字がはっきりしている医院のほうが、安心して引き継げます。

そして3つ目が、借入と個人保証の整理です。

実は、ここが一番の問題になります。

借入や個人保証が残ったままでは、「先代の借金まで引き継ぎたくない」と後継者に断られてしまうケースが多いんですね。

せっかく継いでくれる人が見つかっても、負債がネックになって話が進まないのです。

これは医院に限らず、事業承継の現場で本当によくあるパターンです。

だからこそ、借入の問題をどう解決してから渡すかまで含めて考える。

それが、本当の承継準備です。

逆に言えば、承継の前に負債の整理に決着をつけておけば、医院の健全な部分だけを次の世代に引き継ぐことができます。

私たちも、後継者に負債を引き継がせない事業承継の設計を、多くのケースで支援してきました。

借入や保証への対処には、金融機関への向き合い方の工夫も含めて、いくつものやり方があります。

借入が重いからといって、承継を諦める必要はありません。

承継の準備は元気なうちにしか進められない

承継には、医院の建物や設備の扱い、スタッフの雇用、患者さんへの案内など、決めることがたくさんあります。

後継者探しから患者さんの引き継ぎまで含めれば、数年単位の時間がかかります。

体調を崩してからでは、選べる道はどんどん狭くなってしまいます。

逆に、早く動き始めるほど、選べる道も、医院に残せるものも多くなる。

あなたの医院を待っている患者さんがいるうちが、一番の準備のタイミングです。

診療を続けながらで構いません。

まずは、医院をこの先どうしたいのかを考えるところから始めてみてください。

資金繰りだけではなく、医院の承継や借入のご相談も受け付けています。

もし気になることがあれば、お気軽にご相談くださいね。


この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次